本記事は、2026年6月25日(木)の東京株式市場を多角的に深掘りした上級者向けの分析記事です。通常版の記事はこちらからご覧いただけます。

相場サマリー

指数終値前日比騰落率
日経平均株価72,366.34円+3,191.37円+4.61%
TOPIX4,016.47+52.71+1.33%
JPX日経40036,498+504+1.40%
JPXプライム1501,676.35+24.52+1.48%
項目数値
東証プライム売買代金(概算)10兆9,137億円
東証プライム売買高(概算)23億3,321万株
値上がり銘柄数1,043銘柄(全体の約65%)
値下がり銘柄数471銘柄
横ばい銘柄数48銘柄

日経平均株価は前日比3,191円37銭(+4.61%)高の72,366円34銭で引け、3日ぶりに最高値を更新した。上げ幅は歴代4位の大きさで、一時は3,400円超まで上昇した。米マイクロン・テクノロジーが前日引け後に発表した決算が市場予想を大幅に上回り、人工知能(AI)・半導体関連株を中心に幅広い銘柄が買われた。TOPIXも52.71ポイント高の4,016.47と3日ぶり反発。売買代金は10兆9,137億円と活況が続いた。

日経平均を動かした主な要因

① マイクロン決算「満点以上」——メモリー市況の強さを数字で証明

今日の相場を決定的に動かしたのは、米マイクロン・テクノロジー(NASDAQ:MU)が6月24日(米国時間)引け後に発表した2026年3〜5月期決算だ。売上高は416億ドルと前の四半期(239億ドル)から74%増、前年同期(93億ドル)比では346%増という異次元の成長を示した。粗利率は84.9%(前四半期75%)、非GAAPベースのEPSは25.11ドルと、あらゆる指標で市場予想を大幅に上回った。6〜8月期の売上高ガイダンスも市場予想を大きく上回り、同社幹部は「半導体メモリーの需給の引き締まりが2027年以降も続く」との見方を示した。マイクロン株は米国時間外取引で15%急騰し、サンディスクなど関連銘柄にも買いが波及した。

この決算が東京市場に与えた影響は絶大だった。NANDフラッシュの価格が前の四半期比8割超の上昇を示したことは、同じNAND専業のキオクシアHDに直接的な追い風となる。また、マイクロンがFY2026に約270億ドルの設備投資を計画していることは、装置メーカーの東京エレクトロン・アドバンテストにとって直接的な受注期待につながった。

② SKハイニックスHBM縮小報道の打ち消しと韓国KOSPI急反発

振り返れば6月23日(火)の急落を引き起こした直接の起点は、SKハイニックスがHBM(高帯域幅メモリー)の生産縮小を計画しているとの報道だった。これがKOSPIを9.9%急落させ、日本市場にも連鎖した。今日はマイクロン決算がHBM需要の強さを数字で証明したことにより、この報道の信憑性が大幅に低下した。韓国KOSPIも大幅反発し、日韓の半導体株の連動性から東京市場の半導体銘柄全体に買いが広がった。

③ ショートカバーの加速

野村アセットマネジメントの石黒英之チーフ・ストラテジストは「日本の半導体関連銘柄はファンダメンタルズに比べるとまだ割安と言える水準で、マイクロンの好決算をきっかけに売り方の買い戻しも入り、相場上昇に拍車をかけている」と指摘した。6月23〜24日の急落局面で空売りを積み上げた投機筋が一斉に買い戻しに動いたことが、歴代4位という記録的な上げ幅をもたらした一因とみられる。

④ WTI原油の大幅下落と米金利低下

WTI原油先物がイラン戦争開始(2月末)前の水準である69ドル台まで下落した。ホルムズ海峡の航行が正常化に向かっていることを背景に地政学リスクプレミアムが剥落しており、原油安はインフレ懸念の後退につながった。その結果、米10年債利回りが4.40%台まで低下し、グロース株・ハイテク株にとっての追い風となった。

⑤ 植田日銀総裁発言の無難通過

6月24日15時40分、植田日銀総裁の発言文を氷見野副総裁が代読する形で「基調物価が2%の物価目標を超えて上振れるリスクがある」「利上げの時期やペースについて見通しやリスクを点検して検討する」との内容が伝わった。タカ派的とも受け取れる内容だったが、市場の反応は限定的で、追加の円高・株安を招かなかった。この「無難通過」が今朝の投資家心理を落ち着かせた面もある。

