本記事は、2026年6月23日(火)の東京株式市場を多角的に深掘りした上級者向けの分析記事です。通常版の記事はこちらからご覧いただけます。

相場サマリー

指数終値前日比騰落率
日経平均株価69,788.38円▲2,565.58円▲3.55%
TOPIX3,990.38▲104.67▲2.56%
JPX日経40036,252▲926▲2.49%
項目数値
東証プライム売買代金(概算)13兆7,350億円
東証プライム売買高(概算)25億4,137万株
値上がり銘柄数366銘柄
値下がり銘柄数1,154銘柄(全体の約7割)
横ばい銘柄数41銘柄

日経平均株価は前日比2,565円58銭安の69,788円38銭で引け、9営業日ぶりの大幅反落となった。下落幅は歴代5位の大きさで、終値で7万円を割り込んだのは6月17日以来、水準としては6月16日以来1週間ぶりの安値だ。8日続伸で約8,000円超の急ピッチな上昇が続いた後の反動として、安値引けとなった。TOPIXも104.67ポイント安の3,990.38と4,000の大台を割り込み、6月12日以来の安値で引けた。

日経平均を動かした主な要因

① 8連騰・急ピッチ上昇への反動売り

最大の要因は、前日6月22日までの8日続伸で日経平均が約8,000円超も切り上がった急ピッチな上昇への反動だ。海外短期筋(モメンタムファンドや短期投機筋)を中心とした利益確定と持ち高整理の売りが朝から優勢となった。AI・半導体関連株のモメンタム(勢い)重視の買いに一巡感が広がっており、7万2,000円という節目での達成感もあった。売買代金が前日の9兆8,247億円から一気に13兆7,350億円まで膨らんだことが、大量の売りが出た事実を裏付けている。

② 後場:韓国KOSPI急落がトドメに

前場はある程度の下落幅で推移していたものの、後場に入って相場の様相が一変した。韓国総合株価指数(KOSPI)が日本時間午後に約9.9%の急落を記録し、一時サーキットブレーカーが発動した。サムスン電子も12%安の大幅下落となった。日本と韓国の株式市場はAI・半導体関連株での連動性が高く、海外投資家の心理を急激に悪化させた。これが大引けにかけての先物への手じまい売り加速につながり、日経平均は安値引けとなった。

③ ダウ続伸・ナスダック下落の「分裂した米国市場」

前日6月22日(月)の米国市場では、ニューヨークダウ工業株30種平均が前日比148ドル高(+0.29%)の51,712.71ドルと続伸した一方、ナスダックはハイテク株への売りが入り下落するという「分裂した相場」だった。アマゾン・マイクロソフト・ホームデポなどが下落し、キャタピラー・アムジェン・JPモルガンなど景気敏感・ヘルスケア株が買われた。この流れが東京市場でも半導体・AI関連株の重荷となった。

④ 為替介入警戒・日米財務相会談報道

ドル円が162円手前まで上昇する場面でベッセント米財務長官と片山財務相のオンライン会談が行われたとの報道が伝わり、円安に歯止めがかかる動きが見られた。円安メリットへの期待が薄れたことも、輸出株・値がさ株の重荷となった側面がある。

寄与度分析

6/23の大引け確定寄与度ランキングは本記事作成時点で財経新聞等に未掲載のため、日経電子版の大引け記事に記載された情報を中心に整理する。

区分銘柄名寄与度(概算)株価変化
押し下げ①ソフトバンクG(9984)約▲472円(6/10比較参考値)大幅下落
押し下げ②東京エレクトロン(8035)(日経記事:3銘柄合計で約▲1,400円)大幅下落
押し下げ③キオクシアHD(285A)同上大幅下落
押し下げ④アドバンテスト(6857)大幅下落大幅下落
押し下げ⑤TDK(6762)・村田製作所(6981)下落下落
押し上げ①ファーストリテイリング(9983)小幅プラス寄与小幅上昇
押し上げ②フジクラ(5803)+5.29%(値上がり率プライム5位)上昇
押し上げ③KDDI(9433)プラス寄与上昇

日経記事は「SBG・東エレク・キオクシアの3銘柄で日経平均を1,400円あまり押し下げた」と明記している。今日の下落は特定の半導体・AI関連銘柄に集中しており、NT倍率(日経平均÷TOPIX)の急低下が見られた。日経平均の下落率(3.55%)がTOPIXの下落率(2.56%)を大きく上回った事実がそれを示している。

