9月16日の東京株式市場で、日経平均株価は前日比438円90銭高の6万3923円00銭と4営業日ぶりに反発しました。しかも終値がその日の高値、いわゆる高値引けです。

ただし一日を通して強かったわけではありません。前場はマイナス圏で終えており、相場の表情が変わったのは後場に入ってからでした。何が変わったのか。原油とセクターの入れ替わり、そして3営業日連続で交代している寄与度トップの顔ぶれから読み解きます。

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相場サマリー

指数終値前日比騰落率
日経平均株価63,923.00円+438.90円+0.69%
TOPIX4,061.72pt+24.56pt+0.61%
東証グロース市場250指数確認できず確認できず2%超の下落
項目数値
始値63,672.13円(+188.03円)
高値63,923.00円(=終値、高値引け)
安値確認できず(前場はマイナス圏で終了)
売買代金(東証プライム)6兆7,075億円
売買高(東証プライム)17億6,909万株
騰落銘柄数(東証プライム)値上がり1,048/値下がり452/変わらず53

注目したいのは売買代金です。前日の7兆4384億円から約7300億円減りました。買いが膨らんだのではなく、売りが引いた結果の上昇という性格が読み取れます。FOMCの結果発表を翌未明に控え、新規の売買を手控える動きが背景にありそうです。

日経平均を動かした主な要因

第一に、原油です。中東情勢の緊迫化を背景に、WTI原油先物は一時1バレル106ドル台まで上昇しました。14日終値の102ドル台からさらに一段高となり、これを受けてINPEX、出光興産、ENEOSといった石油関連が朝方から買われています。もっとも原油高はインフレ懸念を通じて金利を押し上げる要因でもあり、指数全体としては買いが続かず、寄り付き後すぐにマイナス圏へ転じました。

第二に、後場の韓国株高です。KOSPI(韓国総合株価指数)が上昇したことを追い風に、後場は寄り付きから200円を超える上昇となりました。AI関連の動きが良くなってきたことで投資家心理が強気に傾き、終盤にかけて上げ幅を広げています。

第三に、前日の米国株安が限定的な影響にとどまったことです。15日のNYダウは328ドル09セント安の5万2093ドル11セント、ナスダック総合は204ポイント84銭安の2万5981ドル57セントと続落しました。米10年債利回りは2007年以来19年ぶりの高水準となる5.04%を付けています。それでもパニック的な下げではなく、東京市場も落ち着いた反応にとどまりました。

寄与度分析

値上がり152銘柄の寄与度合計が+668.75円、値下がり70銘柄が-229.85円。差し引き438円90銭高という内訳です。押し上げは前日まで売られていたAI・半導体の装置株に集中しました。

区分銘柄寄与度終値/前日比
押し上げ1位アドバンテスト<6857>+130.33円30,700円/+540円
押し上げ2位東京エレクトロン<8035>+104.59円51,690円/+1,040円
押し上げ3位ファーストリテ<9983>+32.99円67,030円/+410円
押し下げ1位ソフトバンクG<9984>-77.23円6,183円/-96円
押し下げ2位キオクシアHD<285A>-22.76円50,780円/-970円
押し下げ3位コナミG<9766>-20.45円20,675円/-610円

押し上げはリクルートHDが+31.18円、信越化学が+21.29円、ファナックが+20.45円、TDKが+19.36円、フジクラが+19.11円と続きます。押し下げ側は大塚HDが-17.43円、イビデンが-11.06円、メルカリが-8.25円でした。

3営業日連続で交代した寄与度トップ

今週の東京市場を最も端的に表しているのが、この表です。

銘柄9月14日9月15日9月16日
ソフトバンクG押し下げ1位(-563.98円)押し上げ1位(+353.99円)押し下げ1位(-77.23円)
アドバンテスト押し下げ2位押し下げ1位(-222.05円)押し上げ1位(+130.33円)
東京エレクトロン押し下げ4位押し下げ2位(-28.16円)押し上げ2位(+104.59円)
キオクシアHD押し下げ3位押し上げ3位(+27.22円)押し下げ2位(-22.76円)

