10月19日〜23日の東京株式市場で、日経平均株価は週間で2,631.13円安(▲4.03%)の62,693.16円となりました。5営業日のうち4日が下落し、22日には終値で約3カ月ぶりに6万3,000円を割り込みました。

週を通じた最大のテーマは、米国のAI関連企業の決算をきっかけに強まった「AIへの巨額投資は本当に回収できるのか」という疑念です。日経平均を押し上げてきた半導体・AI関連株が売られ、指数は23日に200日移動平均線の目前まで下落しました。TOPIXの週間下落率は2.46%にとどまり、下げは日経平均に偏った1週間でした。

今週の数字を一目で振り返る

日次値動き

曜日日付終値前日比騰落率
月10月19日64,916.70円▲407.59円▲0.62%
火10月20日64,075.42円▲841.28円▲1.30%
水10月21日64,621.24円+545.82円+0.85%
木10月22日62,907.84円▲1,713.40円▲2.65%
金10月23日62,693.16円▲214.68円▲0.34%

週間サマリー

項目日経平均TOPIX
前週末終値(10/16)65,324.29円4,066.00
今週末終値(10/23)62,693.16円3,965.81
週間騰落▲2,631.13円▲100.19
週間騰落率▲4.03%▲2.46%
週間高値/安値(日中)65,404.63円(21日)/61,462.61円(23日)確認できず

今週の主要テーマ

「AI投資は回収できるのか」——決算のたびに揺れた半導体株

今週の相場は、米国の決算発表に半導体株が振り回される展開でした。週初は前週末の米コアウィーブ下落をきっかけにAI関連の債務不安が意識され、21日には米スーパー・マイクロやスペースXの好決算で買い戻されました。しかし22日には、米ラム・リサーチの売上高が予想レンジの下限にとどまったことや、メタがAI投資の本格的な収益化は来年以降との見方を示したことで、売りが再燃しました。

22日はアドバンテスト、東京エレクトロン、ソフトバンクグループ、イビデンの4銘柄だけで日経平均を約1,184円押し下げています。好決算でも「投資に見合う成長が続くのか」が問われる局面に入り、個別の好材料だけでは買いが続かなくなっている点が今週の本質です。

日経平均だけが大きく下げた1週間

日経平均の週間下落率4.03%に対し、TOPIXは2.46%にとどまりました。NT倍率(日経平均÷TOPIX)は週初の約16.07倍から約15.81倍へ低下しています。指数寄与度の大きい値がさ半導体株に売りが集中した一方、市場全体の崩れは日経平均ほど大きくなかったことを示しています。

ただし、中身は日によって大きく変わりました。20日は値下がり銘柄が約76%に達する全面安、21日は逆に6割超が上昇するリバウンドでした。23日は日経平均の下げは小幅だったものの、値下がりが6割を超え、売買代金は約8兆9,000億円まで膨らみました。売られすぎた銘柄と逃避先の銘柄の間を資金が行き来する、落ち着かない相場だったといえます。

資金は内需・ディフェンシブへ、金利と原油が揺さぶり

半導体株から抜けた資金は、医薬品、小売、不動産、ゲーム、セキュリティー関連などに向かいました。外食株は首相の需要喚起策検討、セキュリティー関連株はPHPの深刻な脆弱性公表、不動産株は長期金利の低下を手がかりに買われています。

外部環境では、米10年債利回りが5%台で高止まりし、WTI原油先物は中東情勢をにらんで100ドル前後を上下しました。国内では23日発表の9月全国コアCPIが9カ月ぶりに2%台へ戻り、日銀の利上げ観測も意識されています。ドル円は週後半にかけて158円台から156円台へ円高が進み、輸出株への追い風も期待しにくい状況でした。

