9月17日の東京株式市場で、日経平均株価は前日比213円25銭高の6万4136円25銭と続伸しました。一大イベントであるFOMCを無難に通過したことで、寄り付きは720円58銭高の6万4643円58銭。ところが、この始値がそのまま本日の高値となりました。

前日は終値が高値となる高値引け、本日は始値が高値の寄り天。真逆の形です。しかも値上がり比率は83%と今週最高でした。指数が伸び悩んだのに市場全体は強い、という一日の中身を追いかけます。

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相場サマリー

指数終値前日比騰落率
日経平均株価64,136.25円+213.25円+0.33%
TOPIX4,094.19pt+32.47pt+0.80%
東証グロース市場250指数789.35pt+18.05pt+2.34%
項目数値
始値64,643.58円(=高値、+720.58円)
安値63,824.56円
売買代金(東証プライム)7兆1,538億円
売買高(東証プライム)19億5,662万株
騰落銘柄数(東証プライム)値上がり1,289/値下がり235/変わらず30

上昇率は日経平均0.33%、TOPIX0.80%、グロース250が2.34%。指数が小さいほど強い、という順番になっています。値上がり比率83%は今週最高で、売買代金も前日から約4500億円増えました。買い意欲を伴った上昇であることは間違いありません。それでも日経平均の上げ幅が213円にとどまった理由が、本日の焦点です。

日経平均を動かした主な要因

第一に、FOMCの通過です。FRBは日本時間17日3時に0.25%の利上げを決定し、政策金利を3.75〜4.00%としました。利上げは約3年ぶりで、票は12対0の全会一致。7月に利上げを主張して反対票を投じた3人だけでなく、慎重派とみられていた理事も含めて全員が賛成しました。市場予想どおりの結果で、織り込みが十分に進んでいたことから、東京市場の寄り付きには幅広い銘柄に買いが入りました。

第二に、その内容がタカ派だったことです。同時に公表されたドットチャートでは、2026年末の政策金利見通しの中央値が4.1%と、6月時点の3.8%から引き上げられ、年内にもう1回の利上げが示唆されました。ウォーシュFRB議長は会見で「インフレ率は高すぎる。その状態が長期間続いている」と述べています。この想定外のタカ派姿勢を受け、16日の米国市場ではNYダウが631ドル21セント安の5万1461ドル90セントと3日続落しました。東京市場の寄り付き後の失速は、この内容を時間をかけて消化した結果といえます。

第三に、原油の反落です。前日に106ドル台まで上昇していたWTI原油先物が反落し、燃料コストの低下期待から海運や空運が買われた一方、前日の主役だった鉱業や石油関連は売られました。セクターの並びがまたも1日で入れ替わっています。

寄与度分析

値上がり182銘柄の寄与度合計が+593.59円、値下がり42銘柄が-380.34円。値下がりはわずか42銘柄なのに、380円分の押し下げを生んでいます。この偏りが213円という小さな上げ幅の正体です。

区分銘柄寄与度終値/前日比
押し上げ1位ファーストリテ<9983>+53.90円67,700円/+670円
押し上げ2位ソフトバンクG<9984>+51.49円6,247円/+64円
押し上げ3位リクルートHD<6098>+29.16円17,445円/+290円
押し下げ1位アドバンテスト<6857>-111.03円30,240円/-460円
押し下げ2位東京エレクトロン<8035>-72.41円50,970円/-720円
押し下げ3位TDK<6762>-33.19円2,806円/-66円

押し上げは中外製薬が+23.93円、コナミGが+19.95円、バンダイナムコHDが+18.91円、豊田通商が+14.98円と続きます。押し下げはイビデンが-31.85円、キオクシアHDが-21.12円、村田製作所が-16.25円、太陽誘電が-12.20円でした。

押し上げ上位に並ぶのは、ファーストリテイリング、中外製薬、コナミG、バンダイナムコHD、テルモ、任天堂、大塚HD、第一三共、塩野義製薬、アステラス製薬。小売、医薬品、ゲームといったディフェンシブ性の高い銘柄が中心です。押し下げ上位はアドバンテスト、東エレク、TDK、イビデン、キオクシアHD、村田製、太陽誘電、京セラ、SCREEN、ローム、ディスコ、ルネサスと、半導体・電子部品でほぼ埋まっています。

