7月23日の東京株式市場で、日経平均株価は前日比307円00銭(0.46%)高の66,422円60銭と反発しました。米半導体株高を手掛かりに寄り付きから買いが先行し、朝方には一時900円超高で6万7,000円台を回復する場面もありました。

ただし、この日の相場を「反発」の一言で片づけると本質を見落とします。東証プライムでは値下がり銘柄が値上がり銘柄を上回っており、上昇したのは市場全体ではなく一部の値がさ株だけでした。本記事では、指数と中身が乖離したこの一日を寄与度・業種・金利の各面から深掘りします。数値を絞ったダイジェスト版は通常版ノートからご覧いただけます。

相場サマリー

指標終値前日比騰落率
日経平均66,422.60+307.00+0.46%
TOPIX4,053.88+20.75+0.51%
JPXプライム1501,691.82+8.93+0.53%
グロース250699.52+2.98+0.43%

日経平均の始値は66,421.01円、高値は67,022.37円、安値は66,208.66円でした。東証プライムの売買代金は概算8兆5,663億円、売買高は19億1,353万株です。前日22日の売買代金10兆4,377億円から大きく減っており、商いは細っています。

日中の値動き——高値は午前10時10分

寄り付きは前日比305円41銭高の66,421円01銭。そこから上げ幅を広げ、午前10時10分に高値67,022.37円を付けて6万7,000円台を回復しました。しかし買いの勢いはそこまでで、以降は6万6,000円台でのもみ合いに終始します。

後場は韓国総合株価指数(KOSPI)の動向を横目にしばらく堅調に推移し、13時25分には66,539.92円まで戻す場面もありました。ただ大引けにかけてややバランスを崩し、高値からは約600円押し戻されて取引を終えています。買い戻しが主体で、それが一巡した後は材料に乏しく動意の鈍い展開でした。

日経平均を動かした主な要因

買いを呼び込んだ材料

前日22日の米国市場ではNYダウとナスダック総合が反落した一方、AI・半導体関連は堅調で、SOX(フィラデルフィア半導体株)指数が3日続伸しました。加えて日本時間の朝方、米アルファベットが決算発表とあわせてAI投資計画を引き上げたことが伝わり、これを材料視する向きもありました。韓国株の上昇も序盤の押し上げに寄与しています。

国内要因では、日銀の早期利上げ観測を背景とした銀行株買いと、原油高を受けた資源・商社株の物色が指数を支えました。

上値を抑えた重荷

中東情勢の悪化による原油高への懸念が再び意識されました。ホルムズ海峡を巡って米国とイランが対立を深めるなか、代替ルートとされる紅海でイエメンの武装組織フーシ派が海上封鎖を宣言。同海域でサウジアラビアのタンカーを攻撃したことがこの日伝わっています。

また、インフレ圧力の高まりを背景とした日銀の早期利上げ観測から国内長期金利が上昇し、株式の相対的な割高感も意識されやすい地合いでした。キオクシアが朝高後に下げに転じるなど、一部のAI・半導体株には上値の重さが目立ち始めています。

寄与度分析——上位10銘柄でほぼ説明できる上昇

区分銘柄(上位順)寄与度
押し上げ1位アドバンテスト+293円
押し上げ2〜5位ソフトバンクG、レーザーテック、村田製作所、豊田通商個別値は確認できず
押し上げ上位5銘柄合計約+527円
押し下げ1位ファーストリテイリング-120円
押し下げ2〜5位キオクシアHD、信越化学工業、京セラ、太陽誘電個別値は確認できず
押し下げ上位5銘柄合計約-224円

ここに本日の相場の本質があります。押し上げ上位5銘柄の合計527円から押し下げ上位5銘柄の224円を差し引くと約303円。実際の上昇幅307円とほぼ一致します。つまり日経平均の動きは、実質的にこの10銘柄でほぼ説明できてしまうということです。

主な株価は、アドバンテストが30,800円(+1,215円)、レーザーテックが45,130円(+2,140円)、ディスコが69,410円(+820円)、村田製作所が8,538円(+221円)、ソフトバンクGが5,918円(+215円)でした。

興味深いのは物色の入れ替わりです。前日22日に押し上げ側だったキオクシア、京セラ、太陽誘電が、本日は押し下げ側に回っています。AI・半導体という括りの中で、資金は日替わりで移動している状況です。

東証プライムの騰落状況——指数と中身の乖離

東証プライムの値上がりは687銘柄、値下がりは826銘柄、横ばいは45銘柄でした。値上がり銘柄数は全体の約44%にとどまり、値下がり銘柄が過半を占めています。

日経平均がプラスで終わったにもかかわらず、市場全体では下落銘柄のほうが多かったわけです。前日22日は「日経平均マイナス、値上がり比率53.9%」という逆行が起きており、本日はちょうどその裏返しの現象が生じたことになります。2日続けて指数と中身が食い違っている点は、現在の相場の不安定さを示す材料といえます。

業種別・テーマ別の動き

東証33業種のうち上昇は21業種でした。

上昇した業種

上昇率上位5業種は、鉱業、銀行業、非鉄金属、証券・商品先物、パルプ・紙です。原油高を追い風にした鉱業が1位、日銀の早期利上げ観測を受けた銀行業が2位と、金利上昇と資源高の恩恵セクターが上位を占めました。証券・商品先物が4位に入ったのも同じ文脈です。

