2026年7月21日から24日までの東京株式市場を振り返ります。今週は20日が海の日で休場のため、火曜から金曜までの4営業日でした。
日経平均株価は週間で470円03銭(0.73%)高の64,611円15銭と、かろうじてプラスで着地しました。しかしこの数字は今週の実態をほとんど表していません。週初の火曜に2,091円高と歴史的な急反発を演じた一方、週末の金曜には原油急騰を受けて1,811円安と急落。週内の高安値幅は3,391円に達しました。
さらに特徴的だったのは、日経平均とTOPIXの乖離です。TOPIXは週間で2.35%上昇し、日経平均の0.73%を大きく上回りました。値がさのAI・半導体株が乱高下する裏で、銀行や商社といったバリュー株が着実に買われていたことになります。
今週の数字を一目で振り返る
日次の値動き
| 曜日 | 日付 | 終値 | 前日比 | 騰落率 |
|---|---|---|---|---|
| 月 | 7月20日 | 海の日のため休場 | ||
| 火 | 7月21日 | 66,232.19 | +2,091.07 | +3.26% |
| 水 | 7月22日 | 66,115.60 | -116.59 | -0.18% |
| 木 | 7月23日 | 66,422.60 | +307.00 | +0.46% |
| 金 | 7月24日 | 64,611.15 | -1,811.45 | -2.73% |
週間サマリー
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 週初の起点(7月17日終値) | 64,141.12円 |
| 週末終値(7月24日) | 64,611.15円 |
| 週間騰落 | +470.03円 |
| 週間騰落率 | +0.73% |
| 週間高値 | 67,592.20円(7月22日) |
| 週間安値 | 64,201.03円(7月24日) |
| 週間の高安値幅 | 3,391.17円 |
| TOPIX週間騰落率 | +2.35%(3,919.21→4,011.31) |
週間の値幅3,391円は、終値ベースの週間騰落470円のおよそ7倍にあたります。行って来いの一週間だったことが数字からも確認できます。
今週の主要テーマ
テーマ1:指数と中身が食い違い続けた4日間
今週最大の特徴は、日経平均が示す方向と市場全体の実態が繰り返しずれたことです。
火曜は日経平均が3.26%高となり、東証プライムの値上がり銘柄も8割にのぼって指数と中身が一致しました。しかし水曜は日経平均がマイナスで終わる一方、TOPIXは続伸し値上がり比率も53.9%とプラス。木曜は逆に日経平均がプラスなのに値下がり銘柄が値上がりを上回り、値上がり比率は44%にとどまりました。金曜はようやく両者が同じ方向を向きましたが、日経平均の下落率2.73%に対しTOPIXは1.05%と、下げの大きさに明確な差が出ています。
背景にあるのは、日経平均が株価の高い値がさ株の影響を強く受ける指数であることです。木曜は押し上げ上位5銘柄と押し下げ上位5銘柄の差引で指数の動きがほぼ説明できてしまい、金曜は押し下げ上位3銘柄だけで約1,185円を押し下げました。週を通じて、指数の振れは少数の値がさ半導体株に握られていたといえます。
その裏で進んでいたのが、グロースからバリューへの資金移動です。日銀の早期利上げ観測を背景に銀行株や保険株が買われ、原油高で鉱業や商社にも資金が向かいました。TOPIXが日経平均を大きく上回ったのはこのためです。
テーマ2:原油の急騰とインフレ再燃懸念
今週の相場を最終的に決めたのは原油でした。WTI原油先物は週初に1バレル83ドル後半だった水準から、水曜に85.15ドル、木曜に87.10ドル、そして木曜のNY時間には約1カ月半ぶりとなる93ドル台まで急騰しました。
直接の引き金は中東情勢です。イエメンの親イラン武装組織フーシ派が紅海で海上封鎖を宣言し、サウジアラビアの石油タンカー2隻を攻撃。トランプ米大統領が対イラン大規模攻撃を警告すると、原油高が一段と加速しました。ホルムズ海峡に加え、紅海側のバブ・エル・マンデブ海峡までもが封鎖される懸念が高まっています。
原油高の影響は三方向に及びました。第一に、鉱業・石油関連や商社への物色。第二に、コスト増を通じた内需株・空運株への逆風。水曜以降、小売や食料品が連日売られたのはこのためです。第三に、インフレ再燃観測を通じた金利上昇です。米10年債利回りは木曜に2023年10月以来の高水準となり、日本の10年債利回りも2.7%台半ばまで上昇しました。金利上昇は銀行株の追い風となる一方、不動産やグロース株には重荷となっています。
為替も同じ流れの中にあります。ドル円は木曜のNY時間に163円99銭前後と、1986年11月以来およそ39年8カ月ぶりの円安水準を記録しました。164円が目前に迫り、政府・日銀による為替介入への警戒感が強まっています。
テーマ3:AI・半導体の期待値が切り下がった