4営業日の寄与度トップ推移

銘柄9月14日9月15日9月16日9月17日
ソフトバンクG押し下げ1位(-563.98円)押し上げ1位(+353.99円)押し下げ1位(-77.23円)押し上げ2位(+51.49円)
アドバンテスト押し下げ2位押し下げ1位(-222.05円)押し上げ1位(+130.33円)押し下げ1位(-111.03円)
東京エレクトロン押し下げ4位押し下げ2位(-28.16円)押し上げ2位(+104.59円)押し下げ2位(-72.41円)

4営業日で、アドバンテストと東京エレクトロンは押し上げと押し下げを3回往復しました。ソフトバンクグループに至っては毎日反対側へ移っています。もっとも、振れ幅そのものは縮んできました。ソフトバンクGの寄与度は14日の-563.98円から本日は+51.49円へと、絶対値で10分の1以下です。テーマ全体が一斉に振り回される局面は、少しずつ収まりつつあるようにも見えます。

東証プライムの騰落状況

東証プライムの値上がりは1289銘柄、値下がりは235銘柄、変わらずは30銘柄でした。値上がり比率は83%に達しています。今週の推移を並べると、14日が78.5%、15日が51%、16日が67%、そして本日が83%。今週最高の水準です。

日経平均の構成225銘柄でも、値上がり182・値下がり42・変わらず1と8割以上が上昇しました。それでも指数の上げ幅が213円にとどまったのは、値下がりした42銘柄のほとんどが株価の高い半導体・電子部品株だったためです。値がさ株ほど日経平均への影響が大きい株価平均型指数の性質が、ここでも表れています。

9月14日は「指数だけが下げ、8割が上昇した日」でした。本日は「指数が伸び悩み、8割が上昇した日」です。方向は違いますが、原因となる構造は同じです。

業種別・テーマ別の動き

上昇したセクター

上昇したのは海運業、その他製品、医薬品などです。前引け時点では33業種中28業種が上昇していました。海運は原油反落による燃料コスト低下期待に加え、川崎汽船やNTTには配当権利取りの動きも重なっています。その他製品は任天堂、バンダイナムコHD、コナミGが牽引しました。

医薬品は前日の下落率トップから一転して上昇率上位です。中外製薬、大塚HD、第一三共、アステラス製薬、塩野義製薬が軒並み高となりました。塩野義製薬には小児アトピー性皮膚炎薬の製造販売承認を獲得したという個別材料もあります。

下落したセクター

下落したのは鉱業、非鉄金属、証券・商品先物取引業などです。前日に上昇率トップだった石油・石炭製品と鉱業は、原油の反落でそのまま反対側へ移りました。INPEXは原油安が嫌気されて大幅に下落しています。非鉄金属では住友金属鉱山が372円安、三井金属鉱業が1525円安でした。

証券・商品先物取引業の下落は3営業日連続です。米国が利上げを決め、国内の長期金利も3%台に乗せる場面があったにもかかわらず、金融株は買われていません。金利上昇が金融株買いにつながらない状態が今週ずっと続いており、日銀会合を前にした持ち高調整が続いているとみられます。

半導体だけが取り残された

本日の特徴は、半導体・電子部品が単独で売られたことです。アドバンテスト、東エレク、TDK、イビデン、キオクシアHD、村田製、太陽誘電、京セラ、SCREEN、ローム、ディスコ、ルネサス、安川電機、レゾナックHDと、押し下げ上位はほぼこのセクターで占められました。

一方でグロース250指数は2.34%上昇し、前日の2%超下落から反転しています。東京計器が証券会社の目標株価引き上げで8.68%高となるなど、個別材料株への物色も活発でした。資金が市場から逃げたのではなく、半導体を避けて他へ回った一日だったといえます。

為替・米国株・金利の影響

ドル円は16時時点で1ドル155円65銭でした。前日16時の154円98銭から67銭の円安です。FOMCのタカ派姿勢を受けて16日には155円00銭付近から156円41銭まで上昇しましたが、17日は米長期金利が頭打ちとなったことと明日の日銀会合を見据えた動きから、155円60銭台まで下落しています。

項目水準前日比
ドル円(9/17 16:00)155.65円67銭の円安
NYダウ(9/16終値)51,461.90ドル-631.21ドル(3日続落)
ナスダック総合(9/16終値)25,978.43-3.14
S&P500(9/16終値)7,551.81-33.92
FF金利誘導目標3.75〜4.00%0.25%引き上げ(全会一致)
日本10年債利回り日中に3%台へ前日2.998%から上昇

