山の日を挟んだ2026年8月12日の東京株式市場で、日経平均株価は前営業日比553円84銭(0.83%)高の6万7,524円06銭となり、続伸しました。6万7,000円台の回復は7月15日以来、およそ1カ月ぶりです。

ただし今日の見どころは、上げ幅そのものではありません。TOPIXが0.94%高の4,139.00ポイントと、7月6日以来およそ1カ月ぶりに最高値を更新した点にあります。10日は日経平均+2.08%に対しTOPIXが+0.63%でした。今日は上昇率が逆転しています。

上げ幅は10日の3分の1以下。それでいてTOPIXは最高値。この一見ちぐはぐな組み合わせが何を意味するのかを、寄与度と騰落銘柄数から分解していきます。

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相場サマリー

指数終値前日比騰落率
日経平均株価67,524.06円+553.84円+0.83%
TOPIX4,139.00pt+38.39pt+0.94%
JPX日経40037,468pt+297pt確認できず
東証グロース市場250確認できず確認できず(3日続伸)確認できず
項目数値
東証プライム売買代金9兆4,421億円
東証プライム売買高25億2,278万株
値上がり/値下がり/変わらず983/530/43銘柄

日経平均は23円83銭高の6万6,994円05銭で始まり、前引けは69円96銭高と方向感を欠く展開でした。後場に入って上げ幅を広げ、午後2時33分には599円14銭高の6万7,569円36銭まで上昇。TOPIXは一時4,139.24ポイントと、7日に付けた取引時間中の高値も塗り替えました。

日経平均を動かした主な要因

1. 米AI・半導体関連株高とエヌビディアの資金調達スキーム

11日の米市場でフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が反発しました。背景にあるのが、エヌビディアが10日に公表したAIデータセンター構築支援の仕組みです。米金融大手など6社と組み、5000億ドル(約80兆円)規模の資金を調達して顧客企業がAIインフラを構築できるようにするという内容でした。

山和証券の志田憲太郎調査部部長は、AIインフラの受注側である日本の半導体企業は投資拡大の恩恵を受けやすいと指摘しています。東京市場では東エレクやキオクシアHD、フジクラに買いが入りました。

2. 韓国株高

韓国のサムスン電子とSKハイニックスが上昇し、半導体株比率が高いKOSPIが堅調に推移したことも支えとなりました。後場に上げ幅を広げた直接のきっかけは、このKOSPIの大幅高です。

3. 原油高が呼び込んだ資源・銀行への資金

中東情勢の不透明感から原油価格が上昇し、鉱業株が物色されました。ここが10日との大きな違いです。10日は石油・石炭製品が業種別下落率トップでしたが、今日は鉱業が上昇上位に回っています。銀行株にも買い意欲が働きました。

4. 米CPIを前にした様子見

一方で、今晩21時30分に7月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控え、積極的な買いを見送る向きもありました。前場が上昇と下落を行き来する「夏枯れ相場」らしい展開だったのは、この待機ムードによるものです。

寄与度分析——集中度は59%から39%へ

今日の相場を読み解く鍵は、寄与度の「薄まり方」にあります。

押し上げ上位終値前日比寄与度
東京エレクトロン(8035)58,230円+2.61%+148.84円
アドバンテスト(6857)34,550円+0.85%+69.99円
リクルートHD(6098)16,660円+3.06%+49.78円
押し下げ上位終値前日比寄与度
ファーストリテイリング(9983)78,050円▲0.85%▲53.90円
ダイキン工業(6367)21,570円▲2.95%▲21.96円
豊田通商(8015)7,204円▲2.38%▲17.70円

上位2銘柄の押し上げは約218円。上げ幅553円84銭に対して約39%です。10日は上位2銘柄で約801円、上げ幅1,363円の約59%でした。

個別に見るとさらに明確です。10日のアドバンテスト1銘柄の寄与は+499.61円でしたが、今日のトップである東エレクは+148.84円。約3割の水準にとどまります。リクルートHDも10日の+301.70円から+49.78円へ縮みました。同社は今日、上場来高値を更新しています。それでも指数への影響はこの程度、ということです。

