9月18日の東京株式市場で、日経平均株価は前日比882円70銭高の6万5018円95銭と3日続伸しました。終値で6万5000円台を回復したのは10日以来です。上げ幅は一時1300円を超えました。
ところが同じ日に、TOPIXは3日ぶりに反落しています。東証プライムで値下がりしたのは1003銘柄、値上がりはわずか511銘柄でした。3分の2の銘柄が下げるなかで、日経平均だけが882円上昇した一日です。
この構図には見覚えがあります。今週の初日、9月14日は日経平均が518円下げるなかで78.5%の銘柄が上昇した日でした。週の初めと終わりが、正反対の形で同じ現象を示しています。
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相場サマリー
| 指数 | 終値 | 前日比 | 騰落率 |
|---|---|---|---|
| 日経平均株価 | 65,018.95円 | +882.70円 | +1.38% |
| TOPIX | 4,091.14pt | -3.05pt | -0.07% |
| JPX日経インデックス400 | 36,690.47 | -93.56pt | -0.25% |
| JPXプライム150指数 | 1,712.32 | +1.22pt | +0.07% |
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 始値 | 64,681.55円(+545.30円) |
| 前引け | 64,662.11円(+525.86円) |
| 高値・安値 | 確認できず(上げ幅は一時1,300円超) |
| 売買代金(東証プライム) | 10兆3,969億円 |
| 売買高(東証プライム) | 28億6,228万株 |
| 騰落銘柄数(東証プライム) | 値上がり511/値下がり1,003/変わらず40 |
売買代金10兆3969億円は、8月19日以来およそ1カ月ぶりの大商いです。前日の7兆1538億円から3兆2000億円以上増えました。ただし「買いが膨らんだ」というより「売買が膨らんだ」と表現するほうが正確でしょう。値上がりより値下がりのほうがはるかに多いのですから、増えた代金の相当部分は売り側に立っています。
日経平均を動かした主な要因
第一に、日銀の利上げです。日銀は政策金利を1.0%程度から1.25%程度へ引き上げました。1.25%は31年ぶりの高水準で、追加利上げは3カ月ぶり。2024年3月以降の利上げ局面では最短の間隔になります。ただし採決は全会一致ではなく、金融緩和と積極財政を志向するリフレ派の浅田統一郎氏と佐藤綾野氏の両審議委員が反対票を投じました。この2票が「利上げペースは加速しない」というメッセージと受け止められ、円売りを呼びました。
第二に、その円安が海外短期筋の先物買いを誘ったことです。円相場は12時前の発表直後に156円90銭台まで売られ、後場に入ると株価指数先物への買いが膨らみました。上げ幅が1300円を超えたのはこの時間帯です。日経平均は先物の影響を受けやすい指数であり、現物株の物色とは別の力が働いたことになります。
第三に、前日の米国市場と原油です。17日のNYダウは316ドル14セント高の5万1778ドル04セント、ナスダック総合は439.873ポイント高の2万6418.298とそろって4営業日ぶりに反発しました。WTI原油先物が一時1バレル99ドル台前半と前日比3%安まで下げ、米10年債利回りも5%を割り込んだことが支えです。原油と金利という、今週ずっと相場を圧迫してきた2つの重しが同時に軽くなりました。
寄与度分析
日経平均を押し上げたのは、ごく少数の半導体株でした。アドバンテスト、東京エレクトロン、キオクシアHDの3銘柄で、日経平均を700円あまり押し上げています。日経平均の上げ幅882円70銭のうち、8割近くをこの3銘柄が占めた計算です。
前場の時点では、アドバンテスト、東京エレクトロン、ソフトバンクグループの3銘柄で600円あまりの押し上げでした。後場にかけてキオクシアHDが伸び、押し上げの中心が入れ替わっています。キオクシアHDは9.40%高と、プライムの値上がり率3位に入りました。
| 区分 | 銘柄 | 寄与度 | 株価騰落率 |
|---|---|---|---|
| 押し上げ(3銘柄計) | アドバンテスト<6857>・東京エレクトロン<8035>・キオクシアHD<285A> | 約+700円 | キオクシアHD +9.40%、他は確認できず |
| 押し上げ | ソフトバンクG<9984> | 確認できず | 確認できず |
| 押し上げ | レーザーテック<6920> | 確認できず | +8.70% |
| 押し下げ | 商船三井<9104> | 確認できず | 確認できず |
| 押し下げ | 伊藤忠商事<8001> | 確認できず | 確認できず |
| 押し下げ | ファーストリテ<9983>・KDDI<9433>・リクルートHD<6098> | 確認できず | 確認できず |