ドル円は9月14日の154円02銭から4営業日続けて円安方向に進んでいます。ただし本日は米長期金利が頭打ちとなり、時間外取引でわずかに低下したことが東京市場を支える格好となりました。FOMCの内容がタカ派でも、金利がそれ以上は上がらないと市場が判断すれば、株式には追い風になります。この点は明日の日銀会合後にも当てはまる可能性があります。

個別決算・材料株

銘柄材料株価反応
塩野義製薬<4507>小児アトピー性皮膚炎薬の製造販売承認を獲得+90.5円(2,982.5円)
東京計器<7721>証券会社が目標株価を引き上げ(中期的には新領域が牽引)+8.68%
レオパレス21<8848>確認できず+12.65%(値上がり率1位)
川崎汽船<9107>・NTT<9432>配当権利取り上昇(株価は確認できず)
SUBARU<7270>円相場の弱含み上昇(株価は確認できず)
INPEX<1605>原油安大幅下落(株価は確認できず)

本日は主要企業の決算発表がなく、決算を材料とした値動きは限定的でした。値上がり率上位はレオパレス21が12.65%高、ジャパンディスプレイが10.87%高、Ineが8.79%高、東京計器が8.68%高、双葉電子工業が7.15%高です。新興市場ではクリングルファーマとトラースOPが大幅反発しました。

テクニカル面

本日の安値6万3824円56銭は、26週移動平均線の6万3825円52銭とわずか1円差で止まりました。ほぼぴったり同じ水準です。ここを終値で割り込まないかぎり、下値は26週線が支えていると考えてよさそうです。

上値は本日の高値であり始値でもある6万4643円58銭。寄り天の形は、その日の高値で買った投資家が含み損を抱えることを意味し、通常は戻り売り圧力として残ります。ただし終値6万4136円25銭は前日比プラスを保っており、下値では買いが入っていることも確かです。

その下の節目は15日安値6万3067円18銭と9月限SQ値6万3039円。今週はこの帯を一度も割り込んでいません。なお、25日・75日移動平均線との乖離率、RSI、日経平均VIの具体的な数値は確認できず。

今後の見通し

期間想定レンジ主な前提条件
翌営業日63,300円〜65,000円日銀金融政策決定会合の結果と植田総裁会見が最大の変数。26週線63,825円が下支えとして機能するかどうか。上値メドは本日高値64,643円
1ヶ月後61,000円〜68,000円日米の利上げ経路。米国は年内もう1回の利上げが示唆されており、日銀の判断次第で日米金利差の方向が変わる。原油の落ち着きが続くかも変数
1年後55,000円〜78,000円AI投資サイクルの持続性と日米の金利水準。年初来高値72,831円、年初来安値50,558円のレンジを基準に想定

明日18日には日銀金融政策決定会合の結果発表と植田総裁の記者会見が予定されています。FOMCがタカ派だった直後だけに、日銀の判断と会見のトーンは円相場と株価の双方を左右しそうです。本日の東京市場が示したのは、「結果そのものより、その後の金利の動き方に反応する」という構図でした。同じことが明日にも当てはまる可能性があります。

もう一つの変数は原油です。22日に米大統領が湾岸諸国の首脳と会談すると伝わっており、供給不安が和らげばWTI先物の100ドル割れも視野に入ります。逆に不調に終われば、本日の業種の並びは1日で元に戻りかねません。今週すでに3度、セクターの顔ぶれが入れ替わっています。

今日の結論

「イベントは通過したが、半導体だけが取り残された」——これが9月17日の東京市場を象徴する一言です。

FOMCを無難に通過した安心感で720円高で始まり、値上がり比率は83%と今週最高を記録しました。医薬品、海運、ゲーム、中小型株と、買われた範囲は広がっています。それでも日経平均が213円高にとどまったのは、値下がりしたわずか42銘柄のほとんどが半導体・電子部品だったからです。

今週は寄与度が相場のすべてを説明する日が4日続きました。ただし振れ幅は着実に縮んでいます。ソフトバンクグループの寄与度は14日の564円から本日は51円へ。日替わりで主役が入れ替わる荒い値動きは、少しずつ落ち着きに向かっているのかもしれません。その答えは、明日の日銀会合の後に出ます。

より簡潔にその日の要点だけを確認したい方は、通常版の記事もあわせてご覧ください。

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【2026年9月17日】今日の日本株ノート|FOMC通過で720円高発進も始値が高値、値上がり83%の裏で半導体だけが失速
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