2026年9月14日から18日までの東京株式市場を振り返ります。日経平均株価は週末18日に6万5018円95銭で引け、前週末比1007円61銭高となりました。週足では上昇です。

ただし、この1週間を「株高の週」とだけ整理すると本質を取り逃します。FOMCと日銀が同じ週に利上げを決め、原油は1バレル106ドルから99ドル台まで振れ、円は2円60銭あまり下落しました。そして5営業日すべてで、日経平均と市場全体の温度感が食い違い続けています。何が起きていたのかを順に見ていきます。

今週の数字を一目で振り返る

日経平均の日次値動き

曜日日付終値前日比騰落率
月9月14日63,492.99円-518.35円-0.81%
火9月15日63,484.10円-8.89円-0.01%
水9月16日63,923.00円+438.90円+0.69%
木9月17日64,136.25円+213.25円+0.33%
金9月18日65,018.95円+882.70円+1.38%

週間サマリー

項目数値
週初の起点(前週末9月11日終値)64,011.34円
週末終値(9月18日)65,018.95円
週間騰落+1,007.61円
週間騰落率+1.57%
週間の安値圏63,067.18円(9月15日の日中安値)

市場全体の温度感の推移

日経平均の動きだけでは見えないものが、この並びには表れています。

日付日経平均東証プライムの値上がり比率売買代金
9月14日-518.35円78.5%7兆2,866億円
9月15日-8.89円51%7兆4,384億円
9月16日+438.90円67%6兆7,075億円
9月17日+213.25円83%7兆1,538億円
9月18日+882.70円約33%10兆3,969億円

日経平均が最も下げた月曜に8割の銘柄が上昇し、最も上げた金曜に3分の2が下落しています。この食い違いが今週の核心です。

今週の主要テーマ

日米がそろって利上げ、それでも円は安くなった

FRBは日本時間17日未明のFOMCで政策金利を0.25%引き上げ、3.75〜4.00%としました。利上げは3年2カ月ぶりで、票は12対0の全会一致です。同時に公表されたドットチャートでは2026年末の見通しが4.1%と6月時点の3.8%から引き上げられ、年内もう1回の利上げが示唆されました。

翌18日には日銀が政策金利を1.0%程度から1.25%程度へ引き上げました。1.25%は31年ぶりの高水準で、2024年3月以降の利上げ局面では最短の間隔です。ただし採決は全会一致ではなく、審議委員2名が反対票を投じました。

日米がそろって金融を引き締めた週に、円は安くなりました。ドル円は月曜の154円02銭から金曜の156円66銭まで、5営業日連続で円安が進んでいます。理由は、米国が年内にさらに利上げを見込んでいる以上、日銀が利上げを続けても金利差は埋まりにくいという見立てです。加えて日銀の反対2票が利上げペースの鈍化と受け取られ、金曜の発表直後には156円90銭台まで売られました。金利差は水準ではなく方向で見られている、ということでしょう。

原油が週の主役を日替わりで入れ替えた

今週、セクターの並びを最も激しく動かしたのは原油です。WTI原油先物は週初に102ドル台、水曜には一時106ドル台へ上昇し、木曜から一転して急落、17日には一時99ドル台前半と前日比3%安まで下げました。中東情勢をめぐる報道が一日ごとに方向を変えたためです。

この振れがそのままセクターに現れました。石油・石炭製品は火曜に下落率トップ、水曜には上昇率トップ、そして金曜には再び売られる側へ。医薬品も水曜の下落率トップから木曜の上昇率上位へ移っています。3営業日で正反対の位置を往復した業種が複数ありました。

資源高が続けばバリュー株が買われ、資源安に転じればAI・半導体に資金が戻る。今週はこの入れ替えが毎日のように繰り返されました。原油が単なる商品価格ではなく、国内株のセクター配分を決める変数になっていたことになります。

指数と市場全体が、5日間ずれ続けた

今週最も一貫していたのは、日経平均と市場全体が噛み合わなかったことです。

月曜は日経平均が518円下げるなかで、東証プライムの78.5%が上昇しました。ソフトバンクグループ1銘柄の押し下げが563円98銭に達し、指数の下げ幅そのものを上回っていたためです。金曜はその逆で、アドバンテスト、東京エレクトロン、キオクシアHDの3銘柄が700円あまり押し上げ、上げ幅882円の8割近くを占めました。市場全体では3分の2の銘柄が下げています。

原因は同じです。日経平均は株価平均型の指数であり、株価の高い銘柄ほど影響が大きくなります。今週はその値がさ株がAI・半導体に偏在し、しかもテーマ全体の評価が日替わりで揺れたため、指数と実感のずれが連日発生しました。時価総額加重のTOPIXが金曜に反落したことは、市場全体の実感に近い数字といえます。

