10月5日〜9日の東京株式市場で、日経平均株価は週間で721.46円高(+1.06%)の69,030.92円となりました。週前半は米雇用統計の下振れで利上げ観測が後退し、6日には終値で約3カ月ぶりに7万円台を回復しました。

しかし週後半は、短期的な過熱感に加えて、原油高と米長期金利の上昇によるインフレ懸念、OpenAIの売上をめぐる報道が重なり、3日続落で7万円を割り込みました。週間ではプラスを確保したものの、相場の主役と材料がめまぐるしく入れ替わった1週間です。

今週の数字を一目で振り返る

日次の値動き

曜日日付終値前日比騰落率
月10月5日69,946.86円+1,637.40円+2.40%
火10月6日70,683.98円+737.12円+1.05%
水10月7日70,035.71円▲648.27円▲0.92%
木10月8日69,042.11円▲993.60円▲1.42%
金10月9日69,030.92円▲11.19円▲0.02%

週間サマリー

指数週初(前週末終値)週末週間騰落週間騰落率
日経平均68,309.46円69,030.92円+721.46円+1.06%
TOPIX4,091.004,104.81+13.81+0.34%

週間の高値は、終値ベースで6日の70,683.98円、取引時間中では7日の70,793.29円でした。週前半の2日間で約2,400円上昇し、後半の3日間で約1,650円下落する「行って来い」に近い展開です。

今週の主要テーマ

米利上げ観測の後退から、インフレ懸念の再燃へ

週初の追い風は、10月2日発表の米9月雇用統計でした。雇用者数が予想を大きく下回り、10月FOMCでの追加利上げ観測が後退したことで、5日の日経平均は1,637円高と急伸しました。

ところが週半ばには相場の材料が入れ替わりました。中東情勢を背景に原油価格が高止まりし、米10年債利回りは一時2002年以来の高水準を記録しました。9月FOMCの議事要旨で多くの参加者が年内の追加利上げを支持していたことも判明し、8日には原油高と長期金利上昇によるインフレ懸念から、東証プライムの値下がりが7割を超える全面安となりました。週を通じて、国内外の長期金利と原油価格が相場の方向を決める構図が鮮明になりました。

半導体主導の上昇と、物色の広がり・後退

5日の上昇はアドバンテスト、東京エレクトロンなど値がさ4銘柄が上げ幅の6割超を稼ぐ「一点集中型」でした。翌6日は東証プライムの7割超が上昇し、30業種が上昇と、買いが金融株や市況関連株へ広がりました。

しかし7日には過熱感から半導体株に利益確定売りが出て、9日にはOpenAIの年換算売上高が一部推計を下回ったとの報道で米半導体株指数(SOX)が3.39%下落しました。AI投資への期待が相場を押し上げる一方で、その期待が揺らぐと真っ先に売られるという、半導体株の振れやすさが改めて示された週でした。

日経平均とTOPIXのねじれ

週末の9日、日経平均は11円安だった一方、TOPIXは反発し、東証プライムの76.9%の銘柄が上昇しました。決算発表後に4%超下落したファーストリテイリングと、ソフトバンクグループの2銘柄だけで約436円を押し下げたためです。指数寄与度の大きい少数の銘柄が日経平均の方向を左右する構図は、週を通じて上げ・下げの両面で表れました。

注目銘柄——明暗を分けたもの

銘柄名週間騰落率材料コメント
アドバンテスト+7.71%米SOX高、上場来高値を更新週を通じて指数の押し上げ役。9日も米半導体株安から切り返す
リクルートHD+6.41%内需・ディフェンシブ株への資金シフト週後半の下落局面でも押し上げ寄与の上位を維持
東京エレクトロン+2.85%米SOX高と利益確定売りが交錯7日は指数押し下げ1位、9日は押し上げ2位と振れ幅が大きい
TDK+2.19%電子部品株への物色と利益確定週前半に上昇も、後半は電子部品株安で伸び悩み
ファーストリテイリング+0.01%9月既存店+10.8%、8日に最高益決算好決算でもサプライズに乏しく、9日は4%超下落
ソフトバンクグループ▲8.03%OpenAI追加投資の完了、アーム訴訟、OpenAI売上報道週後半の3日間で指数を大きく押し下げ
キオクシアHD▲9.30%下落理由は確認できず半導体株高の局面でも逆行安が続いた