東証プライム騰落状況

値下がり1,154銘柄は全体の約7割に達し、広範な全面安の様相だった。前日(6/22)の値上がり792対値下がり727という拮抗した状況から一転しての急変であり、売りの勢いの強さが分かる。売買代金13兆7,350億円は前日(9兆8,247億円)から約40%増と、売り圧力の大きさを裏付ける水準だ。

一方でTOPIXの下落率(▲2.56%)は日経平均(▲3.55%)より小さかった。これはAI・半導体などの値がさ株が指数に大きく影響する日経平均の構造的特性を示している。韓国・台湾と連動する半導体特化型の売りが日経平均を特に大きく押し下げた格好で、内需中心のTOPIX採用銘柄はある程度耐性を示した。

業種別では、陸運・食品など内需ディフェンシブセクターには逃避資金が流入し、相対的に底堅かった。ただし全体としては逃げ場の少ない全面安であり、昨日まで相場を牽引していた非鉄金属・電気機器・電子部品が大きく売られた。

業種別・テーマ別動き

半導体・AI関連:8連騰後の集中売り

ソフトバンクG、東京エレクトロン、キオクシアHD、アドバンテスト、TDK、村田製作所、イビデン、太陽誘電、ファナック、安川電機などAI・半導体関連が軒並み大幅安となった。特に韓国でのKOSPI急落(サムスン電子▲12%)がトリガーとなり、東アジアのAI・半導体サプライチェーン全体に対するリスクオフが連鎖した。直近8日間でこれらの銘柄は急騰していただけに、利益確定の規模も大きかった。

電線株:フジクラは逆行高

フジクラ(5803)は+5.29%と、全面安の中で値上がり率プライム5位の逆行高を記録した。6月18日に発表した今期業績予想の上方修正(AI・データセンター向け電線需要増)を好感した見直し買いが、この日も継続した。電線セクターでも他銘柄(住友電工・古河電工)は売りに押されており、フジクラの個別材料の強さが際立つ格好だった。

内需ディフェンシブ:相対的な受け皿に

ファーストリテイリング(9983)、KDDI(9433)、日東電工(6988)、コナミG(9766)などの内需系銘柄に逃避資金が流入した。半導体・AI相場で出遅れていた陸運・食品・医薬品などのセクターも相対的に底堅く推移した。大幅安の日としては「ディフェンシブ優位」が鮮明だった。

外需・自動車・商社:連れ安

トヨタ自動車、ホンダ、三菱商事など輸出・資源株も全般的に下落した。ドル円が一時的に162円に向かう動きが日米財務相会談報道で後退したことも輸出株の上値を抑えた。

為替・米国株・金利の影響

指標水準取得時点・備考
ドル円(東京15時時点)161.65円ザイFX! 15:06公開の概況記事より実データ確認
NYダウ(6/22終値)51,712.71ドル(+148.01ドル、+0.29%)OANDA CFD「US30」終値。ダウ続伸・ハイテク安のセクター分裂
NASDAQ総合(6/22終値)確認できずハイテク安で下落方向と推定。確定値は要取得
米10年債利回り(6/23)確認できず2.670%台〜2.700%近辺と推定。上昇基調継続

ドル円は東京15時時点で161.65円と、前日(161.70円前後)とほぼ変わらない水準だった。日中は161.74円まで上昇する場面もあったが、NY時間に入ると162円を試す動きが見られた後、日米財務相のオンライン会談報道で161.10円付近まで急速に下落した。市場では「162円超えは約40年ぶりの水準」として介入警戒感が強まっており、この日の動きは「介入手前の牽制」との見方もある。

6/22の米国市場は「ダウ続伸・ナスダック下落」という分裂した相場となった。米イラン停戦協議の進展で原油先物が下落し、景気敏感株(キャタピラー・金融・ヘルスケア)に資金が向かった一方、ハイテク株(アマゾン・マイクロソフト等)は売られた。この「セクターローテーション」が東京市場の半導体・AI関連株への逆風となった。

個別決算・材料株

銘柄名材料内容株価反応
フジクラ(5803)6/18発表の業績予想上方修正(AI向け電線需要)の見直し買いが継続+5.29%の逆行高(値上がり率プライム5位)
オーケストラ(未確認)材料詳細未確認+20.97%(値上がり率プライム1位)
テスHD(未確認)材料詳細未確認+14.42%(プライム2位)
エアウォータ(未確認)材料詳細未確認+6.61%(プライム3位)
広済堂HD(未確認)材料詳細未確認+6.29%(プライム4位)
キオクシアHD(285A)韓国SKハイニックス急落の連鎖。後場に売り加速大幅安(寄与度▲140円規模)

