2026年8月13日の東京株式市場で、日経平均株価は前日比784円53銭(1.16%)高の6万8,308円59銭となり、3日続伸しました。上げ幅は一時1,200円を超え、終値としては約1カ月ぶりに6万8,000円台を回復しています。前夜発表された米7月消費者物価指数(CPI)が市場予想通りの鈍化となり、早期利上げ観測が後退したことが直接のきっかけです。

ただし中身を見ると、様子がやや複雑です。アドバンテスト1銘柄が上げ幅の約43%を稼ぐ一方で、TOPIXは7日続伸して連日の最高値更新。プライムの値上がり比率は今週3営業日で最も高い65%に達しました。特定銘柄への集中と、市場全体の広がりが同時に起きています。

この一見矛盾する組み合わせが何を意味するのかを、寄与度と業種別動向から読み解いていきます。

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相場サマリー

指数終値前日比騰落率
日経平均株価68,308.59円+784.53円+1.16%
TOPIX4,176.04pt+37.04pt+0.89%
東証グロース市場250確認できず確認できず(小幅安)確認できず
項目数値
東証プライム売買代金10兆206億円
東証プライム売買高24億350万株
値上がり/値下がり64.9%/32.0%

日経平均は509円11銭高の6万8,033円17銭で始まり、前引けは1,085円86銭高の6万8,609円92銭。後場は1,232円94銭高の6万8,757円で寄り付きました。ただし高値圏では戻り待ちの売りが出て、大引けにかけて上げ幅を縮めています。

TOPIXは4,176.04ポイントで、12日に付けた終値ベースの史上最高値4,139.00を更新。取引時間中も12日の4,139.24を上回りました。

日経平均を動かした主な要因

1. 米7月CPIが予想通りの鈍化

米労働省が12日に発表した7月のCPIは前年同月比3.4%上昇と、伸び率が前月から鈍化しました。事前の市場予想通りの水準で、2カ月連続の減速です。コア指数は前月比0.2%上昇、前年比2.5%上昇と2021年3月以来の低い伸びに並びました。

この結果を受け、短期金融市場では9月FOMCでの利上げ確率が40%程度まで後退。日経は今日の相場を「適温経済」への期待と表現しています。

2. 米ハイテク株高とSOX指数の上昇

11日に発表されたAIインフラ企業コアウィーブと、サーバー製造のスーパー・マイクロ・コンピューターの決算が好感され、12日の米市場ではAI関連銘柄が買われました。エヌビディアは3.0%高、シスコシステムズは2.9%高。SOX指数は2.49%上昇しています。

6月下旬から急落に見舞われていたAI・半導体株に、資金が再び向かい始めた形です。

3. SQを控えたヘッジ買い

14日に8月限のオプションSQを控えており、指数が水準を切り上げるとヘッジ対応の買いが入りやすい地合いでした。今日の上昇の一部はこの需給要因によるものと見られます。

4. 高値警戒による上値の重さ

一方で、急ピッチの上昇に対する高値警戒感から利益確定売りも出やすい状況でした。6万8,500円を上回る水準では戻り待ちの売りが出たほか、最近まで見直し買いが優勢だったバリュー株の一角にも利益確定売りが出ています。

寄与度分析——集中度は再び59%へ

今週の寄与度の推移を並べると、はっきりした往復運動が見えてきます。

押し上げ上位終値前日比寄与度
アドバンテスト(6857)35,940円+4.02%+335.49円
東京エレクトロン(8035)59,470円+2.13%+124.70円
イビデン(4062)21,560円+5.27%+72.41円
押し下げ上位終値前日比寄与度
ファーストリテイリング(9983)77,350円▲0.90%▲56.32円
ファナック(6954)6,505円▲3.20%▲36.04円
コナミG(9766)21,235円▲1.96%▲14.25円

上位2銘柄の押し上げは約460円。上げ幅784円53銭に対して約59%です。今週の推移を並べると次のようになります。

日付上げ幅上位2銘柄の寄与集中度
8月10日+1,363円約801円約59%
8月12日+554円約218円約39%
8月13日+785円約460円約59%

12日にいったん薄まった集中度が、今日は10日の水準へ戻りました。特にアドバンテスト単独で+335円49銭、上げ幅の約43%です。同社は株式分割考慮後の上場来高値を更新しました。

