今週の振り返り——上半期の終わりと下半期の幕開け

2026年6月29日から7月3日の週の日本株市場は、四半期・半期の境目にあたる象徴的な1週間となった。日経平均株価は週初の69,468円から週末の69,744円まで、週間では276円(+0.40%)の小幅上昇にとどまったものの、その中身は極めて起伏に富んでいた。

前半は日銀短観が約35年ぶりの高水準を記録してTOPIXが4,000の節目を突破するなど堅調に推移したが、7月2日にキオクシアHDが▲13.47%と暴落し日経平均は過去5番目の下げ幅を演じた。しかし翌7月3日にはそのキオクシアが+10%急反発し、全業種が上昇する全面高へと転じた。「主役株の目まぐるしい反転」と「日経平均とTOPIXの逆行」が同時に観測された今週は、AI・半導体相場が上半期の一本調子の上昇局面から、下半期の高ボラティリティ局面へと性格を変えつつあることを鮮明に映し出した。

今週の数字を一目で振り返る

日次の値動き

曜日日付日経平均終値前日比騰落率
6/2969,468.11円+107.23円+0.15%
6/3070,062.32円+594.21円+0.86%
7/170,474.96円+412.64円+0.59%
7/268,733.15円▲1,741.81円▲2.47%
7/369,744.07円+1,010.92円+1.47%

週間サマリー

項目数値
週初(6/27終値ベース比較起点)69,468.11円(6/29終値)
週末(7/3終値)69,744.07円
週間騰落(6/29→7/3)+275.96円
週間騰落率+0.40%
週間高値(7/1ザラ場)71,962.34円
週間安値(7/3ザラ場)68,600円台
TOPIX週末終値4,064.60(5日続伸)

日経平均の週間騰落は+276円と小幅だが、週間高値71,962円と週間安値68,600円台の差は約3,300円に達し、変動の激しさが際立った。とりわけTOPIXは週を通して5日続伸し、6月30日に初めて4,000台を回復した後、7月3日には4,064.60まで水準を切り上げた。日経平均が乱高下する裏で、TOPIXが着実に上昇し続けた点は今週の重要な特徴である。

今週の主要テーマ

テーマ①:日銀短観の35年ぶり高水準が示した企業景況感の底堅さ

今週前半の相場を支えたのは、7月1日に発表された日銀6月短観だった。大企業製造業の業況判断指数(DI)は前回3月調査から5ポイント改善のプラス22と約8年ぶりの高水準、大企業非製造業DIはプラス37と1991年8月以来約35年ぶりの高水準を記録した。民間エコノミストが悪化を予想していたなかでの大幅な上振れは、国内企業の実態的な好調さを裏付けた。

特筆すべきは、企業の26年度想定為替レートが全規模・全産業で1ドル=152円57銭だった点だ。実勢のドル円が162円台という約39年半ぶりの円安水準にあるため、実勢と想定の乖離は10円以上に拡大した。これは輸出企業の業績が保守的な計画を大きく上回る可能性を示唆しており、4〜6月期決算への期待感を高めた。この短観の好結果が、TOPIXの4,000台突破を後押しした。

テーマ②:キオクシア暴落・急反発に見るAI半導体相場のボラティリティ上昇

今週最大のドラマは、7月2日のキオクシアHD暴落とその翌日の急反発だった。7月2日、メタ・プラットフォームズのAIクラウド参入報道による「AI設備投資ピークアウト懸念」、アップルの中国製メモリ調達検討報道、著名投資家マイケル・バーリ氏の半導体空売り開示が重なり、米SOX指数が▲6.27%急落。東京市場でもキオクシアが▲13.47%と暴落し、日経平均は過去5番目の下げ幅(▲1,741円)を演じた。

ところが翌7月3日、そのキオクシアは朝方11%安から後場10%高へと劇的に切り返し、日経平均を1,010円押し上げる主役に転じた。50日移動平均線を支えにした押し目買いが底入れ感を演出した格好だ。同じ銘柄が2日連続で相場の主役でありながら真逆の役回りを演じたことは、AI・半導体株のボラティリティが著しく高まっていることを物語る。上半期に急騰したこれらの銘柄が、下半期には「高値圏での神経質な値動き」に移行しつつある兆候といえる。

