9月15日の東京株式市場で、日経平均株価は前日比8円89銭安の6万3484円10銭と小幅に3日続落しました。下げ幅はわずか8円ですが、一日の値動きはまったく小幅ではありません。安値6万3067円18銭から高値6万4101円00銭まで、値幅は1000円を超えています。

そして本日の顔ぶれは、前日の完全な裏返しでした。前日に日経平均を564円押し下げたソフトバンクグループが、本日は354円押し上げる側に回っています。何が入れ替わり、何が入れ替わらなかったのかを寄与度と業種別から追いかけます。

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相場サマリー

指数終値前日比騰落率
日経平均株価63,484.10円-8.89円-0.01%
TOPIX4,037.16pt-21.05pt-0.52%
JPX日経インデックス40036,226-234pt確認できず
項目数値
始値63,190.37円(-302.62円)
高値64,101.00円(11時26分、+608.01円)
安値63,067.18円(9時5分)
売買代金(東証プライム)7兆4,384億円
売買高(東証プライム)18億8,588万株
騰落銘柄数(東証プライム)値上がり800/値下がり685/変わらず68

売買代金は前日の7兆2866億円から増えています。前日は「売り手が現れないまま指数だけ沈んだ日」でしたが、本日は実際に売買が膨らんだうえでの横ばいでした。

日経平均を動かした主な要因

第一に、前日の米半導体株の急落です。14日の米国市場は3指数がそろって下落し、なかでもフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は5.86%安の1万1131.28と急落しました。AI開発の減速を求める業界首脳の発言が半導体関連に売りを集中させた一方、クラウドやソフトウエア関連には資金が向かうという偏った下げ方でした。東京市場も寄り付きはこの流れを引き継いでいます。

第二に、前日までの下げに対する自律反発です。日経平均は2営業日で1700円を超えて下げており、心理的節目の6万3000円に接近すると押し目買いが入りました。先週末に浮上したAI減速論への過度な懸念はいったん後退し、前場終盤には608円高まで戻しています。

第三に、金利です。国内の長期金利は一時3.030%まで上昇し、後場に入って再び3%台を超えました。さらに米10年債利回りが5.0245%と2007年以来の水準に乗せています。株式の相対的な割高感が意識され、前場の上げ幅はすべて消えました。後場は韓国株安も重荷となっています。

寄与度分析

本日の日経平均は、上下の寄与度がほぼ同じ大きさでぶつかり合いました。値上がり67銘柄の寄与度合計が+545.92円、値下がり157銘柄の寄与度合計が-554.81円です。差し引き8円89銭安。これが「8円安」の中身です。

区分銘柄寄与度終値/前日比
押し上げ1位ソフトバンクG<9984>+353.99円6,279円/+440円(+7.54%)
押し上げ2位リクルートHD<6098>+36.20円16,845円/+360円(+2.18%)
押し上げ3位キオクシアHD<285A>+27.22円51,750円/+1,160円(+2.29%)
押し下げ1位アドバンテスト<6857>-222.05円30,160円/-920円(-2.96%)
押し下げ2位東京エレクトロン<8035>-28.16円50,650円/-280円(-0.55%)
押し下げ3位フジクラ<5803>-18.10円4,744円/-90円(-1.86%)

押し上げ側では村田製作所が+18.67円、太陽誘電が+16.19円、レーザーテックが+14.88円と続きました。押し下げ側は豊田通商が-17.90円、ファーストリテイリングが-11.26円、ソニーGが-10.56円、KDDIが-10.46円です。

注目したいのは、前日と本日で「AI・半導体」という同じ括りのなかが割れたことです。前日はソフトバンクG、アドバンテスト、キオクシアHD、東京エレクトロン、フジクラの5銘柄がそろって押し下げ上位でした。本日はソフトバンクGとキオクシアHDが押し上げ側へ移り、アドバンテストと東京エレクトロン、フジクラは押し下げ側に残っています。テーマ単位の売りから、銘柄単位の選別へ移りつつある兆しと読めます。

東証プライムの騰落状況

東証プライムの値上がりは800銘柄、値下がりは685銘柄、変わらずは68銘柄でした。比率では値上がり51%、値下がり44%です。業種別では全33業種のうち25業種が下落し、上昇は8業種にとどまりました。

前日は値上がり78.5%、33業種中27業種上昇でしたから、市場の広がりという点では明確に後退しています。日経平均の構成225銘柄に絞れば、値上がり67・値下がり157・変わらず1と、売り優勢の度合いはさらに鮮明です。

つまり本日は、前日とは逆に「指数のほうが中身より強く見えた日」でした。指数が8円安で踏みとどまったのはソフトバンクG1銘柄の押し上げによるもので、TOPIXが0.52%下落した事実のほうが市場全体の実感に近いといえます。

業種別・テーマ別の動き

上昇したセクター

上昇率トップは情報・通信業で2.07%高でした。前日は1.87%安で下落率2位だった業種であり、ソフトバンクGの反発がそのまま指数に表れています。次いで医薬品が1.12%高、サービス業が0.74%高、ガラス・土石製品が0.50%高、パルプ・紙が0.35%高、空運業が0.31%高と続きました。金利上昇局面でディフェンシブ性の高い医薬品が買われた点は、教科書どおりの動きです。