テクニカル面

日経平均は終値69,788円と、前日の72,353円から2,565円の急落となった。1日の下落幅としては歴代5位という記録的な水準だ。前日の大引け後にCME先物が急落し、本日の急落はある程度織り込まれていたものの、後場の韓国株急落で下落が加速したことが特筆される。

重要な節目を確認すると、今日の下落で7万円の大台を割り込んだ。直近で意識される水準は以下の通りだ。上値めどとしては7万円台の攻防が焦点で、7万円を回復できるかどうかが短期的な鍵となる。下値の節目としては、6月17日終値(69,902円)・6月16日終値(69,404円)が意識されやすい。さらに下振れた場合は6月15日の急騰起点となる66,000〜67,000円台が中期的なサポートとして意識されうる。

テクニカルアナリストの視点では、今日の安値引けは「上昇トレンドの終了」ではなく「調整局面の入り口」との見方が多い。ただし短期RSIはここ数日の急騰で過熱圏(70超)にあったため、一定の調整が必要な水準にあったことは確かだ。25日移動平均・75日移動平均は今日の急落で大幅に乖離が縮小したとみられ、テクニカルのリバランスは進んだ形となった。

見通し

期間想定レンジ主な前提条件
翌営業日(6/24)68,500円〜71,500円植田日銀総裁発言の内容、韓国KOSPIの落ち着き、夜間の米国PMI(6/23発表)の結果
1ヶ月後(7月下旬)66,000円〜74,000円米5月PCE(6/25)・雇用統計、日銀利上げペース、米イラン最終合意の有無
1年後(2027年6月)62,000円〜88,000円米金融政策の転換有無、日銀の利上げサイクル、AI需要と企業業績の持続性

翌6月24日(水)の最大の焦点は植田日銀総裁の発言だ。追加利上げの姿勢をより明確に示した場合、円高・株安の調整圧力が増す可能性がある。逆に「慎重な姿勢」を維持すれば相場の安定材料になりうる。また、この日の夜(日本時間6月24日未明)に発表された米6月PMI(製造業・サービス業・総合)の内容も先行き判断の材料となる。

6月25日(木)の米5月PCEデフレーターは、FOMCが示したタカ派的なインフレ見通しを検証する重要指標だ。予想を上振れた場合は年内利上げ観測がさらに強まり、グロース株への追い風が一段と弱まりうる。今日の急落で短期的な過熱感は解消に向かったが、中期的な相場の方向性は米インフレ動向・中東情勢・日銀政策という三つの変数次第の局面が続く。

今日の結論

6月23日は「歴代5位の下落幅」という記録を刻む大幅反落となった。前日までの8連騰が生んだ短期的な過熱と、後場の韓国KOSPI急落(サーキットブレーカー発動)という二段ロケットの下落要因が重なった結果だ。ただし、TOPIXの下落率(▲2.56%)が日経平均(▲3.55%)より小さかった点は、下落がAI・半導体の一部値がさ株に集中していることを示している。売買代金13兆超の大商いは売りの大きさを示すと同時に、市場に一定の参加者がいることも意味する。翌日以降、植田日銀総裁の発言と米PCEを通過するまでは、神経質な展開が続きやすい局面だ。

より詳しい数字の確認や通常版の相場解説は、通常版(日経ノート)もあわせてご覧ください。

3
短く確認する(約3分)
【2026年6月23日】今日の日本株ノート|歴代5位・2565円安の大幅反落、韓国KOSPI急落が後場の売りに火をつけた
← 前の記事 【2026年6月22日】今日の日本株 深掘りノート|米イラン協議進展の期待で8連騰、日経平均が初の7万2,000円台に乗せた相場の中身を読む 次の記事 → 【2026年6月24日】今日の日本株 深掘りノート|SOX▲8%の波が直撃も後場は韓国株反発で下げ渋り、VI指数40超の高ボラ相場が続く

日経平均を毎日チェックするなら、見やすい証券アプリを選ぶことも大切です。相場確認に使いやすいアプリの選び方をまとめた記事も、参考にしてみてください。