11日の東京株式市場で日経平均株価は大幅反落し、前日比1259円61銭(1.93%)安の6万4011円34銭で取引を終えました。約1カ月ぶりの安値水準です。前日発表された米8月卸売物価指数(PPI)が市場予想を上回り、米長期金利が2023年10月以来の水準へ上昇。原油も一時1バレル104ドル台半ばまで急騰し、AI・半導体関連株に売りが集中しました。前場には下げ幅が2000円を超える場面もあっています。一方でTOPIXの下落率は0.65%にとどまり、今週で最も大きな乖離となりました。

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相場サマリー

指数終値前日比騰落率
日経平均株価64,011.34円▲1,259.61円▲1.93%
TOPIX4,028.30pt▲26.28pt▲0.65%
NT倍率(算出値)約15.89倍前日 約16.10倍大幅低下

始値は6万4276円82銭、前場中ごろには6万3200円台まで水準を切り下げ、前引けは1801円56銭安の6万3469円39銭でした。後場はやや戻したものの反発力は乏しく、終日軟調に推移しています。東証プライム市場の売買代金は8兆7129億円、売買高は23億7251万株でした。

日経平均を動かした主な要因

米8月PPIが予想を上回り、長期金利が2023年10月以来の水準へ

最大の要因は前日10日に発表された米8月PPIです。前月比は0.4%増と予想どおりでしたが、前年比は5.4%増と予想の5.3%増を上回り、前月の4.7%増から明確に加速しました。コア指数は前月比0.2%増と予想を下回ったものの、前年比は4.6%増と高水準を維持しています。

これを受けて米長期金利は2023年10月以来の水準へ上昇し、11日の東京時間には4.9%台に達しました。財務省による長期債買い戻しプログラムの購入額が上限に満たなかったという需給要因も、金利上昇に拍車をかけています。金利上昇はバリュエーションの高いグロース株には逆風であり、AI・半導体関連が集中的に売られました。

原油が104ドル台、中東情勢の3つの供給不安

日本時間11日朝の取引で、ニューヨーク原油先物相場は一時1バレル104ドル台半ばと5月中旬以来の高値をつけました。背景には3つの材料が重なっています。サウジアラビアが8月の原油生産を1990年来の低水準に減らしたとOPECに報告したこと、イエメンの親イラン武装組織フーシ派が紅海に面する港湾都市モカを制圧したこと、そしてイランが弾道ミサイルの生産を再開したと伝わったことです。

加えて、米国とイランの戦闘終結は11月の米中間選挙後になるとの観測も浮上しました。原油高はインフレ再燃を通じて金利上昇を促す構図であり、株式には二重の逆風となっています。

日本の長期金利も節目の3%へ

国内でも新発10年物国債利回りが節目の3%まで上昇する場面がありました。長期国債先物は125円74銭で取引を終え、前日の126円29銭から55銭の大幅な下落です。日米同時の金利上昇が、投資家心理をさらに悪化させました。

寄与度分析

値上がり95銘柄の寄与度合計が181円68銭だったのに対し、値下がり128銘柄は1441円29銭。押し上げ側の力が極端に弱かったことが数字に表れています。

区分銘柄終値騰落率寄与度
押し上げ1位京セラ〈6971〉3,551円+2.36%+21.99円
押し上げ2位コナミG〈9766〉20,730円+1.87%+12.74円
押し上げ3位バンダイナムコHD〈7832〉5,359円+2.35%+12.37円
押し下げ1位アドバンテスト〈6857〉31,720円▲6.49%▲530.99円
押し下げ2位ソフトバンクG〈9984〉6,540円▲3.96%▲217.22円
押し下げ3位東京エレクトロン〈8035〉51,460円▲2.56%▲135.76円

アドバンテストとソフトバンクGの2銘柄で約748円、上位5銘柄で約1054円の押し下げです。対して押し上げトップの京セラは約22円。今週の押し上げトップが連日200円から500円だったことを思えば、支え役が不在だったことがよく分かります。

アドバンテストが1日で前日の上昇分の2倍を失った

象徴的なのがアドバンテストです。前日10日はTSMCの好調な月次売上を受けて押し上げ1位(+260円67銭)でしたが、11日は押し下げ1位(▲530円99銭)。前日の上昇分のちょうど2倍を1日で失いました。前引け時点では寄与度が▲617円88銭とさらに深く、後場にやや戻した形です。

主力5銘柄の前引けと大引けを比べると、アドバンテスト、ソフトバンクG、東京エレクトロン、キオクシアHD、イビデンの合計で約318円分を後場に戻しています。前引け1801円安から大引け1259円安への縮小は、この5銘柄でほぼ説明できます。

東証プライム騰落状況

項目9月11日9月10日9月9日
値上がり銘柄比率32.7%46.5%38%
値下がり銘柄比率63.4%50.3%59%
日経225 値上がり/値下がり95/128110/112113/110
NT倍率(算出値)15.8916.1016.10

最も注目したいのはNT倍率です。今週は16.09から16.11の間で安定していましたが、この日だけ15.89へ急低下しました。日経平均に採用されている値がさのAI・半導体株が集中的に売られた一方、時価総額加重のTOPIXでは自動車や保険といった上昇セクターの影響が効いたためです。