※週間騰落率は前週末(10月2日)終値から算出しています。

来週の注目点5選

1. 米9月消費者物価指数(14日)

今週の相場は、利上げ観測の後退と、原油高によるインフレ懸念との間で揺れ動きました。米CPIが市場予想を上回れば、10月FOMCでの追加利上げ観測が再び強まり、米長期金利の上昇を通じて株式の重荷となる可能性があります。予想を下回れば、利上げ観測の後退で週初のような反発につながる余地があり、相場の方向感はCPI次第で変わりうる局面です。

2. TSMC決算(15日)とASML決算(14日)

OpenAIの売上報道でAI投資への見方が揺らいだ中、世界の半導体需要を映すTSMCの決算が注目されます。AI向け需要の強さが確認されれば、アドバンテストや東京エレクトロンなど日経平均への寄与度が大きい銘柄の支えとなりえます。一方、見通しが慎重な内容となれば、半導体株主導で指数が下押しされるリスクがあります。

3. 米長期金利と原油価格

米10年債利回りは5.2〜5.3%台と、約24年ぶりの高水準圏にあります。WTI原油も90ドル前後で推移しており、両者の動向が株式の割高感やインフレ懸念を左右します。金利と原油が落ち着けば上振れ余地がありますが、再び上昇すれば金利敏感株や景気敏感株に売りが広がりやすい点が注目されます。

4. 中東情勢

イランを巡る協議の行方やホルムズ海峡周辺の船舶攻撃など、中東情勢は原油価格を通じて相場に影響しています。3連休中の展開次第で、13日の東京市場は大きく動く可能性があります。緊張緩和が進めば原油安・金利低下を通じて追い風となる一方、緊迫化すればリスク回避の売りが強まりやすい局面です。

5. 植田日銀総裁のあいさつ(16日)と国内企業の決算

16日には植田総裁のあいさつ(内田副総裁が代読)が予定されており、10月末の日銀会合を前に利上げ姿勢を探る材料として注目されます。国内では安川電機の決算反応や、2月期決算企業の中間決算が続きます。好決算銘柄への物色が相場を下支えするかどうかも、方向感を左右しうるポイントです。

来週の日経平均シナリオ

シナリオ想定レンジ主な前提条件
強気シナリオ71,000円〜74,500円米CPIが予想を下回り利上げ観測が後退、TSMC決算でAI需要の強さを確認、原油・金利が落ち着く
基本シナリオ67,000円〜71,000円米CPIは概ね予想通り。7万円を挟んで、金利・原油の動向をにらんだ一進一退
弱気シナリオ63,500円〜67,000円米CPIの上振れで利上げ観測が再燃、中東情勢の緊迫化で原油高、AI投資への懸念が拡大

週末終値(69,030円)を基準に、強気は+3〜8%、基本は±3%程度、弱気は▲3〜8%程度で設定しています。

今週の相場を一言で総括

「7万円回復も定着ならず、材料は利上げ後退からインフレ懸念へ」

週前半は米利上げ観測の後退で7万円台を回復しましたが、週後半は原油高と長期金利の上昇、AI投資への不安が重なり、7万円を守れませんでした。ただ週末には東証プライムの7割超が上昇しており、下値での買い意欲は残っています。来週は米CPIとTSMC決算を通じて、7万円台を再び試せるかが試されます。

日々の詳しい分析は、各日の深掘りノート(5日・6日・7日・8日・9日)をご覧ください。

← 前の記事 【週次相場振り返り】9月28〜10月2日|中東・原油と金利に揺れるなか半導体が急伸、日経平均は週間1,945円高もTOPIXは下落しNT倍率が急上昇 次の記事 → 【週次相場振り返り】10月13〜16日|中国メモリー台頭とコアウィーブ・ショックでAI株が崩落、日経平均は歴代3位の急落を含む週間3,706円安