同じ4銘柄が、3日間にわたって押し上げと押し下げの首位を入れ替わり続けています。AI関連というテーマ全体への評価が定まらないまま、日替わりで売り買いの対象が移っている状態です。ただし変化の兆しもあります。14日は5銘柄そろって売られたのに対し、16日は装置株(アドバンテスト、東エレク)が買われ、メモリ・基板(キオクシアHD、イビデン、ディスコ)が売られました。テーマ単位から銘柄単位の選別へ、という前日に見えた動きがさらに進んだ形です。

東証プライムの騰落状況

東証プライムの値上がりは1048銘柄と7割に迫り、値下がりは452銘柄、変わらずは53銘柄でした。比率では値上がり67%、値下がり29%です。業種別では全33業種のうち23業種が上昇し、10業種が下落しました。

日経平均の構成225銘柄でも値上がり152・値下がり70・変わらず3と、同じく7割近くが上昇しています。指数と中身の方向が一致した日でした。14日は指数だけが下げ、15日は指数だけが踏みとどまった日でしたから、今週に入って初めて両者が素直に揃ったことになります。

業種別・テーマ別の動き

上昇したセクター

上昇率トップは石油・石炭製品でした。原油106ドル台への上昇を受け、出光興産が69円高の1670円、ENEOSが70円高の1474円、INPEXが124円高の4060円と大幅に買われています。鉱業も上位に入り、石油資源が上昇しました。以下、繊維製品、化学、海運業が値上がり率上位です。帝人や東レ、郵船や川崎汽船、住友金属鉱山や住友電工、レゾナックや信越化学が堅調でした。

電線大手3社(古河電工、住友電工、フジクラ)はそろって2%台の上昇です。大成建設や清水建設などのゼネコン株も動きが良く、パナソニックや日立といった電機株の一角にも買いが入りました。

下落したセクター

下落率上位は医薬品、情報・通信業、空運業、ゴム製品、小売業でした。医薬品は大塚HD、中外製薬、住友ファーマが安く、情報・通信はソフトバンクGとメルカリが重荷となっています。

小売・外食の下げが目立った点も特徴です。神戸物産、ニトリHD、スギHD、ツルハHDといった小売専門店株や、サイゼリヤ、ゼンショーHDなどの外食株に大きく売られる銘柄が多く見られました。前日まで買われていた内需株からの資金流出です。

前日との反転が続いている

セクターの顔ぶれも、寄与度と同じく反転しています。石油・石炭製品は前日の下落率トップ(-2.24%)から本日は上昇率トップへ。医薬品は前日の上昇率2位(+1.12%)から本日は下落率上位へ。情報・通信業は前日の上昇率トップ(+2.07%)から本日は下落率上位へ移りました。

グロース250指数も同様です。前日は内需比率の高さから資金が向かいましたが、本日は高く始まった後に下げ続け、2%を超える下落となりました。資金がプライムの主力へ戻ったことの裏返しといえます。

為替・米国株・金利の影響

ドル円は東京時間15時時点で1ドル155円17銭でした。12時時点の155円24銭からは7銭のドル安で、FOMCでの金利発表とウォーシュFRB議長の会見を控えたポジション調整の売りから155円10銭台に押し戻されています。参考レンジは155円03銭から155円49銭でした。

項目水準前日比
ドル円(9/16 15:00)155.17円約36銭の円安
NYダウ(9/15終値)52,093.11ドル-328.09ドル
ナスダック総合(9/15終値)25,981.57-204.84
米10年債利回り5.04%前後2007年以来19年ぶりの高水準
WTI原油先物一時106ドル台中東情勢の緊迫化

ドル円は9月14日の154円02銭、15日の154円81銭、16日の155円17銭と3営業日続けて円安方向に進んでいます。一方で金利の恩恵を受けるはずのメガバンクは軟調で、三菱UFJやみずほFGが売られました。金利上昇が銀行株買いにつながらない状態は3日続いています。イベント前の持ち高調整が、教科書どおりの連動を上回っているということでしょう。