なお日経平均採用銘柄の騰落は、前引け時点では値上がり74・値下がり149でした。後場に21銘柄がプラスへ転じています。

業種別・テーマ別動き

上昇:保険・海運・輸送用機器

上昇したのは保険業、海運業、輸送用機器の3業種です。保険は国内長期金利の3%接近が追い風となり、東京海上HDが2.26%高、MS&ADが2.56%高、SOMPOが1.90%高。輸送用機器はドル円が154円台へ戻したことを受け、トヨタ自動車が1.24%高、デンソーが1.91%高、ホンダが1.80%高となりました。

下落:非鉄金属・電気機器・石油石炭

電気機器はAI・半導体の集中売りが直撃しました。キオクシアHDが6.99%安、アドバンテストが6.49%安、ローム5.51%安、イビデン5.42%安、レーザーテック4.82%安と、軒並み5%前後の下落です。非鉄金属は2日連続の下落率トップでした。

やや解釈が難しいのが石油・石炭製品です。原油が104ドル台まで急騰したにもかかわらず下落業種の3位に入っています。原油高がインフレ懸念から金利上昇を招き、相場全体のリスク回避を強めたことで、セクター個別の恩恵が打ち消された可能性がありますが、具体的な材料は確認できていません。

為替・米国株・金利の影響

項目水準時点
ドル円154.04円9月11日 東京15時
NYダウ52,064.10ドル(▲316.56)9月10日終値
NASDAQ総合26,081.73(▲171.61)9月10日終値
米10年債利回り4.9%台(2023年10月以来の水準)9月11日 東京時間
新発10年物国債利回り節目の3%まで上昇する場面9月11日
WTI原油一時104ドル台半ば9月11日 東京時間朝

ドル円は15時時点で154円04銭。前日15時の153円60銭から円安方向に振れました。米金利上昇に伴うドル買いが背景です。週初の155円80銭から一時152円88銭まで約3円の円高が進んだ後、週後半は154円台へ戻すという往復になりました。

前日10日の米国市場はNYダウが316ドル安、ナスダックが171ポイント安とそろって続落。セクター別では半導体・同製造装置や不動産管理・開発が下落し、テクノロジー・ハード・機器や電気通信サービスが上昇しています。この半導体売りが東京市場にそのまま持ち込まれました。

個別決算・材料株

銘柄材料株価反応
エアトリ〈6191〉前日の上方修正と大幅増配を受けた買いが継続。2日間で約39%の上昇+16.25%
豊和工業〈7583〉中東情勢の緊迫を受けた防衛関連への物色とみられる+21.33%
タイミー〈215A〉10日引け後に発表した5〜7月期の連結営業利益が市場予想を下回る。売上高約104億円、営業利益約19億円、通期見通しは据え置き▲16.61%
gumi〈3903〉材料は確認できず▲19.10%
レゾナック・HD〈4004〉材料は確認できず。半導体材料大手として連動した可能性▲10.68%

タイミーは11時10分時点で18.79%安の1266円まで売られました。登録ワーカー数は1472万人を超え稼働率も86.3%と事業基盤は拡大していますが、利益面で市場の期待に届かなかった形です。

テクニカル面

今週は6万5000円を下値に推移してきましたが、この日は明確に割り込みました。前場には6万3200円台まで下落し、終値は6万4011円34銭と心理的節目の6万4000円をかろうじて維持しています。

25日移動平均線と75日移動平均線はいずれも大きく上回った位置にあり、戻りを試すにはまず今週高値圏の6万6700円前後が視野に入ります。下値メドは6万4000円、これを割り込むと6万3000円が意識されやすい水準です。年初来高値は6月22日の7万2831円73銭、年初来安値は3月31日の5万558円91銭です。

今後の見通し

期間想定レンジ主な前提条件
翌営業日62,800円〜65,000円今夜の米8月CPIの結果。PPIに続き上振れすれば金利上昇が加速、想定内なら自律反発も
1ヶ月後59,500円〜67,000円FOMCと日銀会合の結果、中東情勢と原油価格。日米同時の引き締めが進めば調整が長引く可能性
1年後55,000円〜78,000円インフレの落ち着きどころ、AIインフラ投資の持続性、日米金融政策の方向

いずれも断定的な予測ではありません。今夜は米8月消費者物価指数(CPI)の発表が控えており、PPIが上振れた直後だけに重要性が高まっています。結果次第で来週の地合いは大きく変わりやすい局面です。

今日の結論

今日の相場を一言で表すなら、「金利と原油の同時上昇に、値がさAI株だけが耐えられなかった日」です。

日経平均は1.93%安でしたがTOPIXは0.65%安。NT倍率は今週初めて16倍を割り込みました。自動車も保険も海運も上がっているのに指数が大きく下げたのは、アドバンテストとソフトバンクGの2銘柄だけで約748円分を削ったからです。今週は月曜から金曜まで、5日連続で「銘柄数や体感と指数がかみ合わない」相場が続きました。日経平均という指標の性質を確かめるには、これ以上ない一週間だったと言えます。

より簡潔にその日の相場をつかみたい方は、通常版の記事を、週全体の振り返りは今週の日本株まとめをご覧ください。前日の相場との対比は9月10日の深掘りノートで確認できます。

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【2026年9月11日】今日の日本株ノート|米PPI上振れと原油104ドルで日米金利が急上昇、AI・半導体が総崩れで1,259円安
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