下落したセクター

下落率トップは石油・石炭製品で2.24%安、次いで銀行業が1.85%安、証券・商品先物取引業が1.60%安でした。以下、卸売業と保険業が続いています。

ここに前日との最大の違いがあります。前日は保険業2.45%高、銀行業1.52%高と金融株が買われていました。本日はその金融株が売られています。金利は前日よりさらに上昇しているにもかかわらず、です。利ざや拡大という理屈より、日米の金融政策決定を目前に控えた持ち高調整が優先されたと考えるのが自然でしょう。石油・石炭製品の下落も、原油が102ドル台で高止まりしているなかでの下げであり、材料どおりに動いていません。

グロース市場への資金流入

東証グロース市場250指数先物は7ポイント高の777ポイントと続伸しました。長期金利と原油価格の上昇でプライム市場が伸び悩むなか、AI・半導体関連と距離があり内需比率の高いグロース市場が、セクターローテーション的な物色対象になったとみられます。主力株ではGO、ノースサンドなどが買われました。

また、高市政権が防衛費をNATO加盟国並みのGDP比3.5%に引き上げることを検討しているとブルームバーグが報じたことで、豊和工業や石川製作所といった防衛関連にも資金が向かっています。

為替・米国株・金利の影響

ドル円は東京時間15時時点で1ドル154円81銭でした。日中のレンジは154円21銭から154円91銭です。米10年債利回りが5.0245%まで上昇したことと、防衛費をGDP比3.5%へ引き上げる検討という報道を受けて一時154円91銭まで上げましたが、前日高値の155円00銭が上値の抵抗として意識されました。前日15時の154円02銭からは約80銭の円安ドル高です。

項目水準前日比
ドル円(9/15 15:00)154.81円約80銭の円安
NYダウ(9/14終値)52,421.20ドル-152.09ドル(-0.29%)
ナスダック総合(9/14終値)26,186.41-146.63(-0.55%)
S&P500(9/14終値)7,619.98-0.48%
SOX指数(9/14終値)11,131.28-692.72(-5.86%)
米10年債利回り5.0245%2007年以来の水準
日本10年債利回り一時3.030%上昇

米長期金利が5%台に乗せたのは約2年11カ月ぶりで、背景には原油高と早期の米利上げ観測があります。債券先物は124円82銭で取引を終え、前日の125円82銭から1円下げました。円安は本来なら輸出株の追い風ですが、輸送用機器は0.17%安と反応しておらず、金利上昇による割高感の意識が上回った格好です。

個別決算・材料株

銘柄材料株価反応
ソフトバンクG<9984>前日急落の反動、AI減速論への過度な懸念が後退+7.54%(6,279円)
太陽誘電<6976>電子部品への資金回帰+5.54%(9,197円)
村田製作所<6981>同上+3.24%(7,399円)
キオクシアHD<285A>前日下落の買い戻し+2.29%(51,750円)
アドバンテスト<6857>米SOX指数5.86%安を受けた売り-2.96%(30,160円)
豊和工業<6203>・石川製作所<6208>防衛費GDP比3.5%への引き上げ検討報道上昇(株価は確認できず)

本日の引けではストップ高が8銘柄、ストップ安が3銘柄でした。光通信などによるTOB発表を受けてストップ高となった銘柄もあります。なお本日の決算発表に対する個別の株価反応は確認できず。マクロ要因が支配的で、決算が相場全体を動かす場面はありませんでした。

テクニカル面

日足は陽線でしたが、長い上ヒゲを残しました。始値6万3190円37銭に対して終値は6万3484円10銭と上回ったものの、高値6万4101円00銭からは600円以上押し戻されています。戻り売り圧力の強さを示す形です。

下値では、安値6万3067円18銭と心理的節目の6万3000円が意識されます。前日のSQ値6万3039円もこの水準に重なっており、複数の目安が集中する帯といえます。上値は本日高値の6万4101円で、6万4000円台を維持できなかった事実は当面の重さを示唆します。

市場全体では、5日線と25日線のデッドクロスが132銘柄に対し、ゴールデンクロスは89銘柄でした。個別のトレンド転換は下向きが優勢です。なお、25日・75日移動平均線との乖離率、RSI、日経平均VIの具体的な数値は確認できず。

今後の見通し

期間想定レンジ主な前提条件
翌営業日62,800円〜64,500円FOMC結果を17日未明に控え、様子見が強まりやすい。上値メドは本日高値64,101円、下値は63,000円の節目
1ヶ月後60,400円〜67,500円FOMCと日銀会合の結果、および米長期金利が5%台に定着するかどうか。原油100ドル超の持続も変数
1年後55,000円〜78,000円AI投資サイクルの持続性と日米の金利水準。年初来高値72,831円、年初来安値50,558円のレンジを基準に想定

短期の焦点はFOMCです。市場が織り込む米利上げ確率は90%まで上昇しており、利上げそのものはほぼ既定路線とみられています。したがって注目は、その先のペースを示す文言に移ります。17日から18日には日銀の金融政策決定会合も控えており、日米で同時に利上げとなれば為替と株価の双方が振れやすくなりそうです。

今日の結論

「昨日の主役が、そのまま今日の逆の主役になった」——これが9月15日の東京市場を象徴する一言です。

ソフトバンクグループは押し下げトップから押し上げトップへ、情報・通信業は下落率2位から上昇率トップへ、そして銀行・保険は上昇から下落へ振れました。テーマ単位で一斉に動いた前日に対し、本日は同じAI関連でも銘柄ごとに明暗が分かれています。

その一方で、入れ替わらなかったものもあります。原油の高止まりと金利の上昇です。米10年債利回りの5%乗せは単日のニュースにとどまらない重さを持ち、前場の608円高を消し去った要因でもありました。明日以降、この地合いがFOMCでどう変わるかが問われます。

より簡潔にその日の要点だけを確認したい方は、通常版の記事もあわせてご覧ください。

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