8月6日の東京株式市場で日経平均株価は3営業日ぶりに反落し、終値は前日比617円18銭(0.93%)安の6万5,683円26銭となりました。

ところが同じ日、TOPIXは9.68ポイント(0.24%)高の4,055.85と上昇しています。東証プライムでは1,130銘柄が値上がりし、全体の7割強を占めました。さらに、日経平均を構成する225銘柄のうち168銘柄、つまり74.7%が値上がりしています。それでも指数は617円下げました。今日はこの奇妙な一日の中身を解きほぐしていきます。

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相場サマリー

指数終値前日比騰落率
日経平均株価65,683.26円-617.18円-0.93%
TOPIX4,055.85+9.68pt+0.24%
JPX日経40036,687+71pt確認できず
東証グロース市場250指数確認できず確認できず確認できず
項目8月6日8月5日
東証プライム 売買代金9兆6,880.87億円10兆9,236億円
東証プライム 売買高26億7,117万株27億8,122万株
値上がり銘柄数1,130銘柄(7割強)1,019銘柄
値下がり銘柄数401銘柄(約4分の1)491銘柄
変わらず25銘柄48銘柄

前引けは6万5,266円67銭(1,033円77銭安)で、午前中には下げ幅が一時1,350円を超え、節目の6万5,000円を下回る場面もありました。後場は6万5,477円41銭でスタートし、海外短期筋などによる日経平均先物への買いが目立って徐々に下げ渋っています。売買代金は今週初めて10兆円を割り込みました。

日経平均を動かした主な要因

1. サンディスクの弱い見通しが半導体株を直撃

7〜9月期の売上高見通しが市場予想を下回った半導体メモリーのサンディスクが時間外取引で大幅安となり、東京市場でも半導体株の売りを促しました。サンディスクの通期決算そのものは売上高2.8倍の202億ドル、営業益123億ドルと増収・黒字転換の好内容でしたが、市場が見たのは先行きのガイダンスでした。8月5日にAMDで起きたことが、翌日はサンディスクで繰り返された格好です。

2. 米ハイテク株安とAI関連の個別悪材料

5日の米市場ではダウ平均が263ドル高の5万4,349ドルと5日続伸して最高値を更新した一方、ナスダック総合指数は221ポイント安の2万6,363と5営業日ぶりに反落しました。アルファベットはAI部門の経営体制刷新と有力AI技術者の退社を受けて約4%安、スペースXは上場後初決算が予想を下回り13.6%急落。AI関連の悪材料が連鎖しています。

3. ソフトバンクグループ決算を控えた様子見

6日大引け後のSBGの4〜6月期決算発表を見極めたいとの雰囲気も、様子見姿勢を強めました。T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジストは「SBG株が、6月上旬の上場来高値を付けた後の急落から戻りを試す展開が続くのか見極めたい投資家も多い」と指摘しています。

寄与度分析

押し上げ上位コード材料
ファーストリテイリング9983
バンダイナムコHD7832上期経常を一転18%増益に上方修正
オムロン66455日引け後発表の好決算
押し下げ上位コード寄与度
東京エレクトロン8035確認できず
ソフトバンクグループ9984確認できず
アドバンテスト6857確認できず

個別の寄与度は確認できていませんが、決定的な数字があります。キオクシア、アドバンテスト、東京エレクトロン、ソフトバンクグループの4銘柄の下落が、日経平均を850円ほど押し下げました(日本経済新聞)。

実際の下げ幅は617円18銭です。差し引きすると、残り221銘柄は合計で230円ほど指数を押し上げていた計算になります。日経平均のマイナスは、たった4銘柄が作ったものでした。

指数を動かしているのは実質7〜8銘柄

銘柄8月3日8月4日8月5日8月6日
東京エレクトロンマイナス4位プラス1位プラス4位マイナス1位
ソフトバンクGプラス2位マイナス1位プラス2位マイナス2位
アドバンテストマイナス1位マイナス2位プラス1位マイナス3位
キオクシアHDプラス3位プラス2位マイナス4位
ファーストリテイリングプラス1位マイナス3位マイナス1位プラス1位