寄与度分析

区分銘柄名寄与度(概算)株価変化
押し上げ①アドバンテスト(6857)4銘柄合計で約+2,300円(日経記事)+15.06%(値上がり率プライム1位)
押し上げ②東京エレクトロン(8035)同上大幅上昇
押し上げ③ソフトバンクG(9984)同上大幅上昇(ARM株急騰の波及)
押し上げ④キオクシアHD(285A)同上+12.27%(値上がり率プライム3位)
その他上昇イビデン・村田製・太陽誘電プラス寄与大幅上昇
押し下げ①三菱商事(8058)マイナス寄与下落
押し下げ②塩野義製薬(4507)マイナス寄与下落

4銘柄合計で2,300円という寄与度は、日経平均の上昇幅(3,191円)の約72%に相当する。前々日(6/23)の「SBG・東エレク・キオクシア3銘柄で▲1,400円」という押し下げと対比すると、今日はその倍以上の押し上げが4銘柄から出た格好だ。6月22日の8連騰最終日から6月25日までの4日間で、相場は急落(▲2,565円)→続落(▲613円)→大幅反発(+3,191円)という激しい乱高下を演じた。

東証プライム騰落状況

値上がり1,043対値下がり471と全体の65%が上昇し、前日(6/24)の前引け時点での865対635よりも広い市場全体への波及となった。6月23日の全面安(値下がり1,154、7割)からわずか2日で65%上昇へと反転したスピードは、ショートカバーと機関投資家の買い戻しが集中したことを示している。

ただし日経平均の上昇率(+4.61%)とTOPIXの上昇率(+1.33%)の差は際立っている。3.28ポイントという乖離は、AI・半導体の値がさ株が指数を大きく押し上げる日経平均の構造的特性を改めて浮き彫りにした。NT倍率(日経÷TOPIX)は再び上昇しており、半導体・AI特化型の相場構造に戻ったことを意味する。

業種別では電子部品・精密機器・電気機器が上昇をけん引した。一方で商社・医薬品・通信などの内需・ディフェンシブは相対的に軟調で、典型的な「リスクオン・セクターローテーション」の日だった。

業種別・テーマ別動き

半導体・AI関連:3日分の調整を帳消しに

アドバンテスト(+15.06%)、キオクシアHD(+12.27%)、東京エレクトロン(大幅高)、ソフトバンクG(大幅高)、イビデン(大幅高)、村田製作所(上昇)、太陽誘電(上昇)と、半導体・AI関連が一斉に急騰した。マイクロン決算の内容が単なる業績の好転ではなく、「2027年以降もHBM・NAND需給が引き締まり続ける」という中長期的な強気見通しを含んでいたため、装置・素材・同業のすべてに連想買いが波及した。

電子部品素材:連想買いの第二波

堺化学工業(+13.94%)、日ケミコン(+11.57%)など半導体素材・電子部品の周辺銘柄にも強い買いが入った。マイクロンの大型設備投資計画(270億ドル)が装置・素材メーカーの受注拡大を示唆するとの解釈が広がり、直接的な取引関係がなくても業種全体が連想買いの対象となった。

内需・ディフェンシブ:リスクオンで逆風

前日まで相場の受け皿となっていた三菱商事、塩野義製薬、KDDI、コナミGが下落に転じた。リスクオン局面ではハイテクへの資金集中が起き、ディフェンシブから資金が流出する典型的なパターンだ。

銀行・金融:米長期金利低下で上値重い

原油安・インフレ懸念後退による米10年債利回りの低下(4.40%台)は、銀行株にとって逆風となった。三菱UFJ・みずほFGなどは相場全体の上昇に比べて出遅れる動きだった。

為替・米国株・金利の影響

指標水準取得時点・備考
ドル円(東京15時06分)161.82円ザイFX! 15:06公開「東京外国為替市場概況・15時 ドル円、強含み」より実データ確認
ドル円(8時)161.77円前NY終値161.78円からほぼ横ばい。青森震度6強の地震も為替反応は限定的
NYダウ(6/24終値)51,848ドル(+182ドル、+0.35%)日経NQN記事「前日に比べ182ドル高い5万1848ドル」より確認。原油安・消費関連株買い
ナスダック総合(6/24終値)確認できず(続落)日経見出し「ナスダックは続落」。マイクロン決算前の様子見が続落圧力に
米10年債利回り(6/24〜25)4.40%台SMBC6/25レポートより。原油安によるインフレ懸念後退で低下
WTI原油69ドル台(イラン戦争前水準)みんかぶFX 15:56記事より。ホルムズ海峡の航行正常化で続落