下落した業種

下落率上位5業種は、不動産業、食料品、小売業、医薬品、精密機器でした。不動産業の下落は国内長期金利の上昇を嫌気したもの。食料品・小売業・医薬品といった内需・ディフェンシブ株の軟調は、円安とインフレ懸念によるコスト増意識が前日から継続しています。

半導体内部の明暗

アドバンテスト、レーザーテック、ディスコといった前工程・検査装置株が買われる一方、キオクシア、京セラ、太陽誘電、イビデンといったメモリ・電子部品は売られました。前日22日は電子部品が買われて前工程装置株が売られており、こちらも完全に逆の動きです。

個別銘柄の動き

区分銘柄騰落率主な材料
上昇1位三井松島HD+25.76%今期配当予想の引き上げ
上昇2位テクセンドフォトマスク+13.96%確認できず
上昇3位未来工業+8.01%確認できず
下落1位高島屋確認できず確認できず
下落2位Jフロントリテイリング確認できず確認できず
下落4位多木化学確認できず前日の急騰からの反動

下落率上位に高島屋、Jフロントリテイリング、三越伊勢丹という百貨店3社が並んだ点は目を引きます。前日22日も松屋が下落率2位に入っており、百貨店株は2日連続で売られました。小売業が下落率上位3業種に入った背景の一つです。

そのほか、住友金属鉱山とJX金属が大幅高、原油高を受けてINPEX、石油資源開発、ENEOSホールディングスが上昇。三菱商事、豊田通商など商社株もしっかりで、三菱UFJフィナンシャル・グループをはじめとする銀行株への買いが目立ちました。

決算関連の動き

決算では明暗が分かれました。オービックは第1四半期が順調な内容だったものの、サプライズが限定的として下落。一方、フェローテックホールディングスは今期業績予想の引き上げをポジティブ視されて上昇しました。AZ丸和ホールディングスは株主優待制度の新設とJPYCとの資本・業務提携が好感されています。ストップ高は10銘柄、ストップ安は2銘柄でした。

注目のディスコは、16時に2027年3月期第1四半期決算と第2四半期業績予想・配当予想を開示しました。引け後の発表のため株価への反応は翌24日に持ち越されます。半導体装置株全体の方向を左右しうる材料です。

為替・米国株・金利の影響

指標直近値前日比
NYダウ(7/22終値)52,218.58-6.06
NASDAQ総合(7/22終値)25,690.90-146.30(-0.56%)
ドル円(東京15時)163.07ほぼ横ばい
米10年債利回り(7/22)4.663%+0.035
日本10年債利回り(7/22)2.748%+0.027
WTI原油9月限(7/22)87.10ドル+3.27%

ドル円は東京市場で動意に乏しく、15時00分時点で163円07銭付近でした。14時すぎも163円05銭前後で、日中を通じて狭いレンジにとどまっています。前日22日の東京15時台とほぼ同水準で、警戒されていた為替介入は本日時点で観測されていません。

金利面では、米長期金利が一時4.66%と5月20日以来2カ月ぶりの高水準を付けました。日本の10年債利回りも2.7%台半ばまで上昇しています。原油はWTI9月限が87ドル台へ大幅高となり、22日早朝には一時88ドル台後半と6月中旬以来の高値を付けました。この原油高がインフレ懸念を通じて日米双方の金利を押し上げ、株式の割高感につながるという構図です。

テクニカル面

注目したいのは10日移動平均線(66,978円)の存在です。この水準が7月相場に入ってからの上値抵抗線として機能しており、22日も23日もザラバの高値はこの近辺で止められました。3週間あまり超短期のトレンドすら逆転できていない状況が続いています。

本日の高値67,022円はこの10日線をわずかに上回りましたが、終値では66,422円と再び下方に押し戻されました。上値のメドとしてはまず66,978円の突破と、その水準での定着が焦点になります。下値では本日安値66,208円、次いで前日安値65,955円が意識されやすい水準です。

25日・75日移動平均線との乖離率やRSIの具体値は本稿執筆時点で確認できず、数値の言及は控えます。

見通し(想定レンジ)

期間想定レンジ主な前提条件
翌営業日65,500円〜67,500円ディスコ決算への反応、米ハイテク株の動向、10日線の攻防
1ヶ月後62,000円〜69,000円FOMC、中東情勢と原油、国内決算、日銀の政策姿勢
1年後60,000円〜75,000円世界景気の方向、AI投資の持続性、国内長期金利の上昇ペース

いずれも確定的な予想ではなく、前提条件が変われば上下どちらにも振れやすい点にご留意ください。

今日の結論

指数は上がったが、相場は上がっていない——それが7月23日の一日でした。日経平均は307円高で終えたものの、値下がり銘柄が値上がりを上回り、上昇分は上位10銘柄でほぼ説明できてしまいます。売買代金も8兆円台まで減少しました。

前日は「日経平均マイナス、TOPIXプラス」、本日は「日経平均プラス、値下がり銘柄優勢」。2日続けて指数と中身が食い違っており、物色対象も日替わりで入れ替わっています。10日移動平均線を3週間あまり上抜けられていない事実とあわせて、需給構造の変化を意識しておきたい局面です。

指標を絞って手早く振り返りたい方は通常版ノートをご覧ください。

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【2026年7月23日】今日の日本株ノート|日経平均は307円高で反発、ただし値下がり銘柄が上回る中身の弱い上昇
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