注目銘柄——明暗を分けたもの

銘柄週間騰落率材料コメント
ソフトバンクG<9984>確認できずOpenAIの年内IPO否定、AI開発減速発言月曜に10.72%安、火曜に7.54%高。1銘柄で指数を564円下げ、翌日は354円押し上げた
アドバンテスト<6857>確認できず米SOX指数の乱高下火曜-222円、水曜+130円、木曜-111円、金曜は押し上げ役。4営業日で3回立場が入れ替わった
キオクシアHD<285A>確認できず半導体関連への資金の出入り金曜に9.40%高でプライム値上がり率3位。週の前半は押し下げ側だった
リクルートHD<6098>確認できずAIに顧客を奪われるとの懸念が後退月曜16,485円から木曜17,445円まで4日続伸。ソフトウエア関連への資金シフトの象徴
INPEX<1605>確認できず原油の106ドル台から99ドル台への反転水曜は大幅高、木曜は大幅安。原油と連動して週内で明暗が分かれた
エアトリ<6191>確認できず大幅増配による利回り妙味月曜に55.17%高(1,665円)。週を通じて最大の値上がり率
神戸物産<3038>確認できず第3四半期の営業減益も悪材料出尽くし月曜に大幅反発したが、水曜には小売株全般の下落に巻き込まれた

週間騰落率は前週末終値が取得できていないため確認できず。各銘柄の週内の動きをコメント欄に記載しています。表を眺めて分かるのは、上位に並ぶのがほぼAI・半導体関連であり、しかもその多くが週内で買われる側と売られる側を往復していることです。

来週の注目点5選

1. 9月22日、米大統領と湾岸諸国首脳の会談

国連総会に合わせて会談が開かれる見通しと伝えられています。中東情勢の不透明感が原油を106ドルまで押し上げ、和平期待が99ドル台まで引き下げた経緯を踏まえると、この会談の結果が来週のセクター配分を決める可能性があります。供給不安がさらに後退すればAI・半導体に追い風、資源・バリュー株には逆風。不調に終われば今週の逆回転が起きやすい局面です。

2. 連休明け24日の再開

東京市場は19日から23日まで5連休に入り、次の営業日は24日です。5日分の海外市場の変動をまとめて織り込むため、寄り付きの値幅が通常より大きくなりやすくなります。連休前の金曜が半導体3銘柄と先物主導の上昇だったことを考えると、その上昇がどこまで裏づけられていたかが24日に試される展開も想定されます。

3. 米追加利上げ観測のずれ

短期金融市場は今後12カ月で3回の追加利上げを織り込んでいる一方、FOMCのドットチャートが示すのは年内あと1回です。この乖離が埋まる過程で米長期金利が振れれば、日本株にも波及します。今週は米10年債利回りが5.04%まで上昇した局面で株価が重くなり、5%を割り込んだ局面で戻りました。金利水準が株価の方向を左右する構図は当面続きそうです。

4. 円安の水準と政策対応

ドル円は156円台後半まで上昇しました。円安は輸出企業の業績には追い風で、8月の輸出は前年同月比19.3%増と12カ月連続のプラスとなっています。ただし行き過ぎた円安は輸入物価を通じて国内のインフレ圧力を高め、別の政策対応を呼ぶ可能性もあります。来週は水準そのものより、円安のペースが注目されそうです。

5. AI・半導体の選別が定着するか

今週後半には変化の兆しがありました。月曜はAI関連5銘柄がそろって売られましたが、水曜には装置株が買われメモリ・基板が売られ、テーマ単位から銘柄単位の選別へ移る動きが見られています。ソフトバンクグループの寄与度も、月曜の564円から木曜の51円へと振れ幅が縮みました。この選別が定着すれば指数と市場全体のずれは小さくなり、定着しなければ今週のような荒い値動きが続くことになります。

来週の日経平均シナリオ

シナリオ想定レンジ主な前提条件
強気シナリオ66,000円〜70,200円22日の会談で原油の供給不安が大きく後退し、米長期金利が5%を明確に下回る。連休中の米ハイテク株が堅調で、金曜の半導体買いが現物にも広がる
基本シナリオ63,000円〜67,000円原油と金利が一進一退で、AI・半導体とバリュー株の主役交代が続く。9月10日終値65,270円が上値、26週線63,825円が下値の目安として機能する
弱気シナリオ59,800円〜63,100円会談が不調に終わり原油が再び105ドル超へ。米長期金利が5%台に定着し、追加利上げ観測が3回方向に傾く。連休中の海外株安をまとめて織り込む展開

基本シナリオの下限を63,000円に置いたのは、今週この帯が繰り返し下支えとして機能したためです。15日の安値6万3067円18銭、9月限SQ値6万3039円、17日の安値6万3824円56銭と重なる26週移動平均線。今週は終値でこの帯を一度も割り込みませんでした。

今週の相場を一言で総括

「日米が同じ週に利上げを決めたのに、相場を動かしたのは原油と数銘柄の値がさ株だった」

金融政策という最大級のイベントが2つ重なった週でしたが、日々の値動きを決めていたのは原油価格の振れと、AI・半導体という限られた銘柄群への評価でした。日経平均は週間で1007円61銭上昇しましたが、その内訳を見れば市場全体が上向いたわけではありません。

週の初めと終わりで、同じ現象が正反対に起きたことがそれを象徴しています。月曜は指数だけが下げ、金曜は指数だけが上げました。

各営業日の詳しい分析は、日次の深掘りノートでご覧いただけます。寄与度の内訳やセクター別の動きは、日ごとの記事のほうが細かく追えます。

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