ドル円は朝方(8時)の161.77円から東京15時には161.82円へと強含みで推移した。日経平均が3,200円超の大幅高を演じたことでリスクオンのドル買いが強まったが、WTI原油がイラン戦争開始前の水準に戻したことで「原油安→インフレ懸念後退→ドル買い材料の剥落」という流れも意識された。また介入警戒感が依然として上値を抑えており、162円台は試しにくい水準として認識されている。西原宏一氏(ザイFX!)は「162円は時間の問題。介入を待てない事業法人の米ドル買いが増加し、8万円目指す日経平均を追いかけそう」との見解を示した。

6月25日夜(日本時間21:30)には米5月PCEデフレーターの発表が控える。市場予想は前年比+4.1%(前回+3.8%)、コアPCE+3.4%(前回+3.3%)と一段のインフレ加速見込み。FOMCのタカ派姿勢(年内利上げ見込み9人)を裏付けるか否かが焦点で、予想通りまたは上振れの場合は利上げ観測強化→ドル高・グロース株の頭打ちというシナリオが再浮上する。本稿作成時点ではPCEは未発表であり、結果は来週(6/28以降)の相場に影響する。

個別決算・材料株

銘柄名材料内容株価反応
マイクロン・テクノロジー(MU、米国)FY2026 3Q:売上高416億ドル(+346%前年比)、粗利率84.9%、EPS25.11ドル。Q4ガイダンスも大幅上振れ。2027年以降もHBM・NAND需給の引き締まりが続くとの見通しを提示。設備投資計画FY2026は270億ドル米国時間外+15%。翌朝の東京市場に直接波及
キオクシアHD(285A)マイクロン決算でNAND単価が前期比8割超上昇と判明。同じNAND市況の中にあるキオクシアへの期待が急上昇+12.27%(値上がり率プライム3位)
アドバンテスト(6857)マイクロンの設備投資270億ドル計画がHBMテスター需要拡大に直結。メモリーテスト装置で世界首位+15.06%(値上がり率プライム1位)
堺化学工業(4078)半導体素材として連想買い。材料詳細は未確認+13.94%(値上がり率プライム2位)
シャープ(6753)材料詳細未確認▲9.69%(値下がり率プライム1位)

テクニカル面

日経平均の終値72,366.34円は、6月22日に記録した前の最高値(72,353.96円)をわずかに上回り、3日ぶりの最高値更新となった。6月23日の急落(▲2,565円)・6月24日の続落(▲613円)という2日間の下げをほぼ帳消しにした形で、相場の「V字回復」を印象付けた。

前場では一時2,700円高の71,854円(前引け)まで上昇し、後場に入ると3,400円超まで上げ幅を拡大した。25日移動平均からの上方乖離率については、10時時点で「まだ5%程度まで上昇しており、過熱感の解消とまでは至っていない」(東海東京インテリジェンス・ラボ・沢田遼太郎シニアアナリスト)との指摘があった。前回の8連騰時(最大で約12%超の乖離と推定)には及ばないが、再び過熱圏に入りつつある点は意識しておく必要がある。

RSIは2日間の調整で過熱圏を脱していた可能性があるが、今日の急騰で再び70超に戻ったとみられる。7万2,000〜7万3,000円台での定着が次のテクニカル上の焦点となる。上値めどとしては7万5,000円・8万円が引き続き意識され、下値サポートは6月23日安値(69,788円)・25日移動平均線が意識されやすい。

見通し

期間想定レンジ主な前提条件
翌営業日(6/28)71,000円〜74,000円6/25夜の米PCEデフレーター結果(21:30発表)、週末の米国株の動き(ナスダックの反発確認)、ドル円162円台への接近と介入実施の有無
1ヶ月後(7月下旬)68,000円〜78,000円米PCE・雇用統計の推移と利上げ観測の高まり方、日銀の次回利上げ時期、米イラン最終合意(60日ロードマップ内)の進捗
1年後(2027年6月)65,000円〜90,000円マイクロン決算が示したAI需要の中長期持続性(2027年以降のHBM需給引き締まり)、日銀利上げサイクル、米金融政策の転換有無

