6月22日〜26日の東京株式市場は、AIラリーの熱狂とその急激な揺り戻しが凝縮した劇的な一週間となりました。週初は8連騰で日経平均が史上最高値72,353円まで駆け上がりましたが、週後半には歴代5位(23日)・歴代3位(26日)という大暴落が連続し、週末の終値は69,360円と週初の高値から約3,000円下落する荒れた展開でした。
今週の数字を一目で振り返る
| 曜日 | 日付 | 終値 | 前日比 | 騰落率 |
|---|---|---|---|---|
| 月 | 6/22 | 72,353円 | +3,102円 | +4.48% |
| 火 | 6/23 | 69,788円 | -2,565円 | -3.55% |
| 水 | 6/24 | 69,174円 | -614円 | -0.88% |
| 木 | 6/25 | 72,366円 | +3,191円 | +4.61% |
| 金 | 6/26 | 69,360円 | -3,005円 | -4.15% |
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 週初(前週末6/19終値) | 71,250.06円 |
| 週末終値 | 69,360.88円 |
| 週間騰落 | -1,889.18円 |
| 週間騰落率 | -2.65% |
| 週中高値 | 72,353円(月曜・8連騰での史上最高値) |
| 週中安値 | 68,639円(金曜・後場安値) |
一週間で高値と安値の差が3,700円超という、高ボラティリティの週となりました。5日間のうち上昇2日・下落3日で、歴代3位・5位の大幅安が2日(23日・26日)を占めた一方、歴代4位の大幅高(25日)も挟まれるという、教科書には載らない相場でした。
今週の主要テーマ
AIラリーの頂点と「割れ目」が同時に現れた週
月曜(22日)は前週の7日続伸に続いて8連騰し、日経平均が72,353円という史上最高値を更新しました。この時点で前週末比では+1,100円超の上昇でした。AIラリーの熱狂は極まっていましたが、週を通じて「メモリー価格の高騰は、むしろAI投資を減速させる可能性がある」という逆説的な懸念が頭をもたげてきました。木曜(25日)にマイクロン・テクノロジーの大幅増収決算(売上高前年同期比4.5倍)が出ると+3,191円の歴代4位の急騰が起きましたが、翌金曜(26日)には同じメモリー価格高騰が「AI顧客の予算を圧迫する」と解釈され直し、歴代3位の暴落を招くという矛盾した動きが起きました。
外部ショックが相次いだ週——韓国KOSPI・KOSPI・OpenAI
火曜(23日)は韓国KOSPIが9.9%急落しサーキットブレーカーが発動されました。SKハイニックスのHBM生産縮小報道が引き金とされ、日本のAI・半導体株に連鎖的な売りが波及し歴代5位の-2,565円となりました。週末の金曜(26日)には、米紙ニューヨーク・タイムズが報じたOpenAIのIPO延期検討がソフトバンクグループを直撃し(-12.53%)、歴代3位の-3,005円を引き起こしました。いずれも、AI相場という細い柱の上に立った相場の脆弱性を露わにした出来事でした。
「指数の歪み」が極まった週
今週は日経平均とTOPIXの乖離、値上がり銘柄数と指数騰落の逆行という「指数の歪み」が特に際立ちました。26日(金)は値上がり銘柄数が915と全体の6割近くを占めながら日経平均が歴代3位の下落幅を記録しました。これは、SBGやキオクシアなど指数寄与度の大きい一握りの値がさ株への資金集中が、相場全体とはかけ離れた指数の乱高下を生み出していることを明確に示しています。
注目銘柄——明暗を分けたもの
| 銘柄名 | 週間の動き | 主な材料 | コメント |
|---|---|---|---|
| ソフトバンクグループ | 乱高下(週末-12.53%) | OpenAI IPO延期報道が直撃 | 一週間を通じて指数の中心。26日の急落が週の締めに |
| キオクシアホールディングス | 週前半高値から週末-11.24% | メモリー価格高騰への解釈が好悪両方向に | マイクロン決算での上昇が翌日に逆転するという複雑な展開 |
| アドバンテスト | 週を通じて振れ幅大 | 半導体関連の物色に連動 | 上昇日・下落日ともに寄与度上位の常連 |
| 東京エレクトロン | 週後半に大幅安 | SOX急落・AIバブル懸念に連動 | 23日は3銘柄で1,400円押し下げの一角を担う |
| トヨタ自動車 | 週末に上昇 | AI株急落の中でバリュー株に資金シフト | 26日は逆行高。内需・バリューへのシフトを象徴 |
| 三菱UFJ | 週末に上昇 | 金利動向・バリュー物色 | AI株急落局面でも底堅く、資金の逃避先に |
来週の注目点5選
1. AIバブル懸念が払拭されるか
メモリー価格高騰がAI投資の減速につながるという懸念は、今週市場に浮上した新たなリスクシナリオです。来週、米国の大手テック各社やAI関連企業からの発言・業績見通しが出るかどうかが注目されます。このナラティブが広がり続ければ、AI・半導体株の一段安も想定されます。
2. 2026年4〜6月期決算発表シーズンへの移行
四半期末(6月末)を通過し、7月に入ると4〜6月期の決算発表シーズンが始まります。AI関連企業の業績と通期見通し修正の方向性が、相場の次の方向性を決める材料として注目されます。発表内容が期待を上回れば上振れ余地があります。
3. OpenAI IPO延期の続報
NYTが報じたOpenAIのIPO延期検討は、週末のSBG急落を引き起こしました。来週、OpenAI側や関係者からの公式コメント・否定・続報があれば相場に直接影響する可能性があります。
4. 為替介入の有無(ドル円161〜162円台)
ドル円は今週161円台後半まで上昇し、4月30日の介入水準を大きく上回っています。政府・日銀が実際に介入に踏み切るかどうか、あるいは口先介入があるかどうかが、来週の為替・株式市場双方の重要な分岐点となりそうです。介入があれば円急騰・輸出株安の連鎖が起きやすい局面です。
5. バリュー株・内需株へのローテーションが本格化するか
今週の急落局面では、AI・半導体株から自動車・銀行・内需株への資金シフトが見られました。来週、このシフトが一時的なものに過ぎないのか、それとも本格的なセクターローテーションの始まりなのかが注目されます。いずれに動くかで、TOPIX型の相場(幅広い上昇)とNT倍率型の相場(一部集中)のどちらになるかが決まります。
来週の日経平均シナリオ
| シナリオ | 想定レンジ | 主な前提条件 |
|---|---|---|
| 強気シナリオ | 71,000円〜74,000円 | AIバブル懸念が払拭され半導体株が反発、決算シーズン幕開けが期待以上の内容となった場合 |
| 基本シナリオ | 67,500円〜71,500円 | AIバブル懸念と好業績期待が交錯し一進一退、為替も介入なく161〜162円台で膠着する場合 |
| 弱気シナリオ | 64,000円〜68,500円 | 為替介入が実施されて円高方向に振れる、またはAI関連株の売りが加速して指数の下落が続く場合 |
今週の相場を一言で総括
「AIラリーの熱狂と揺り戻しを5日間に凝縮した、令和最大級の乱高下週」。月曜の8連騰・史上最高値更新から、木曜の歴代4位の急騰、金曜の歴代3位の暴落まで、相場の極端な振り子が一週間のうちに往復しました。
この乱高下の根底にあったのは、一部の値がさ株への資金集中という構造的な「指数の歪み」です。来週以降、決算発表シーズンを通じてその歪みが是正されるのか、あるいはさらに深まるのかが問われます。