注目銘柄——明暗を分けたもの

銘柄週間騰落率材料コメント
ソフトバンクグループ▲13.51%AI関連の債務・投資回収への懸念20日に6%安、22日に7%近く下落と、AI不安の影響を最も受けた銘柄の一つ
イビデン▲12.82%AI向け部材への売り22日は9%超の急落。AIサーバー関連の代表格として売られた
東京エレクトロン▲11.03%ラム・リサーチ決算、SOX指数安19日、22日と寄与度マイナス上位。23日は横ばいで下げ止まりの兆し
TDK▲10.75%電子部品株への売り23日は寄与度マイナス1位。売りが製造装置から電子部品へ広がった
フジクラ▲10.35%データセンター関連の電線株安20日に電線株が急落、21日に反発したが週を通じて上値は重かった
アドバンテスト▲6.34%米半導体決算22日に1銘柄で約447円押し下げ。23日はほぼ横ばいまで戻した
リクルートHD+3.47%非AIの大型株への資金シフト19日、22日に寄与度プラス1位。下落相場の中で底堅さが目立った
ファーストリテイリング+0.40%小売・内需株への資金流入19日は約140円押し下げたが、20日、23日には指数を大きく支えた

来週の注目点5選

1. 10月28日のFOMC

米国の物価指標が上振れるなか、FRBが追加利上げに踏み切るかが注目されます。今週は住宅指標の弱さなどから利上げ観測がやや後退しました。据え置きなら米長期金利の低下を通じてハイテク株の支えになりうる一方、利上げや引き締め姿勢の強調となれば、5%台の米金利がさらに株式の重荷となる可能性があります。

2. 10月30日の日銀金融政策決定会合

9月全国コアCPIが+2.1%、コアコアCPIが+2.4%と上振れし、日銀の追加利上げ観測が意識されています。利上げとなれば銀行株には追い風となる一方、円高を通じて輸出株の重荷になりやすい面があります。植田総裁の会見で今後の利上げペースがどう語られるか次第で、為替と株式の方向感が変わりうる局面です。

3. 米大手ハイテク企業の決算

今週のメタやテスラの決算では、業績そのものよりもAI投資の回収時期に市場の関心が集まりました。来週も米大手ハイテク企業の決算発表が続く見込みで、設備投資計画とその収益化の見通しが注目されます。投資の成果が数字で示されれば半導体株の買い戻しにつながりうる一方、投資拡大だけが目立てば、東京の半導体株にも再び売りが波及するリスクがあります。

4. 国内半導体関連の中間決算

23日にはディスコの業績見通しが市場予想を下回り、年初来安値を更新しました。来週以降、国内の半導体関連企業の中間決算発表が本格化します。受注や通期見通しで先行きへの自信が示されるかが、日経平均の下げを主導してきた値がさ株の行方を左右しそうです。

5. 200日線と中東情勢

日経平均は23日に200日移動平均線(22日時点で61,403円)の約60円手前まで下げて切り返しました。9日RSIは売られすぎの水準にあり、200日線を守れれば自律反発に向かいやすい一方、割り込めば7月29日安値の60,448円が意識されます。中東情勢次第で原油が100ドルを超えて定着するかどうかも、投資家心理を左右しそうです。

来週の日経平均シナリオ

シナリオ想定レンジ主な前提条件
強気シナリオ64,600円〜67,200円FOMCが据え置きで米金利が低下し、米ハイテク決算でAI投資の成果が確認される。半導体株の買い戻しで6万5,000円と10日線・25日線を試す展開
基本シナリオ60,800円〜64,600円日米の金融政策を見極めつつ、200日線を下値支持に売られすぎからの自律反発と戻り売りが交錯する展開
弱気シナリオ58,000円〜60,800円米ハイテク決算で投資負担への懸念が強まり、日銀利上げによる円高や原油高も重なる。200日線と7月安値を割り込み、6万円割れを試す展開

今週の相場を一言で総括

「AIへの期待が疑念に変わった1週間」

好決算でも売られる、投資の大きさが逆に不安材料になる——今週の半導体株の動きは、AI関連への市場の見方が「期待」から「検証」へ移りつつあることを示しています。日経平均は200日線の手前で踏みとどまりましたが、来週の日米金融政策と決算発表が、この流れを変えるのか加速させるのかの分岐点になりそうです。

各日の詳しい分析は、日次の深掘りノート(10月19日、10月20日、10月21日、10月22日、10月23日)をご覧ください。

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