今週の4営業日、同じ顔ぶれがプラスとマイナスを行き来し続けています。日経平均の日々の値動きは、実質的にこの7〜8銘柄の動向でほぼ説明できてしまう状態です。

東証プライム騰落状況

東証プライムの値上がりは1,130銘柄で7割強、値下がりは401銘柄で約4分の1にとどまりました。日経225構成銘柄でも値上がり168、値下がり56、変わらず1で、74.7%が上昇しています。

実は前引けの時点ですでに「プライム市場は値上がり銘柄多数」と報じられており、指数の下げと市場の実感のズレは朝から生じていました。株探の大引け見出しも「決算物色旺盛で値上がり銘柄は7割超」です。

今週は4営業日連続で乖離が続いている

日付日経平均市場の実感ズレの向き
8月3日-0.94%プライムの68%が下落指数が実感より強い
8月4日+0.32%プライムの58%が下落指数が実感より強い
8月5日+3.66%プライムの65%が上昇一致
8月6日-0.93%プライムの73%が上昇指数が実感より弱い

NT倍率は16.20倍と前日の16.39倍から低下しました。8月5日は値がさ半導体株が突出して買われてNT倍率が上がり、この日はその反動で下がった形です。

業種別・テーマ別の動き

前日の上昇業種が、そのまま下落業種になった

業種8月5日8月6日
非鉄金属上昇1位下落1位
ガラス・土石製品上昇2位下落2位
情報・通信業上昇3位下落5位
電気機器上昇4位下落3位
金属製品上昇5位下落4位
食料品下落4位上昇4位
水産・農林業下落5位上昇5位

上昇5業種と下落5業種が、丸1日でそっくり入れ替わりました。資金が完全に往復した形です。

上昇したセクター

繊維製品、医薬品、その他製品、食料品、水産・農林業が上昇。ファーストリテイリング、JT、花王、キッコーマンといったディフェンシブ性の高い銘柄が買われました。その他製品はバンダイナムコHDと任天堂が牽引しています。

下落したセクター

非鉄金属、ガラス・土石製品、電気機器、金属製品、情報・通信業が下落。売買代金上位では日東紡、太陽誘電、古河電工、フジクラ、キオクシアHD、住友電工、KOKUSAI、レーザーテック、三井金属、村田製作所が軒並み安となりました。

為替・米国株・金利の影響

項目水準
ドル円(6日15時前後)157円70銭付近
東京の取引レンジ157円30銭〜157円81銭
5日NY終値157.75円
NYダウ(5日)54,349.12ドル(+263.24ドル、5日続伸で最高値更新)
ナスダック総合(5日)26,363.44(-221.55、5営業日ぶり反落)
S&P500(5日)7,723.55(-12.97)
米10年債利回り確認できず(利上げ観測で上昇)

ドル円は3営業日連続で157円台後半の膠着です。介入警戒感が上値を、日米金利差が下値をそれぞれ抑えており、この日の株式相場は為替ではなく個別材料で動きました。

米国では7月ADP雇用が4.4万人増と伸びが鈍化して予想を下回り、ISM非製造業景況指数も予想を下回りましたが、根強い利上げ観測から長期金利は上昇しています。ダウが上昇しナスダックが下落する展開は、投資家の関心が景気敏感株・バリュー株にシフトしつつある兆候とも読めます。東京市場の「半導体安・ディフェンシブ高」は、その構図をそのまま写したものでした。

個別決算・材料株

銘柄材料株価反応
インテリジェント ウェイブ経常利益12.6%増&増配+26.70%(1,267円)プライム上昇率1位
花王5日引け後に株主優待制度を新設+409円(3,597円)
太平洋セメント6日14時30分に1Q決算、2ケタ増益一時+290円(4,380円)
大日精化工業6日14時30分に通期上方修正一時+161円、連日年初来高値
JX金属今期最終を24%上方修正・最高益上乗せ
古河電気工業今期経常を43%上方修正・最高益上乗せ下落(売買代金上位で値下がり)
任天堂4-6月期経常が2.2倍増益
ソフトバンクグループ4-6月期純利益3,473億円、前年同期比17.7%減大引け後発表