一方、12日にトップだった東エレクは+148円84銭から+124円70銭とほぼ横ばい。12日に押し上げ3位だったリクルートHDは上位から姿を消しています。牽引役が入れ替わりながら、指数の上昇そのものは半導体1業種に依存している構図です。

東証プライム騰落状況——広がりは続いている

ここが今日の面白いところです。寄与度が再集中したにもかかわらず、市場全体の広がりは損なわれていません。

項目8月13日8月12日8月10日
プライム値上がり比率64.9%63%58%
プライム値下がり比率32.0%34%38%
日経225の値上がり132銘柄135銘柄121銘柄
売買代金10兆206億円9兆4,421億円9兆1,904億円

プライムの値上がり比率は3営業日連続で上昇し、今日が最も高い水準です。売買代金も10兆円を超えました。ただし売買高は24億株と3日で最も少なく、休暇シーズンで商い自体は伸びていません。値がさ株中心の商いだったことがうかがえます。

なお前場中盤の時点では、大手証券から「プライム市場全体では4割以上の銘柄が値下がりしており、全体的には売り買い交錯状態」との見方も出ていました。裾野が広がったのは大引けにかけての動きです。

業種別・テーマ別の動き——日経とTOPIXの二枚看板

半導体・AI関連(日経平均の牽引役)

アドバンテスト、東エレク、イビデン、キオクシアHD、TDK、村田製作所、太陽誘電、レーザーテック、ディスコ、KOKUSAIが軒並み上昇しました。12日はレーザーテックとディスコが逆行安でしたが、今日は揃って買われています。セクター内の温度差が解消された点は、資金の本格回帰を示す材料と言えそうです。

KOKUSAIは9,015円(+358円)と続伸。MSCIの「グローバルスタンダード指数」定期見直しで、日本株では同社のみが新規採用されたことが材料になりました。

銀行業(TOPIXの牽引役、業種別上昇率トップ)

業種別上昇率トップは銀行業でした。前場の段階で大手証券は「TOPIXは日銀の早期利上げ観測と旺盛な資金需要を背景にした銀行株の上昇が寄与している」と指摘しています。12日に続き2営業日連続の買いです。

つまり今日は、日経平均を半導体が、TOPIXを銀行が押し上げたという二枚看板の構図でした。寄与度が集中しているのに市場全体も強い、という一見矛盾する状況は、指数ごとに別々のエンジンが動いていたためです。

その他の動き

ガラス・土石製品、金属製品も業種別上昇上位。一方でゴム製品、鉄鋼、その他製品が下落しました。ゴム製品は原油高のコスト増を受けやすく、12日に続いて下落上位です。ゲーム関連ではコナミG、バンナムHD、ソニーGが揃って下落し、12日にスクエニHDが買われた流れは続きませんでした。

為替・米国株・金利

項目水準備考
ドル円(東京15時)159.27円日中レンジ159.18〜159.49円
NYダウ(12日終値)53,770.27ドル▲21.58ドル/▲0.04%
S&P500(12日終値)7,748.50+20.30/+0.26%
NASDAQ(12日終値)26,588.49+143.04/+0.54%
SOX指数(12日)確認できず+2.49%
米10年債利回り(12日)4.698%+0.008
WTI原油(12日終値)83.27ドル+0.07ドル
VIX指数(12日)14.55▲0.73

ここで見落としたくないのが、CPIが鈍化した日に米10年債利回りが下がらなかったという事実です。前日比+0.008%とわずかながら上昇しています。2年債は0.013%ポイント低下した一方で、30年債は0.012%ポイント上昇。2年債と10年債の利回り差は0.47%から0.49%へ拡大しました。

物価の落ち着きが効いたのは政策金利に近い短い金利だけで、長い金利は動いていません。12日に実施された米10年債入札は最高落札利回りが4.683%と2007年以来の高さで、応札倍率も2.59倍から2.53倍へ低下しています。長期金利を押し上げているのは物価統計ではなく、83ドル台から下がらない原油と、国債を買う手の細さです。今日の株高の土台は短期金利にあり、長期側はまだ何も織り込み直していない点は頭に入れておきたいところです。

ドル円は15時時点で159.27円。159.49円まで上値を伸ばしたものの、12日の高値159.54円を前に伸び悩みました。13時50分ごろ「高市政権が日銀の利上げを支持している」との関係者発言の報道が伝わると一時159.18円まで下押ししましたが、下値は堅く159.30円台へ戻しています。