テーマ③:日経平均とTOPIXの「逆行」が映す指数構造のリスク

7月2日には、日経平均が▲2.47%(▲1,741円)と過去5番目の下げ幅を記録する一方で、TOPIXは+0.09%と小幅続伸するという歴史的な「逆行現象」が発生した。東証プライムの値上がり銘柄数は全体の約79%を占めており、市場全体はむしろ上昇していた。これは、日経平均が値がさ株の株価を重視する指数構造を持つため、キオクシア・アドバンテスト・東エレクといった数銘柄の急落が指数に集中的に影響したことに起因する。この現象は、「日経平均の動きが必ずしも日本株全体の動きを表していない」という重要な教訓を投資家に突きつけた。半導体から自動車・銀行・内需バリューへの資金シフトが週を通じて進行したことも、今週の相場の底流にあった。

注目銘柄——明暗を分けたもの

銘柄名コード週間の動き材料・コメント
キオクシアHD285A乱高下(7/2▲13%→7/3+10%)AI設備投資ピークアウト懸念・アップル調達報道で暴落後、50日線を支えに急反発。今週の主役
東京エレクトロン8035上場来高値更新後に調整週前半は韓国半導体投資計画で上場来高値。7/2に急落後7/3反発
アドバンテスト6857週後半に急落後反発SOX急落・バーリ氏空売り開示で7/2急落、7/3切り返し
ファーストリテ9983週末に指数押し上げ役7/3にキオクシアと2銘柄で日経を約340円押し上げ
大塚ホールディングス45787/2に+8.72%半導体売りの受け皿として医薬品・内需バリューが物色された象徴
三菱重工業7011週前半に反発ガスタービン増産・日米1,000億円投資報道を好感
第一三共4568週前半に反発欧州CHMPによるダトポタマブ デルクステカンの承認勧告

来週の注目点5選

①週明けの米国市場の反応(7/6再開)

7月3日の米国市場は独立記念日の振替休日で休場だった。そのため、7月2日発表の米6月雇用統計(非農業部門雇用者数+5.7万人と予想の+11.3万人を大幅下回る、失業率は4.2%に改善)を米国株がどう本格的に消化するかは、週明け7月6日の取引に持ち越された。米利上げ観測の後退がハイテク株に追い風となるか、それとも景気減速懸念が重荷となるかが注目される。

②4〜6月期決算発表の本格化

来週以降、3月期決算企業の第1四半期(4〜6月期)決算が相次いで発表される。日銀短観が示した企業景況感の底堅さと、想定為替レート(152円57銭)と実勢(162円台)の10円超の乖離を踏まえると、輸出企業を中心に上振れ決算が相次ぐ可能性がある。決算内容次第で個別銘柄の選別物色が強まりそうだ。

③キオクシアを中心とする半導体株のリバウンド持続性

7月3日にキオクシアが急反発したものの、それが一時的な自律反発か、トレンド転換かは来週の値動きで見極められる。AI設備投資ピークアウト論が今後も蒸し返される可能性があり、半導体セクターの高ボラティリティは続く公算が大きい。半導体株の動向次第で、日経平均の振れ幅も大きくなりやすい局面が続きそうだ。

④ドル円の為替介入警戒

ドル円は今週、約39年半ぶりの162円台まで円安が進んだ後、7月2日のNY時間に一時160.63円まで急落した。「4月30日型の強い警告なしの不意打ち介入」の可能性が報じられ、日韓協調ドル売り介入観測や日銀のレートチェック観測も浮上している。来週も160〜163円のレンジで神経質な展開が想定され、介入の有無が相場の波乱要因となりうる。

⑤7月FOMC(7/28〜29)に向けた金融政策思惑

米6月雇用統計の下振れで米利上げ観測が後退したことで、7月末のFOMCに向けた金融政策の思惑が徐々に相場を左右し始める。FRBのウォーシュ議長は「物価が高すぎる」とタカ派的な発言をしており、市場の利下げ・利上げ観測とのギャップが今後の変動要因となる。日米金利差を通じて為替にも波及するため、金融政策の方向感が注目される。