この日の決算発表は322社。注目したいのは、株探が「本日注目すべき好決算銘柄」として挙げた3社(太陽誘電、日東紡、オムロン)のうち、太陽誘電と日東紡は下落し、オムロンだけが上昇したことです。前2社は半導体・電子部品、オムロンは制御機器。同じ好決算でも、属するセクターで明暗が分かれました。今期経常を43%上方修正した古河電工が売られたのも同じ理由です。

大引け後に発表されたソフトバンクグループの4〜6月期は、純利益3,473億円と前年同期比17.7%の減益。アームの人員増や米アンペア子会社化による株式報酬費用の増加、為替差損、デリバティブ関連損失が響きました。オープンAIの公正価値は896億ドルで3月末から変動せず、利益貢献しませんでした。

テクニカル面

水準
7月22日高値67,592円前後
25日移動平均線66,656.34円(8月3日時点)
8月5日終値66,300.44円
8月6日終値65,683.26円
7月31日高値65,364円前後
75日移動平均線65,260円前後
8月6日の午前安値圏64,950円前後(概算)
均衡表雲下限(日足)64,532.26円(8月3日時点)
8月4日安値62,864.43円

今日の下げは、テクニカル上は押し目の範囲にとどまっています。午前に6万5,000円を割り込んで75日線と7月31日高値をいったん下回りましたが、引けでは両方を回復しました。8月5日に上抜けた支持線を、翌日の急落でも守り切った形です。

上値では25日線6万6,656円の回復が関門で、その先に7月22日高値6万7,592円。下値は75日線6万5,260円前後と7月31日高値6万5,364円が重なるゾーンで、ここを明確に割り込むと雲下限6万4,532円が視野に入ります。

見通し

期間想定レンジ主な前提条件
翌営業日64,800円〜66,500円米7月雇用統計(21時30分)の内容と米金利の反応。ソフトバンクグループ決算(4-6月期17.7%減益)への株価反応。サンディスクに続きウエスタンデジタルも弱い見通しを示しており、メモリー関連の連鎖が続くか
1ヶ月後62,000円〜70,000円米7月CPI(8月12日)通過後の米金利水準。8月14日のオプションSQ。決算発表一巡後の物色対象の変化
1年後60,000円〜80,000円AI・半導体投資サイクルの持続性、日銀の利上げペース、中東情勢と原油価格の推移

翌営業日の最大の焦点は米7月雇用統計です。前哨戦のADP雇用は4.4万人増と伸びが鈍化して予想を下回りましたが、長期金利はむしろ上昇しました。指標と金利の反応が食い違う状態が続くと、相場は再び方向感を失いやすくなります。

今日の結論

「7割強が値上がりしても日経平均は617円安。たった4銘柄で850円押し下げられた日」

TOPIXは上がり、プライムの7割強が上がり、日経225構成銘柄でさえ74.7%が上がりました。それでも日経平均だけが617円下げたのは、キオクシア、アドバンテスト、東京エレクトロン、ソフトバンクグループの4銘柄が850円分を引きずり下ろしたからです。

今週は4営業日連続で、日経平均という数字と市場の実感がずれ続けました。8月3日と4日は指数が実感より強く見え、5日は一致し、そして今日は指数が実感より弱く見えています。ズレの向きは日替わりですが、原因は一貫して同じです。指数を動かしているのが、実質的に7〜8銘柄しかないこと。日経平均を見るときは、その数字が何を代表しているのかを一度確かめる価値がありそうです。

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編集者メモ(公開本文には含めない)

記事化に際して重視した点

  • 対比データペアは今週最強。「日経225の74.7%が値上がり・プライムの7割強が値上がり・TOPIX+0.24%」vs「日経平均-617.18円」
  • 日経新聞の「4銘柄で850円押し下げ」という数字が取れたため、寄与度の円換算値が未取得でも記事が成立した。差し引き「残り221銘柄で+230円」は算出値
  • 4営業日の寄与度変遷表が4列になり、「指数を動かしているのは実質7〜8銘柄」という結論を数字で示せるようになった
  • 今週の「指数と実感のズレ」を4営業日の表にまとめ、週次まとめへの橋渡しとした
  • 業種別の前日比較表(上昇5業種→下落5業種の完全反転)は今日ならではの材料
  • 「好決算3銘柄のうち2つが下落」の逆説を個別決算パートの軸に据えた