翌週(6/28以降)の相場の方向感は、今夜(6/25)21:30に発表される米5月PCEデフレーターの結果が大きく左右する。予想通りの上振れ(前年比+4.1%)が確認された場合は年内利上げ観測がさらに強まり、グロース株の頭打ちとドル高が同時進行するシナリオが浮上する。一方で予想を下回った場合は「インフレのピーク接近」として市場がリスクオンを維持しやすく、日経平均は7万5,000円台を視野に入れる展開も考えられる。

為替については、ドル円が161.82円まで上昇しており、162円超えへの介入実施が最大のテールリスクだ。実施された場合の円急騰と株式市場への影響は短期的に大きく、特に輸出株や値がさ株への打撃は避けられない。ただし過去の実績では介入後の相場は数週間以内に元の水準に戻ることが多く、中長期的なトレンドを変える材料にはなりにくい。マイクロン決算が示したAI需要の持続性という「本質的な強気材料」は引き続き健在だ。

今日の結論

6月25日は「マイクロン決算の圧倒的な好内容」という一点が相場の方向性を決定的に変えた。3日前の8連騰後の急落(▲2,565円)と昨日の続落(▲613円)を、たった1日でほぼ帳消しにするという3,191円高の反発は、AI・半導体需要の持続性に対する市場の強い確信を表している。マイクロンが示した「NAND単価の前期比8割超上昇」「HBM需給が2027年以降も引き締まり続ける」という見通しは、日本の半導体関連株——キオクシア・アドバンテスト・東エレク——のバリュエーション拡大を正当化する材料だ。今夜のPCEデフレーター発表を通過し、週明けの米国市場の反応を確認することが、この相場の持続性を判断する次のチェックポイントとなる。

より詳しい数字の確認や通常版の相場解説は、通常版(日経ノート)もあわせてご覧ください。

編集者メモ(公開本文には含めない)

重視した点:
・マイクロン決算の内容を単なる「好決算」ではなく「メモリー市況の構造的強さの証明」として深掘りした(NAND単価8割超上昇・2027年以降のHBM需給引き締まり・270億ドルの設備投資計画の3点)。
・6/23の急落起点(SKハイニックスHBM縮小報道)と今日の反発(マイクロン決算でその根拠崩壊)という対称構造を明示し、読者が4日間の流れを俯瞰できるよう構成した。
・NT倍率の乖離(日経+4.61%対TOPIX+1.33%)を積極的に解説し、相場構造への理解を深めた。
・PCEデフレーター(夜間発表)は本稿作成時点で未発表のため「来週の確認事項」として見通しに組み込んだ。

省略・要確認情報:
・NYダウ(6/24終値):日経NQNスニペット「5万1848ドル」より確認済み。小数点以下の確定値(51,848.xxドル)は要確認。フロントマターに`51848.00`を暫定使用。
・ナスダック総合(6/24終値):「続落」と確認済みだが確定値は未取得。`確認できず`とした。
・財経新聞の6/25確定寄与度ランキングは本稿執筆時点で未掲載。記事化前に確認すること。
・シャープの▲9.69%(値下がり率プライム1位)の急落材料は未確認。
・米PCEデフレーター(6/25 21:30発表):本稿執筆時点で未発表。週次まとめ(④)作成前に結果を確認し、来週の見通しに反映すること。
・6/24のTOPIX確定終値:今回の6/25前引けデータ(4,016.61)から逆算すると6/24終値は3,963.76程度と推定されるが、要別途確認。
・6/23深掘りノート・日経ノートの「韓国KOSPI急落の原因」欄に「SKハイニックスのHBM生産縮小計画報道」を追記することを推奨(野村証券NY市況記事で確認済み)。
・6/24深掘りノートの植田日銀総裁発言欄に詳細(「氷見野副総裁代読」「基調物価2%超上振れリスク・利上げ時期点検」「市場反応限定的」)を追記することを推奨。

リンク設定:
・通常版へのリンク:/blog/20260625-nikkei(冒頭と結論部に設定済み)
・通常版(③)作成時に深掘りノートへの逆リンクとして/blog/20260625-deepを設定してください。

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【2026年6月25日】今日の日本株ノート|マイクロン好決算でAIラリー復活、歴代4位の3191円高で最高値更新
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