個別の寄与度の円換算は本記事執筆時点では確認できず。ただし押し下げ側の顔ぶれには意味があります。ファーストリテイリング、KDDI、リクルートHDは、いずれも前日17日に押し上げ上位だった銘柄です。逆に本日の押し上げ役であるアドバンテスト、東京エレクトロン、キオクシアHDは、前日の押し下げ上位でした。
5営業日連続で入れ替わった主役
| 銘柄 | 9/14 | 9/15 | 9/16 | 9/17 | 9/18 |
|---|---|---|---|---|---|
| ソフトバンクG | 押し下げ1位 | 押し上げ1位 | 押し下げ1位 | 押し上げ2位 | 押し上げ側 |
| アドバンテスト | 押し下げ2位 | 押し下げ1位 | 押し上げ1位 | 押し下げ1位 | 押し上げ側 |
| 東京エレクトロン | 押し下げ4位 | 押し下げ2位 | 押し上げ2位 | 押し下げ2位 | 押し上げ側 |
| キオクシアHD | 押し下げ3位 | 押し上げ3位 | 押し下げ2位 | 押し下げ5位 | 押し上げ側 |
5営業日すべてで、同じ4銘柄が押し上げと押し下げの間を往復しました。AI・半導体というテーマに対する市場の評価が、一週間を通じて定まらなかったということです。
東証プライムの騰落状況
東証プライムの値上がりは511銘柄、値下がりは1003銘柄、変わらずは40銘柄でした。値下がり比率は約65%です。偏りは朝から明確で、9時30分時点ですでに値下がり1129に対して値上がりは362でした。
今週の値上がり比率を並べると、14日が78.5%、15日が51%、16日が67%、17日が83%、そして18日が約33%です。最終日が最も低い水準でした。
日経平均が882円高となりながら大半の銘柄が下げたのは、株価の高い半導体3銘柄に買いが集中したためです。株価平均型指数である日経平均は、値がさ株の動きに強く影響されます。一方、時価総額加重のTOPIXは幅広い銘柄の下落を反映し、0.07%安と反落しました。JPX日経400も0.25%安です。
9月14日は、ソフトバンクグループ1銘柄の押し下げが指数の下げ幅を上回り、8割の銘柄が上昇していました。本日はその逆で、半導体3銘柄の押し上げが上げ幅の8割を占め、3分の2の銘柄が下落しています。同じ指数の性質が、週の初めと終わりで反対方向に働いた形です。
業種別・テーマ別の動き
買われたセクター
買われたのは半導体・AI関連に限られます。アドバンテスト、東京エレクトロン、キオクシアHD、レーザーテック、イビデン、ソフトバンクグループが上昇しました。前日の米国市場でSOX指数が続伸し、エヌビディアのファン最高経営責任者が今後1年間の販売が倍増するとの強い見通しを示したことも追い風です。値上がり率上位にはAクリエイトが27.94%高、関電化が9.64%高、キオクシアが9.40%高、フルヤ金属が9.36%高、レーザーテクが8.70%高と並びました。
売られたセクター
売られたのは、今週ここまで堅調だったバリュー株です。原油価格や金利の上昇一服感から物色の矛先が変わり、商船三井や伊藤忠といった海運・商社が下落しました。WTIが106ドル台から99ドル台まで下げたことで、資源高を支えにしていた銘柄が一斉に反対側へ回っています。
銀行株も軟調でした。ここが今週を通じて最も不思議な点かもしれません。日銀が実際に利上げを決めた当日ですら、銀行株は買われていないのです。今週5営業日、金利が上昇局面にあったにもかかわらず、銀行株が素直に買われた日は一度もありませんでした。反対票2票による利上げペース鈍化観測と、5連休前の持ち高調整が重なったとみられます。
前日の押し上げ役だったファーストリテイリング、KDDI、リクルートHDも下落しました。業種別騰落率の具体的数値は確認できず。
為替・米国株・金利の影響
円相場は日銀の発表を境に大きく動きました。朝方は8時10分に155円87銭まで下げた後に上昇基調となり、12時時点は1ドル156円62〜65銭。前日17時時点と比べて94銭の円安ドル高です。156円10銭台にあった円相場は発表後に156円90銭台まで売られ、一時156円86銭付近まで上値を伸ばしました。
| 項目 | 水準 | 前日比 |
|---|---|---|
| ドル円(9/18 12:00) | 156.66円 | 98銭の円安 |
| NYダウ(9/17終値) | 51,778.04ドル | +316.14ドル(+0.61%) |
| ナスダック総合(9/17終値) | 26,418.30 | +439.87(+1.69%) |
| S&P500(9/17終値) | 7,637.76 | +85.95(+1.14%) |
| 米10年債利回り | 4.945% | -0.078%(5%割れ) |
| 日本10年債利回り | 2.983% | -0.011% |
| WTI原油先物 | 101.78ドル | -0.65ドル(一時99ドル台) |