来週の日経平均シナリオ

シナリオ想定レンジ主な前提条件
強気シナリオ70,000円〜73,500円週明けの米国株が雇用統計を好感して上昇、キオクシアなど半導体株のリバウンド継続、4〜6月期決算が総じて上振れ、為替が落ち着いた展開
基本シナリオ67,500円〜71,500円半導体株の高ボラティリティが続くなか、決算を睨んだ選別物色が中心。ドル円の介入警戒で神経質ながらもレンジ内の動き
弱気シナリオ65,500円〜69,000円AI設備投資ピークアウト論が再燃し半導体株が再度急落、為替介入で急激な円高進行、決算失望売り、米景気減速懸念の台頭

今週の相場を一言で総括

「日銀短観の追い風とキオクシアの乱高下——上半期の主役が下半期に不安定化する胎動を感じた1週間」

今週は、企業景況感の底堅さ(日銀短観35年ぶり高水準)という明るい材料と、AI・半導体相場のボラティリティ上昇(キオクシア暴落→急反発)という警戒すべき兆候が同居した1週間だった。日経平均の週間騰落は+276円と小幅ながら、その裏では「値がさ半導体株への集中リスク」と「内需・バリューへの資金分散」という構造変化が静かに進行した。TOPIXが5日続伸で4,000台を突破したことは相場全体の底堅さを示す一方、日経平均の乱高下は主役株の不安定化を映している。来週は決算シーズンの本格化と米国市場の反応が、下半期相場の方向感を占う試金石となりそうだ。

今週の各営業日の詳しい分析は、日次の深掘りノート(6/296/307/17/27/3)でご覧いただけます。

編集者メモ(非公開)

【取得できた深掘りノートの日数】
今週は月〜金の5営業日すべての深掘りノートを取得・参照した(6/29小反発、6/30続伸・ドル円162円台、7/1日銀短観高水準・TOPIX4,000突破、7/2キオクシア暴落・逆行現象、7/3キオクシア急反発・全面高)。取得できなかった日はなし。

【今週の主要テーマの選定理由】
①日銀短観:週前半の相場を支えた最大のファンダメンタルズ材料であり、想定為替レートとの乖離という独自の切り口を提供できるため選定。
②キオクシア暴落・急反発:今週最大のドラマであり、AI半導体相場の性格変化を象徴するため選定。
③日経平均とTOPIXの逆行:投資教育的価値が高く、競合サイトが深掘りしない指数構造の話題として選定。

【来週の注目点の根拠】
米国休場(7/3)で雇用統計の本格消化が週明けに持ち越された点、4〜6月期決算シーズンの本格化、キオクシアのリバウンド持続性、ドル円の介入警戒、7月FOMCという5点は、いずれも今週の相場から自然に導かれる継続テーマ。

【シナリオのレンジ設定根拠】
基本シナリオは週末終値(69,744円)を中心に±3〜5%(約67,500〜71,500円)で設定。強気は+3〜8%(73,500円上限)、弱気は▲3〜8%(65,500円下限)とプロンプトのレンジ目安に沿った。半導体株の高ボラティリティを考慮し、通常週よりやや広めのレンジとした。

【事実確認が必要な数値】
1. 週間騰落の起点:本まとめでは6/29終値(69,468円)を週初起点としたが、厳密には前週末6/26終値を起点とする考え方もある。サイトの慣例に合わせて調整のこと。
2. 週間安値:7/3のザラ場安値を「68,600円台」としたが正確な数値は要確認。
3. 各日のドル円・NYダウ・ナスダックの確定値は日次ノートで未確認のものが多く、それらが確定した場合は数値の整合性を再確認すること。
4. 個別銘柄の週間騰落率は日次データからの推定を含むため、正確な週間騰落率は公開前に確認推奨。

【クロスリンク設定状況】
本文末尾に今週5日分の深掘りノート(20260629〜20260703-deep)への内部リンクをaタグで設定済み。各deepノートのスラッグが正しいか確認すること。

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