4位以下はフジクラ+44.25円、キオクシアHD+43.65円、イビデン+40.23円、ファナック+35.70円、TDK+34.70円と、40円前後の銘柄が横並びで続きます。突出した1本ではなく、中くらいの押し上げが数多く積み上がった一日でした。

東証プライム騰落状況——参加者が増えた

寄与度の分散は、騰落銘柄数にもそのまま表れています。

項目8月12日8月10日
プライム値上がり983銘柄(63%)916銘柄(58%)
プライム値下がり530銘柄(34%)603銘柄
日経225の値上がり135銘柄(60%)121銘柄(54%)
東証33業種の上昇21業種確認できず

プライムの値上がり比率は58%から63%へ、日経225の値上がり比率も54%から60%へ上がりました。33業種のうち21業種が上昇しています。

つまり、指数の上げ幅は3分の1以下に縮んだのに、上昇した銘柄の数はむしろ増えた。TOPIXが最高値を更新したのは、この構造の当然の帰結です。時価総額加重のTOPIXは値がさ株の値幅ではなく、全体の底上げに反応します。10日に見た「指数だけが上がる」相場とは、中身が入れ替わったと言えます。

業種別・テーマ別の動き

上昇したセクター

非鉄金属、銀行業、鉱業、サービス業、電気機器が上昇上位でした。注目したいのは銀行と鉱業です。10日はこの2つがともに下落側にいました。国内長期金利の上昇が不動産・銀行を圧迫し、ホルムズ海峡の協議進展観測が石油・石炭製品を売らせた日です。

今日は同じ材料が逆に働きました。金利上昇は銀行にとって利ざや拡大の期待に変わり、原油高は鉱業株を押し上げています。相場の解釈が2営業日で反転した形です。

下落したセクター

ゴム製品、海運業、空運業、パルプ・紙、繊維製品、小売業、医薬品が下落しました。原油高のコスト増を受けやすい業種と、内需・ディフェンシブが売られる構図です。

半導体・AI関連

東エレク、キオクシアHD、イビデン、TDK、太陽誘電、SCREEN、KOKUSAI、SUMCOが買われた一方、レーザーテック、ルネサス、ディスコは下落しました。前夜の米国市場でサンディスクやマイクロンといったメモリー側が買われたのに対し、東エレクのADRは東証終値比1.20%安だったと伝わっており、セクター内でも温度差があります。10日のような一律の全面高ではありません。

為替・米国株・金利

項目水準備考
ドル円(東京15時)159.41円日中レンジ159.20〜159.46円
NYダウ(11日終値)53,791.85ドル▲184.13ドル/▲0.34%
NASDAQ(11日終値)26,445.45▲159.91/▲0.60%
米10年債利回り(11日)4.690%▲0.013
WTI原油(11日終値)83.20ドル+1.3%、4営業日続伸
VIX指数(11日)15.28▲0.18

米国株は続落しました。原油高とCPI警戒が重荷です。それでも東京市場が上昇したのは、SOX指数の反発とKOSPI高という半導体固有の追い風があったためで、米指数そのものに追随したわけではありません。

ドル円は12時時点で159円40〜41銭と、祝日前の10日17時時点から92銭の円安。15時時点も159円41銭とほぼ横ばいで、午後は狭いレンジのもみ合いに終始しました。円安の理由は金利差ではなく原油です。エネルギーの大半を輸入に頼る日本の貿易収支悪化を懸念した円売りが出ました。7月末の日米協調介入以降、追加介入への警戒が一段の円安を抑えている状況も続いています。