円安が進んだ理由は、日米の金利差が縮まらないという見立てです。FOMC参加者の大半は年内に1〜2回の追加利上げを見込んでおり、日銀が利上げ路線を継続しても差は埋まりにくいとみられています。加えて、19日から始まる大型連休を前に国内の事業会社がドル調達を急いだという実需要因も重なりました。
今週のドル円は、14日の154円02銭から18日の156円66銭まで、5営業日連続で円安が進みました。週間では約2円60銭です。日米がそろって利上げを決めた週に円安が進んだという事実は、金利差だけで為替が決まるわけではないことを示しています。
個別決算・材料株
| 銘柄 | 材料 | 株価反応 |
|---|---|---|
| キオクシアHD<285A> | 米SOX指数続伸、AI・半導体への資金回帰 | +9.40%(値上がり率3位) |
| Aクリエイト | 確認できず | +27.94%(値上がり率1位) |
| 関東電化工業<4047> | 確認できず | +9.64% |
| フルヤ金属<7826> | 確認できず | +9.36% |
| レーザーテック<6920> | 半導体関連への買い | +8.70% |
| フェローテックHD<6890> | 日本抵抗器製作所の買収を発表 | もみ合い(影響は限定的との声) |
新規上場ではアキッパなど4社が上場しましたが、いずれも初値が公開価格を下回りました。指数が大幅高となった日に新規上場4社がそろって公開価格割れというのは、市場全体の温度感が指数ほど高くなかったことを裏づけています。主要企業の決算発表は確認できず。
テクニカル面
終値で6万5000円台を回復したのは9月10日以来です。次の上値メドは、その9月10日の終値6万5270円95銭になります。
下値の節目は今週を通じて機能してきました。17日安値の6万3824円56銭は26週移動平均線の6万3825円52銭とほぼ一致し、15日安値6万3067円18銭と9月限SQ値6万3039円がその下に控えています。今週はこの帯を一度も終値で割り込みませんでした。
ただし本日の上昇は、半導体3銘柄と先物主導によるものです。値上がり銘柄が511にとどまるなかでの6万5000円回復であり、相場全体の底上げを伴っているとは言いにくい状況です。なお、本日の高値・安値、25日・75日移動平均線との乖離率、RSI、日経平均VIの具体的な数値は確認できず。
今後の見通し
19日から23日まで、東京市場は5連休に入ります。次の営業日は9月24日です。この間の海外市場の変動をすべて織り込んでの再開となるため、翌営業日のレンジは通常より広く見ておく必要があります。
| 期間 | 想定レンジ | 主な前提条件 |
|---|---|---|
| 翌営業日(9月24日) | 63,500円〜66,500円 | 5連休中の海外市場の変動をまとめて織り込む。22日の米大統領と湾岸諸国首脳の会談による原油の反応、および連休中の米ハイテク株の動向が主な変数 |
| 1ヶ月後 | 61,000円〜69,000円 | 日米の追加利上げペース。市場は今後12カ月で3回の米利上げを織り込む一方、FOMCのドットチャートは年内あと1回を示唆しており、この乖離が埋まる過程で振れやすい |
| 1年後 | 55,000円〜78,000円 | AI投資サイクルの持続性と日米の金利水準。年初来高値72,831円、年初来安値50,558円のレンジを基準に想定 |
連休中の注目は22日の会談です。国連総会に合わせて米大統領が湾岸諸国の首脳らと会談する見通しと伝えられており、原油の供給不安がさらに後退すれば、AI・半導体には追い風、資源・バリュー株には逆風という本日の構図が続きやすくなります。逆に会談が不調に終われば、今週何度も起きたように、セクターの並びは1日で元に戻る可能性があります。
もう一つの論点は日銀の反対票2票をどう読むかです。利上げペースの鈍化と受け取られれば円安が進みやすく、輸出企業には追い風になります。ただし円安の行き過ぎは、別の政策対応を招く可能性も残ります。
今日の結論
「週の初めと終わりで、同じことが正反対に起きた」——これが9月18日の東京市場を象徴する一言です。
9月14日は、ソフトバンクグループ1銘柄の押し下げが指数の下げ幅を上回り、8割の銘柄が上昇するなかで日経平均だけが518円下げました。9月18日は、半導体3銘柄の押し上げが上げ幅の8割を占め、3分の2の銘柄が下げるなかで日経平均だけが882円上げています。
どちらも原因は同じです。株価の高い数銘柄が日経平均を動かし、市場全体の実感とずれる。今週は寄与度という一つの物差しで、5日間すべてを説明できてしまう週でした。
日米がそろって利上げを決め、原油は106ドルから99ドルまで振れ、円は2円60銭安くなりました。材料は十分すぎるほどありましたが、AI・半導体というテーマへの評価は、週が終わっても定まっていません。
より簡潔にその日の要点だけを確認したい方は、通常版の記事もあわせてご覧ください。
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