10日の東京株式市場で日経平均株価は3営業日ぶりに反発し、前日比128円17銭(0.20%)高の6万5270円95銭で取引を終えました。前場には一時956円10銭安の6万4186円68銭まで下落しましたが、午後2時30分頃に発表されたTSMCの8月月次売上高が前年同月比53.3%増と好調だったことで買いが加速し、大引け間際にプラス圏へ浮上しています。安値から終値まで約1084円の切り返しで、前日の「高値から安値引け」とちょうど対になる一日でした。

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相場サマリー

指数終値前日比騰落率
日経平均株価65,270.95円+128.17円+0.20%
TOPIX4,054.58pt+7.94pt+0.20%
グロース250指数先物(9月限)783pt▲2pt続落

始値は6万4768円53銭、安値は前場中盤の6万4186円68銭、そして高値は終値と同じ6万5270円95銭という高値引けでした。日中の値幅は約1084円です。東証プライム市場の売買代金は8兆3803億円と3営業日ぶりに減少し、売買高は21億6817万株でした。

日経平均を動かした主な要因

前場を支配した3つの売り材料

寄り付きは374円25銭安と大きく下げてのスタートでした。前日9日の米国市場でNYダウが405ドル安と続落したこと、中東情勢の緊迫を受けた原油高、そして国内長期金利の上昇という3つが重なっています。加えて今夜発表される米8月卸売物価指数(PPI)を前にした様子見もあり、戻りは鈍いまま下げ幅を広げました。

米国の金利上昇には、やや込み入った事情があります。米財務省が長期国債の買戻しを3倍に増額すると発表したものの、初回の規模が最大60億ドルと市場の期待に届かなかったため、かえって米国債が売られて利回りが上昇したのです。見出しだけを見れば債券には好材料ですが、市場が織り込んでいた水準に届かなければ逆方向に働くという典型例でした。

TSMCの月次売上が後場の流れを変えた

転換点は午後2時30分頃です。TSMCが発表した8月の月次売上高が前年同月比53.3%増と好調だったことで、半導体関連への買いが一気に加速しました。あわせて韓国のKOSPIが戻り歩調に転じ、時間外取引のナスダック100先物も堅調だったことから、後場終盤には値がさ株を中心に押し目買いが入っています。

金利上昇が金融株の買い材料に

もう一つの下支えが金融関連でした。国内の新発10年物国債利回りが2.894%まで上昇したことを受け、証券・商品先物取引業が業種別上昇率トップ、銀行業が3位、保険業が4位となっています。前日まで売られていたセクターが、金利上昇を追い風に相場の下値を支える役回りに転じました。

寄与度分析

今日の寄与度ランキングは、前日9日の顔ぶれをほぼそのまま裏返した内容になりました。

区分銘柄終値騰落率寄与度
押し上げ1位アドバンテスト〈6857〉33,920円+3.29%+260.67円
押し上げ2位リクルートHD〈6098〉15,850円+3.56%+54.81円
押し上げ3位村田製作所〈6981〉7,525円+5.57%+31.94円
押し下げ1位東京エレクトロン〈8035〉52,810円▲1.66%▲89.50円
押し下げ2位フジクラ〈5803〉5,209円▲5.17%▲57.12円
押し下げ3位イビデン〈4062〉20,680円▲3.45%▲49.61円

アドバンテストとリクルートHDの2銘柄で約315円の押し上げです。特にアドバンテストは1銘柄で約261円と、日経平均の上昇分128円17銭の2倍を稼いだ計算になります。

前日の上位と下位が入れ替わった

注目すべきは同一銘柄の動きです。アドバンテストは前日に押し下げ1位(▲231円70銭)だったものが、今日は押し上げ1位(+260円67銭)へ。リクルートHDも押し下げ3位から押し上げ2位へと転じました。逆に前日の押し上げ2位だったフジクラは押し下げ2位、押し上げ3位だったイビデンは押し下げ3位へ移っています。

また、9月7日から3営業日連続でプラス寄与トップを守ったソフトバンクグループは、4日目にして寄与度上位から姿を消しました。テーマが1日単位で逆回転する、選別色の強い相場が続いています。

東証プライム騰落状況

項目9月10日9月9日9月8日
値上がり銘柄723銘柄(46.5%)38%23.2%
値下がり銘柄783銘柄(50.3%)59%74.5%
変わらず48銘柄——
日経225 値上がり/値下がり110/112113/11059/165

値上がり比率は23.2%、38%、46.5%と2日連続で改善し、ほぼ半々の水準まで戻りました。市場の広がりという点では今週で最もバランスの取れた一日です。日経平均採用銘柄でも、前引け時点では値上がり90・値下がり134でしたから、後場の切り返しで20銘柄がプラスに転じた計算になります。

東証33業種は上昇16業種・下落17業種。年初来高値を更新したのは19銘柄、年初来安値を更新したのは23銘柄でした。売買代金が3営業日ぶりに減少している点は、米PPIを前にした様子見の表れとみられます。

