2026年8月10日の東京株式市場で、日経平均株価は前営業日比1,363円51銭(2.08%)高の6万6,970円22銭と、3営業日ぶりに急反発しました。前週末に発表された米雇用統計が大きく下振れし、FRBの早期利上げ観測が後退。米ハイテク株高の流れを引き継ぎ、東京市場でもAI・半導体関連に買いが集まりました。

ただし、TOPIXの上昇率は0.63%にとどまっています。日経平均だけが突出して上がった一日であり、指数の数字と市場全体の体温には差がありました。この記事では、その「ねじれ」の中身を寄与度と騰落銘柄数から分解していきます。

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相場サマリー

指数終値前日比騰落率
日経平均株価66,970.22円+1,363.51円+2.08%
TOPIX4,100.61pt+25.68pt+0.63%
JPXプライム1501,728.03pt+19.55pt+1.14%
東証グロース市場250確認できず確認できず(続伸)確認できず
項目数値
東証プライム売買代金9兆1,904億円
東証プライム売買高25億4,848万株
値上がり/値下がり/変わらず916/603/37銘柄

日経平均は寄り付きから298円高で始まり、前場中盤には一時6万7,000円台を回復。上げ幅は一時1,400円を超えました。7月23日以来、およそ3週間ぶりの6万7,000円台です。

日経平均を動かした主な要因

1. 米雇用統計の下振れと利上げ観測の後退

7日に発表された7月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が市場予想の8万人程度の増加に反して2万3,000人の減少となりました。平均時給の伸びも前月比0.1%と昨年12月以来の低水準です。この結果を受けて短期金融市場では9月の利上げ確率が発表前の55%程度から40%程度へ低下し、米長期金利が低下。高PERのハイテク株の割高感が薄れ、半導体株を中心に買い戻しが入りました。

2. 好決算銘柄の急騰による投資家心理の改善

7日引け後に通期見通しを大幅に引き上げたリクルートホールディングスがストップ高となったことが、市場全体の空気を変えました。半導体関連以外でも決算を材料にした急騰銘柄が相次ぎ、値上がり率上位を好決算銘柄が占める展開となっています。

3. 祝日前のポジション調整と国内金利上昇

一方で、翌11日が山の日で休場となるため、買い一巡後は持ち高調整の売りが出て上値は重くなりました。国内長期金利の上昇も不動産株の重荷となり、指数の伸びを抑えています。

寄与度分析——2銘柄で上げ幅の6割

今日の相場を一言で表すなら「集中」です。値上がり銘柄の寄与度合計は+1,716.20円、値下がり銘柄は▲352.69円。差し引きで+1,363.51円という構図でした。

押し上げ上位終値前日比寄与度
アドバンテスト(6857)34,260円+6.43%+499.61円
リクルートHD(6098)16,165円+22.79%+301.70円
東京エレクトロン(8035)56,750円+4.13%+226.27円
押し下げ上位終値前日比寄与度
KDDI(9433)2,830円▲5.07%▲60.74円
ソフトバンクG(9984)5,484円▲1.22%▲54.71円
ファーストリテイリング(9983)78,720円▲0.74%▲47.47円

アドバンテストとリクルートHDのわずか2銘柄で、日経平均を約801円押し上げました。これは上げ幅1,363円の約59%にあたります。東京エレクトロンを加えた上位3銘柄では約1,027円、実に上げ幅の75%です。残る222銘柄が生んだ寄与は、差し引きで340円程度にすぎません。

東証プライム騰落状況

東証プライムの値上がりは916銘柄、値下がりは603銘柄、変わらずは37銘柄でした。比率にすると値上がり58%、値下がり38%。上昇銘柄が多数派ではあるものの、+2.08%という指数の上げ幅から想像されるほどの一方通行ではありません。

より鮮明なのは日経平均の構成銘柄です。225銘柄のうち値上がりは121銘柄、値下がりは102銘柄、変わらずは2銘柄。つまり上昇したのは全体の約54%にすぎないのに、指数は2%超上昇したことになります。値がさ株の値幅がそのまま指数に効く日経平均の性質が、極端な形で表れた一日でした。

参考までに、前週末7日はプライムの値上がりが939銘柄と全体の6割を占めながら、日経平均は76円安でした。銘柄の広がりと指数の方向がちょうど反転した2営業日と言えます。

業種別・テーマ別の動き

上昇したセクター

業種別上昇率トップはサービス業。リクルートHDの急騰が指数を押し上げました。続く精密機器はテルモ、オリンパス、シスメックスと好決算銘柄が並び、セクター全体が買われる形です。非鉄金属と鉱業も上昇上位に入りましたが、内訳を見ると住友金属鉱山が大幅高となる一方で三井金属が急落しており、業種内の明暗は分かれています。

下落したセクター

下落率トップは石油・石炭製品。ホルムズ海峡を巡る協議進展の観測が需給緩和につながるとの見方が重荷になったとみられます。保険業、不動産業、銀行業、建設業も下落しました。特に不動産は国内長期金利の上昇が直撃し、三井不動産、住友不動産、三菱地所がそろって指数の押し下げ側に回っています。