半導体関連の物色は日替わりで入れ替わりました。水曜は電子部品・メモリ系が買われて前工程装置株が売られ、木曜はその真逆。そして金曜には全面安となっています。同じ「AI・半導体」の括りの中で資金が落ち着き先を見つけられずにいた様子がうかがえます。
週末にこの構図を象徴したのがディスコでした。木曜の引け後に発表した4〜6月期は純利益が44%増、営業利益も42.2%増で、増配も伴う好決算です。それでも7〜9月期の純利益見通し395億円が市場予想平均473億円を下回ったことで、金曜の株価は一時12.72%安まで売られました。
米国でも同様のことが起きています。アルファベットやテスラの決算を受けてAI過剰投資への懸念が再燃し、木曜のナスダックは2.1%安で2カ月半ぶりの安値をつけました。実績が良くても先行きの期待に届かなければ売られる——今週はその厳しさが繰り返し確認された週だったといえます。
注目銘柄——明暗を分けたもの
| 銘柄 | 週間騰落率 | 材料 | コメント |
|---|---|---|---|
| アドバンテスト | 確認できず | 米SOX高、AI関連の需要観測 | 火曜+7.73%、木曜は押し上げ1位で約293円、金曜は押し下げ2位で約403円。指数の振れをほぼ一手に引き受けた |
| 東京エレクトロン | 確認できず | AI過剰投資懸念 | 金曜に1銘柄で約448円の押し下げ。週内で最大のマイナス寄与となった |
| キオクシアHD | 確認できず | 韓国株連動、ETF取引規制の強化 | 火曜に+17.18%と急騰した後、週末は連れ安。週内で最も値動きが激しかった銘柄 |
| ディスコ | 確認できず | 1Q44%増益・増配、2Q見通しは市場予想未達 | 好決算でも一時12.72%安。期待値の高さが裏目に出た形 |
| 三井松島HD | 約+44%(木・金の2営業日合計) | 今期配当予想の引き上げ | 高配当利回りに着目した資金が流入。木曜・金曜と連続で上昇率上位に |
| 中外製薬 | 確認できず | ディフェンシブへの資金退避 | 金曜の押し上げ寄与1位。医薬品セクターへの避難を象徴する動き |
| 三菱UFJ | 確認できず | 日銀の早期利上げ観測 | 週を通じて銀行株が堅調。TOPIXの相対的な強さを支えた |
| 高島屋 | 確認できず | 確認できず | 水曜・木曜と百貨店株が連続で下落率上位。円安によるコスト増意識が背景か |
来週の注目点5選
1. アドバンテスト・東京エレクトロンの決算
今週の指数の振れを主導した2銘柄そのものの決算が来週予定されています。ディスコの例が示した通り、実績よりも先行き見通しに市場の関心が集まりやすい局面です。見通しが市場予想を上回れば半導体関連の買い戻しが入りやすく、下回れば金曜の下げが延長される可能性があります。
2. 米マイクロソフト・アマゾンの決算
AI過剰投資懸念の震源となっているのが米大手テックの投資計画です。両社の決算とあわせて示される設備投資の方針が、AI関連の期待をどう修正するかが注目されます。投資拡大が「需要の強さ」と受け止められるか「収益性の悪化」と受け止められるかで、反応は正反対になりうる点に留意が必要です。
3. 中東情勢と原油価格
WTIは2営業日で87ドル台から93ドル台まで駆け上がりました。バブ・エル・マンデブ海峡の封鎖懸念が現実味を帯びれば一段高もありえます。原油が高止まりすればインフレ懸念を通じて金利上昇と内需株の重荷が続き、逆に情勢が沈静化して原油が反落すれば、今週売られた銘柄の買い戻しが入りやすくなります。
4. 為替介入への警戒
ドル円は164円が目前に迫り、片山財務相は必要があれば果断に行動する旨を繰り返し発言しています。介入が実施されれば円高方向への急変動を通じて輸出関連株が売られやすく、逆に介入がないまま164円を超えれば円安が加速する可能性があります。どちらに動いても株式市場には無視できない影響が及びます。
5. 75日移動平均線の攻防と日米長期金利
金曜の安値64,201円は75日移動平均(6万4,300円台)をやや下回りましたが、終値では上に戻して引けました。この水準を維持できるかが当面の焦点です。あわせて、米10年債利回りが2023年10月以来の高水準に達したことで、株式の相対的な割高感がどこまで意識されるかも注目されます。
今週の相場を一言で総括
歴史的急落からの反発で始まり、原油急騰で崩れた——差引ほぼ横ばいの裏で、資金は静かにグロースからバリューへ移った一週間。
日経平均の週間騰落はわずか470円高でしたが、その内実は火曜の2,091円高と金曜の1,811円安に挟まれた激しい往復でした。指数の見た目とTOPIXの2.35%高という差が、今週起きたことを最も端的に示しています。値がさAI・半導体株が方向感を失う一方で、銀行・保険・商社といったバリュー株には着実な買いが入り続けました。
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