個別決算・材料株

銘柄材料株価反応
TOPPAN1Q営業益200億円(+47.9%)で市場予想を90億円近く上回る。生活産業・エレクトロニクスが会社計画比でも上振れ5,448円(+530)
弁護士ドットコム1Q営業益7億円(+36.8%)。AIとの競争激化懸念が高まっていた中での好決算でショートカバーストップ高(+500)
KOKUSAIMSCIグローバルスタンダード指数に日本株で唯一の新規採用9,015円(+358)
サトー1Q大幅増益と自社株買いを発表+330円
THECOO26年12月期予想を上方修正、売上高を54.80億円→61.40億円へストップ高(+501)
東京通信G2Q経常益2.66億円(+153.4%)。継続企業の前提に関する重要事象等の記載解消も発表259円(+33)
東京海上HD1Q経常益3,781億円(+11.5%)でコンセンサス2,837億円を上回る7,622円(▲129)
QDレーザ27年3月期1Qが0.45億円の営業赤字大幅反落

目を引くのは東京海上HDです。コンセンサスを900億円以上上回る決算を出しながら売られました。バリュー株の利益確定売りという今日の地合いで説明できそうですが、個別の要因は確認できていません。TOPPANや弁護士ドットコムのように「予想を上回れば買われる」銘柄と並べると、決算そのものより持たれ方の差が効いた一日だったように見えます。

テクニカル面

8月12日時点の25日移動平均線は6万5,769円で、今日の終値はこれを約2,540円、率にして約3.9%上回る計算になります。25日線との乖離率は8月10日が1.69%、12日が2.67%でしたから、3営業日で急速に上方へ離れてきました。上に離れているぶん、押し戻される余地も同じだけあります。

フィスコは12日時点のテクニカル分析で、25日線は下降中だが計算起点の株価が下落基調のため下降角度は縮小方向にあり、週内の上向き転換による上昇局面入りの確認が期待できるとしています。

一方、テクニカルアナリストの伊藤智洋氏は13日記のレポートで、日経平均は7月29日以降の反発局面における上値の限界を確認する作業に入っている公算があると指摘。6月22日の高値7万2,831円が当面の天井になっているなら、目先は7月10日の高値6万9,374円前後で上値を抑えられる動きになると見ています。

上値のめどは心理的節目の6万9,000円、その先に6万9,374円。下値は6万6,000円、その次が25日線という並びです。なお8月13日時点の25日線・75日線・RSIは確認できていません。

今後の見通し

期間想定レンジ主な前提条件
翌営業日(8月14日)67,000円〜69,400円今晩の米PPIと8月限オプションSQが重なります。SQ通過後は需給要因が剥がれやすく、振れ幅が大きくなる可能性があります
1ヶ月後63,500円〜72,800円9月FOMCでの利上げ有無が最大の分岐点。今月後半のジャクソンホール会議でのウォーシュ議長の発言も注目されます
1年後59,000円〜84,000円AIインフラ投資の持続性、日銀の利上げペース、原油価格と長期金利の落ち着きどころが主な変数となります

今日の結論

今日の一言は「集中は戻ったが、広がりも残った」です。

上位2銘柄の集中度は12日の39%から59%へ戻り、アドバンテスト1銘柄が上げ幅の4割超を稼ぎました。それでもプライムの値上がり比率は65%と今週最高で、TOPIXは連日の最高値更新。日経平均を半導体が、TOPIXを銀行が押し上げるという二枚看板が成立したためです。

気になるのは、CPIが鈍化した日に米長期金利が下がらなかったこと。株が反応したのは短期金利だけで、長期側は原油と国債需給に縛られたままです。今晩は米PPI、明日は8月限のオプションSQ。今日の上昇にヘッジ買いが含まれていたとすれば、SQ通過後にその分が剥がれる可能性もあります。25日線からの乖離が3.9%まで開いてきた点と合わせ、明日以降は上値の限界を試す展開になりやすい局面です。

通常版のコンパクトなまとめは今日の日本株ノートをご覧ください。

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【2026年8月13日】今日の日本株ノート|米CPI鈍化で6万8000円回復、TOPIXは連日の最高値
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