個別決算・材料株

銘柄材料株価反応
渋谷工業<6340>証券会社が投資判断を引き上げ+6.21%(5,470円)
セントラル硝子<4044>無水フッ酸の供給確保計画が経済産業省から認定急伸(株価は確認できず)
INPEX<1605>原油106ドル台への上昇+124円(4,060円)
GXパートナーズ2026年8月期業績予想を上方修正急反発(株価は確認できず)
ジーネクスト<4179>第三者割当による新株式および新株予約権の発行を発表-11円(334円)
メルカリ<4385>情報通信株への売り-6.36%(3,621円)

マクロ面では、8月の日本の輸出が前年同月比19.3%増と12カ月連続のプラスとなりました。円安の進行が輸出金額を押し上げている構図で、円安が続く限り輸出企業の業績には追い風が働きます。なお個別企業の決算発表とその株価反応は確認できず。本日はFOMC待ちのマクロ要因が支配的でした。

テクニカル面

高値引けで終えたことは、翌日の寄り付きに買いが残りやすいことを示唆します。終値6万3923円は6万4000円の節目まであと77円で、9月11日以来の水準回復が視野に入りました。

下値では、15日の安値6万3067円18銭と9月限SQ値6万3039円が引き続き目安です。この帯を割り込まずに3営業日を過ごしたことで、下値の堅さは確認できたといえます。ただし本日の上昇は売買代金が7300億円減るなかでのものであり、買いの厚みが伴っているかどうかは翌日以降の出来高で確かめる必要があります。

なお、25日・75日移動平均線との乖離率、RSI、日経平均VIの具体的な数値は確認できず。日中の安値も本記事執筆時点では確認できていません。

今後の見通し

期間想定レンジ主な前提条件
翌営業日63,000円〜65,000円FOMCの結果とウォーシュFRB議長会見への反応が最大の変数。ドットチャートが複数回の利上げを示せば金利上昇で上値が重くなり、波乱なく通過すれば64,000円回復から戻りを試しやすい
1ヶ月後60,400円〜67,500円FOMCと日銀会合の結果、米長期金利が5%台に定着するかどうか。原油100ドル超が続けばインフレ経由で金利に上振れ圧力
1年後55,000円〜78,000円AI投資サイクルの持続性と日米の金利水準。年初来高値72,831円、年初来安値50,558円のレンジを基準に想定

翌未明のFOMCでは0.25%の利上げが決まるとの予想が多く、市場もこれを相当程度織り込んでいます。焦点は会合後に公表される政策金利見通し、いわゆるドットチャートです。ここで複数回の利上げが示されれば金利にさらなる上昇圧力がかかります。トランプ米大統領は利上げを強くけん制していますが、市場には利上げの実施がFRBの独立性への信認を高めるとして好意的に捉える見方もあります。

そしてFOMCを波乱なく通過できれば、17日から18日の日銀金融政策決定会合に対する過度な警戒も和らぐ公算が大きいといえます。

今日の結論

「原油106ドルが、相場の主役をAIから資源へ一日だけ移した」——これが9月16日の東京市場を象徴する一言です。

石油・石炭製品は前日の下落率トップから上昇率トップへ、医薬品と情報・通信業は上昇側から下落側へ。前日に続いてセクターの顔ぶれがそのまま裏返りました。寄与度でもソフトバンクGとアドバンテストが3営業日連続で首位を交代しています。

ただし、そのなかでも一つ前進がありました。AI関連が一括りに売られるのではなく、装置株が買われメモリ・基板が売られるという選別が進んだことです。テーマへの評価が定まらないなかで、銘柄ごとの区別が始まっています。この選別がFOMC通過後も続くのかどうかが、来週以降の焦点になりそうです。

より簡潔にその日の要点だけを確認したい方は、通常版の記事もあわせてご覧ください。

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