業種別・テーマ別動き

上昇:証券・サービス・銀行・保険

金利上昇が追い風となる金融セクターが上位を占めました。証券・商品先物取引業が1位、銀行業が3位、保険業が4位。東京海上HDは1.21%高と、前日の2.16%安から反発しています。サービス業はリクルートHDの3.56%高、ベイカレントの2.23%高が寄与しました。

下落:非鉄金属・その他製品・建設・機械

建設業は国内金利の上昇が直撃し、大成建設が5.58%安、清水建設が5.60%安と大型建設株が揃って5%を超える下げとなりました。住友不動産も2.42%安です。その他製品は任天堂の4.90%安、バンダイナムコHDの2.71%安が響いています。

原油高の効き方が1日で反転

興味深いのは非鉄金属です。前日9日は原油高を追い風に業種別上昇率1位でしたが、今日はWTIがさらに上昇したにもかかわらず下落率1位に転じました。三井金属鉱業は5.71%安です。前日の急騰に対する利益確定売りが優勢だったとみられ、同じ材料でも株価の反応は日によって変わることを示しています。

為替・米国株・金利の影響

項目水準時点
ドル円153.60円9月10日 東京15時
NYダウ52,380.66ドル(▲405.41)9月9日終値
NASDAQ総合26,253.34(▲168.07)9月9日終値
米10年債利回り4.83%近辺(気配値)9月10日 東京時間
新発10年物国債利回り2.894%9月10日
WTI原油96.61ドル(+3.58、7日続伸)9月9日終値

ドル円は12時時点の153円41銭から15時には153円60銭へと下げ一服。前日15時の153円29銭比では31銭程度の円安で、今週初めて前日比で円安方向に振れました。155円台から152円台まで一気に進んだ円高が、153円台前半で下げ止まりつつあります。トヨタ自動車は0.77%高と3日ぶりに明確なプラスを確保しました。

原油はWTIが7営業日続伸し、終値ベースで約3カ月半ぶりの高値。ブレント原油は100ドルを突破しています。米国とイランによるホルムズ海峡周辺での攻撃応酬が激化し、供給混乱への警戒が広がったためです。

個別決算・材料株

銘柄材料株価反応
アルビス〈7475〉前日発表のTOB(買付価格3,780円)へのサヤ寄せが継続。2日連続の急騰+23.33%
エアトリ〈6191〉26年9月期の最終利益を6億円→19.5億円に3.3倍上方修正。未定だった期末一括配当を160円(前期10円)に。3期間で総額100億円超の還元方針+19.40%(ストップ高)
ANYCOLOR〈5032〉材料は確認できず+13.49%
KDDI〈9433〉小売・物流向けロボット基盤モデル開発がGENIACに採択+1.06%
日本製鋼所〈5631〉材料は確認できず▲6.51%
三井金属鉱業〈5706〉前日の5.20%高からの反落▲5.71%

エアトリの増配は、前日終値ベースの配当利回りが20%を超える水準です。減損等控除前の税引後営業利益を基準に配当性向100%とする方針で、営業利益予想も従来の15億円から30億円へ引き上げられました。東証全体でストップ高は9銘柄です。

テクニカル面

今週の下値として意識されてきた6万5000円を、前場に一時明確に割り込みました。9月8日の安値が6万5269円33銭、9日が6万5076円19銭でしたから、6万4186円68銭という水準は今週の安値を大きく下回っています。

ただし終値では6万5270円95銭と節目を回復し、高値引けで終えました。下値の堅さが確認された一方、25日移動平均線と75日移動平均線は引き続き上値抵抗線として意識されています。上値メドは9月7日の高値6万6668円71銭、年初来高値は6月22日の7万2831円73銭、年初来安値は3月31日の5万558円91銭です。

今後の見通し

期間想定レンジ主な前提条件
翌営業日64,300円〜66,200円今夜の米PPI(予想+5.2%)とECB理事会の結果。インフレ加速が確認されれば上値は重く、想定内なら半導体主導の戻りも
1ヶ月後61,500円〜68,500円米CPI、FOMC、日銀会合の結果。中東情勢と原油価格の落ち着きどころ
1年後57,000円〜79,000円AIインフラ投資の持続性、エネルギー価格、日米金融政策の方向

いずれも断定的な予測ではありません。今夜はECBが0.25%の利上げに動くとの見方が強く、米PPIも前年比5.2%とインフレ加速が予想されています。結果次第でどちらにも振れやすい局面です。

今日の結論

今日の相場を一言で表すなら、「午後2時30分の一報で、956円安が128円高に変わった日」です。

前場までは中東情勢と金利上昇に押された下落一色でした。それを反転させたのはTSMCの月次売上という1つのデータです。今週はここまで、円高、原油、光ファイバー、そして半導体の月次と、主役が日替わりで交代しています。指数の動きだけを追っていると平穏に見える日でも、中身では大きな入れ替えが起きている。今週の4日間はそれがよく分かる相場でした。

より簡潔にその日の相場をつかみたい方は、通常版の記事もあわせてご覧ください。前日の相場との対比は9月9日の深掘りノートで確認できます。

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短く確認する(約3分)
【2026年9月10日】今日の日本株ノート|前場956円安から高値引けへ、TSMCの8月売上53%増が後場の流れを一変させた128円高
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