イランの最高安全保障委員会レザイ事務局長は11日、米国が条件を受け入れない限りホルムズ海峡の封鎖は解除されないと述べたと伝わりました。WTIは11日に一時84.61ドルと約2週間ぶりの高値を付けています。

個別決算・材料株

銘柄材料株価反応
サンリオ4-6月期営業益224億円(+11%)で第1四半期として過去最高も、市場予想234億円に未達。通期895億円は据え置き一時▲20%、終値1,191円(▲263.5)
楽天グループ4-6月期営業益200億円(2.4倍)もコンセンサスを140億円下振れ。物流の減損170億円が要因745円(▲119)
メック上半期営業益41.4億円(+69.4%)だが、1Q時に上方修正した水準での着地一時ストップ安
ツバキナカシマ上半期営業益は+66.7%も、4-6月期単独では1.9億円と55.4%の減益に転換340円(▲60)
スクエニHD1Q営業益170億円(+88.6%)で市場予想を60億円近く上回る2,974円(+103)
浜ゴム4-6月期営業益837億円(2.4倍)、通期を1,915億円→1,995億円に上方修正7,693円(+209)
エムスリーオアシスマネジメントが保有比率5.03%で新たに大株主に。ガバナンス改善が取得目的1,631.5円(+93.5)
ミルボン26年12月期予想の上方修正と自社株買いを発表5連騰

サンリオと楽天グループに共通するのは、「増益だが市場予想に届かなかった」という点です。サンリオは第1四半期として過去最高益を出しながら日中下落率が2014年5月以来の大きさになりました。決算シーズンも終盤に入り、絶対値ではなく事前期待との差が株価を決める局面に入っています。

テクニカル面

日経平均は日足チャート上でゴールデンクロスを形成しました。10日に25日移動平均線を突破し、今日はその上で終値を固めた形です。8月12日時点の25日線は6万5,857円で、終値はこれを約1,670円、率にして2.5%上回っています。

目先の焦点は7月22日の高値6万7,592円です。今日の高値6万7,569円36銭は、ここまであと約23円に迫りました。上抜ければ+1σの6万7,790円、その先に6万8,000円が視野に入ります。下値では週足13週線の6万6,780円が第一の支持帯、次いで6万6,000円、25日線の6万5,857円という並びです。

ただし、25日線からの上方乖離が2.5%まで開いてきた点は頭に入れておきたいところです。8月12日時点の75日線とRSIは確認できていません。

今後の見通し

期間想定レンジ主な前提条件
翌営業日(8月13日)66,300円〜68,300円今晩の米CPIに東京市場が反応する初日。上振れなら利上げ観測の再燃、鈍化なら7月22日高値の突破が意識されやすい局面です
1ヶ月後63,000円〜72,000円9月FOMCでの利上げ有無が最大の分岐点。ホルムズ海峡の通航正常化が進めば原油とインフレ両面の重荷が軽くなる可能性があります
1年後58,000円〜83,000円AIインフラ投資の持続性、日銀の利上げペース、中東情勢と原油価格の落ち着きどころが主な変数となります

今日の結論

今日の一言は「上げ幅は縮み、裾野は広がった」です。

日経平均の上げ幅は10日の3分の1以下。それでもTOPIXは約1カ月ぶりの最高値を更新し、プライムの値上がり比率は58%から63%へ、上昇業種は21に達しました。寄与度上位2銘柄の集中度は59%から39%へ下がっています。数字の大きさだけを追うと見落としてしまう変化です。

今晩21時30分に米7月CPIが発表されます。東京市場が反応するのは13日。そのとき買われるのが再び半導体だけに戻るのか、それとも今日のように銀行や資源を巻き込んだ形が続くのか。10日と12日でまったく違う顔を見せた相場だけに、13日の中身が今週の性格を決めそうです。

通常版のコンパクトなまとめは今日の日本株ノートをご覧ください。

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【2026年8月12日】今日の日本株ノート|日経平均553円高で続伸、TOPIXは約1カ月ぶり最高値
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