通常版から省略した詳細情報

  • SBGのビジョン・ファンド関連数値(媒体差が大きいため意図的に本文から除外)
  • 多木化学の急伸、メルカリ・住友鉱・ヤマハ発・JT・ソニーG・三井住友FG・トヨタの上昇
  • 西原宏一氏・ZERO氏の介入見通しコメント
  • アマゾンのベゾス氏41億ドル株式売却届出、S&P500の下落幅
  • 8/10以降の日程(日銀「主な意見」、TSMC月次、8/11山の日休場、8/12米CPI、8/14オプションSQ)
  • 週間の推移表(週次まとめで使用)

事実確認が必要な点

  • 寄与度の円換算値が4日連続で未取得。ただし「4銘柄で850円」があるため今日の記事は成立している。可能なら個別数値を補完
  • 始値・高値・安値の確定値が未取得。「下げ幅一時1,350円超」「6万5,000円割れ」までは判明、安値は概算6万4,950円前後として本文では数値を断定していない
  • グロース250・JPXプライム150・東証REIT指数が未取得
  • 33業種の上昇/下落業種数が未取得(業種名と順位のみ)
  • 米10年債利回りの5日終値・WTI原油の5日終値が未取得。定性情報のみのため本文では「確認できず」表記
  • 年初来高値/安値更新銘柄数、ストップ高・安の数が未取得
  • SBGのビジョン・ファンド投資利益は媒体により大きく異なる(ロイター4,601億円/日経2,557億円・65%減/Bloomberg SVF税引き前利益54億2,700万円)。指標の定義が異なる可能性が高いため、本文では純利益3,473億円(-17.7%)のみを記載した
  • 移動平均線・一目均衡表の一部は8月3日時点の値。75日線6万5,260円前後は外部アナリストの言及値

ドル円の基準時点

  • 15時前後の157円70銭付近を採用。8/3・8/5と同じ基準
  • 今週の基準:8/3=15:00、8/4=17:00(15時台が取得できず)、8/5=15:00、8/6=15:00

通常版へのリンク設定状況

  • 冒頭リード・今日の結論の2箇所に 20260806-nikkei へのリンクを設置済み
  • ファイル名:20260806-deep.md

週次まとめ(明日8/7)への申し送り

  • 週の主軸は「日経平均という数字と市場の実感がずれ続けた週」を強く推奨。4営業日の乖離表がそのまま使える
  • 日次終値:7/31 64,362.02 → 8/3 63,754.90 → 8/4 63,957.53 → 8/5 66,300.44 → 8/6 65,683.26
  • 週間(8/6時点)+1,321.24円(+2.05%)
  • サブテーマ候補:①協調介入ショックとその往復、②AI・半導体の「決算は good、ガイダンスは bad」パターン(AMD→サンディスク→ウエスタンデジタル)、③決算ピークによる個別材料株物色

用語解説(glossary)のネタ

今日は「日経平均とTOPIXが逆方向に動く理由」で1本書ける絶好の材料。関連用語として「NT倍率」「寄与度」「値がさ株」がすべて今週の相場ノートに接続できる。

公開前チェックリスト

  • 寄与度の「確認できず」を実数値に差し替えたか
  • 高値・安値の確定値を確認したか
  • グロース250・JPXプライム150の欄を埋めたか
  • フロントマターの引用符がすべて半角ストレートクォート(‘)か
  • nikkei / topix / usd / dow / nasdaq がすべてクォート付きの数字のみか
  • category が ‘deep’ か
  • 通常版リンクのスラッグが 20260806-nikkei になっているか
  • アフィリエイトプレースホルダーが2箇所以内か
3
短く確認する(約3分)
【2026年8月6日】今日の日本株ノート|TOPIXは上昇でも日経平均は617円安、4銘柄が850円押し下げる
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