半導体・AI関連

アドバンテスト、東京エレクトロン、ディスコ、レーザーテック、イビデンが軒並み上昇。7月に急ピッチで下げた反動もあり、買い戻しが集中しました。ただし太陽誘電は逆行安となっており、セクター全体が一律に買われたわけではありません。

為替・米国株・金利

項目水準備考
ドル円(東京15時)158.34円日通し高値158.39円、安値157.54円
NYダウ(7日終値)54,036.93ドル+151.83ドル/+0.28%
NASDAQ(7日終値)26,690.62+342.27/+1.30%
S&P500(7日終値)7,757.64+47.68/終値ベース最高値を更新
米10年債利回り(7日)4.648%▲0.030
日本10年債利回り(10日)2.786%債券先物9月限は126円90銭で引け

ここで見落としたくないのが、米金利と国内金利の方向が逆だったことです。米長期金利の低下がハイテク株を押し上げる一方、国内長期金利の上昇が不動産と銀行を圧迫しました。今日のセクター間の明暗は、この「金利の逆流」でかなりの部分が説明できます。

ドル円はNY終値の157.76円から水準を切り上げ、東京15時時点で158.34円。7月末の米雇用統計後の下げをほぼ取り戻しました。ただし7月末に日米両政府が円買い介入を実施したと公表しており、追加介入への警戒は残っています。

個別決算・材料株

銘柄材料株価反応
リクルートHD1Q営業益2,554億円(+66.1%)、通期を7,870億円→9,450億円に上方修正ストップ高(+22.79%)
平田機工1Q営業益38.7億円(前年同期比2.3倍)、受注高+25.6%ストップ高(+22.12%)
UTグループ1Q営業益35.1億円(+42.4%)、500万株の自社株買いを発表+20.77%
シスメックス1Q営業益148億円(+39.5%)、通期を580億円→600億円に上方修正+19.89%
フジクラ1Q営業益1,048億円(2.6倍)、通期を3,100億円→4,320億円に上方修正大幅続伸(寄与度+79.45円)
サイバーエージェント4-6月期営業益150億円(▲23.6%)、ゲーム事業が伸び悩み▲16.68%
三菱瓦斯化学1Q営業益2.5倍も、円安・在庫要因が主因で7-9月期は減益見込み▲14.42%
三井金属上半期予想を490億円→450億円に下方修正▲13.55%

上方修正でも売られる銘柄がある点は押さえておきたいところです。三菱瓦斯化学も三井金属も通期は上方修正していますが、上振れの中身が一時的要因だったり、上期が減額だったりすると、市場は素直に評価しません。決算シーズンの終盤に入り、数字の見出しではなく中身が問われる局面に移っています。

テクニカル面

最も大きな変化は、上値抵抗として意識されていた25日移動平均線を明確に上抜けたことです。8月7日時点の25日線は6万5,968円で、今日の終値はこれを約1,000円、率にして1.5%程度上回りました。5日線(同6万5,060円)、10日線(同6万4,026円)もすべて下に置く形です。

上値のメドとしては、心理的節目の6万7,000円をすでに一時回復しており、次は7月22日高値の6万7,592円、その先に6万8,000円が意識されます。下値では6万5,000円と10日移動平均線、さらに下では100日移動平均線(8月7日時点で6万2,613円)が支持帯の候補です。RSI(9日)は7日時点で53.2%でしたので、今日の上昇でも過熱圏には届いていない可能性があります。75日線の水準は確認できていません。

ただし、短期トレンドが上向きに転換したとはいえ、今日の上昇はほぼ外部要因によるものです。国内発の買い材料で25日線を抜けたわけではない点は、割り引いて見ておく必要があります。

今後の見通し

期間想定レンジ主な前提条件
翌営業日(8月12日)66,000円〜68,000円11日は山の日で休場。12日夜の米CPIを控え、東京市場では様子見が優勢になりやすい局面です
1ヶ月後62,000円〜71,000円米CPIと9月FOMCの結果が分岐点。利上げが見送られる方向が固まれば上振れ余地、インフレ再加速が確認されれば下振れリスクがあります
1年後58,000円〜82,000円AI関連投資の持続性、日銀の追加利上げペース、為替介入後の円相場の落ち着きどころが主な変数となります

今日の結論

今日の一言は「上がったのは指数、動いたのは数銘柄」です。

日経平均の+2.08%という数字だけを見れば全面高に見えますが、日経225構成銘柄で上昇したのは121銘柄、およそ54%にとどまります。上げ幅の6割を2銘柄が稼いだ一日を「相場全体が強い」と読むのは危険です。11日の休場を挟み、12日夜には米CPIの発表が控えています。東京市場がその結果に反応するのは13日。そのとき上げているのが半導体だけなのか、それとも業種の広がりを伴うのか。ここが今週の見どころになりそうです。

通常版のコンパクトなまとめは今日の日本株ノートをご覧ください。

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短く確認する(約3分)
【2026年8月10日】今日の日本株ノート|米利上げ観測の後退で3日ぶり急反発、2銘柄で上げ幅の6割
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