9月2日の東京株式市場で日経平均株価は1,889円70銭安の64,325円64銭と大幅に3日続落しました。下落率は2.85%です。

この2営業日、日経平均が下げてもTOPIXは上昇していました。市場の内側では必ず買われる銘柄があり、資金は業種を移動しながら市場に留まっていたからです。今日はその受け皿が消えました。東証33業種はすべて下落、プライムの値下がり銘柄比率は92.3%。TOPIXの9日続伸も途切れています。

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相場サマリー

指数終値前日比騰落率
日経平均株価64,325.64円-1,889.70円-2.85%
TOPIX4,081.60pt-100.26pt-2.40%
グロース250先物773pt-22pt3日続落

日経平均は1,019円91銭安の65,195円43銭で始まり、下げ幅は一時1,999円87銭に達して安値64,215円47銭をつけました。2,000円安に手が届く水準です。

項目数値
東証プライム 売買代金8兆344億円(前日比 増加)
東証プライム 売買高24億1,905万株
値上がり銘柄比率6.4%
値下がり銘柄比率92.3%
33業種 上昇0業種
年初来高値更新32銘柄
年初来安値更新11銘柄

3営業日で何が変わったのか

今日の相場を理解するには、直前2日との比較が欠かせません。

日付日経平均TOPIX日経225の値上がり数相場の性格
8月31日-93.63円+9.58pt131銘柄売られすぎた半導体株の買い戻し
9月1日-96.59円+25.57pt170銘柄金利上昇でバリューへ資金移動
9月2日-1,889.70円-100.26pt14銘柄逃げ場のない全面安

8月31日と9月1日の下落は、特定業種から資金が抜けて別の業種へ向かう「入れ替え」でした。だからTOPIXは上がり、日経225でも値上がり銘柄のほうが多かったのです。

今日は入れ替え先そのものが消えました。日経225構成銘柄の値上がりはわずか14、寄与度合計は+12.21円。前日の170銘柄・+454.67円から一夜で反転しています。値下がりは210銘柄で寄与度合計-1,901.91円でした。

日経平均を動かした主な要因

1つ目は、国内長期金利の3%突破です。新発10年債の利回りが3.015%まで上昇し、1996年9月以来の高水準となりました。8月31日の2.940%、9月1日の一時3.000%から3営業日連続で切り上がっています。企業の金利負担や資金調達への警戒感が高まり、株式全体のバリュエーションが切り下がりました。

2つ目は、中東情勢の一段の悪化です。米中央軍がイラン革命防衛隊を標的とした攻撃開始を発表しました。ホルムズ海峡の緊張が再燃し、民間人に死者が出たとの報道もあります。WTI原油は一時92ドル台まで急伸しました。8月31日の85.76ドルから3営業日で約8%の上昇です。

3つ目は、前日の米国株安です。9月1日のダウは419.02ドル安の52,766.88ドルと3日続落。ナスダックは271.12ポイント安の26,099.77、S&P500は54ポイント安、SOX指数は246.44ポイント安の11,288.61でした。米ISM製造業景況指数とJOLTS求人件数がいずれも市場予想を下回っており、景気減速とインフレ懸念が同時に意識される状況です。

4つ目は、日銀の追加利上げ観測です。午後に高田審議委員のタカ派的な発言が伝わり、円買いと株売りが進みました。

寄与度分析

区分銘柄寄与度
押し下げ1位ソフトバンクグループ約-271円
押し下げ2位アドバンテスト確認できず(上位2銘柄で約474円)
押し下げ3位東京エレクトロン確認できず
押し上げ1位第一三共約+3円
押し上げ2位塩野義製薬確認できず
押し上げ3位住友ファーマ確認できず

押し下げ側はリクルートホールディングス、TDK、ファーストリテイリング、ファナックと続きます。押し上げ側は伊藤忠商事、セブン&アイ・ホールディングス、キッコーマン、ニッスイの順です。

押し上げ寄与トップの第一三共でわずか約3円という数字が、この日の一方通行ぶりを端的に示しています。前日のトップだったソフトバンクグループが約+49円だったことと比べると、買い手の不在が数字で分かります。

注目すべきは、前日9月1日に押し上げ寄与トップ10だった銘柄のうち、豊田通商・トヨタ自動車・日東電工・村田製作所がこの日は押し下げ側に回っている点です。前日の主役だった商社・自動車・電子部品が、そのまま売られました。買われたのは医薬品と食品だけです。

東証プライム騰落状況

東証プライムの値上がり銘柄比率は6.4%、値下がりは92.3%。33業種すべてが下落し、上昇した業種はありませんでした。

この「全面安」という状態は、前日までの下落とは質が違います。セクターローテーションでは、売られた資金が別の業種に移るため、市場全体では値上がり銘柄のほうが多いという状況が起こりえます。実際、9月1日は33業種のうち26業種が上昇していました。今日はゼロです。株式というアセットクラス全体から資金が引くときに起きる動きで、業種選択では避けられません。

ただし年初来高値を更新した銘柄が32ありました。全面安のなかでも、個別材料を持つ銘柄には買いが入っています。

業種別・テーマ別動き

非鉄金属——本日の下落率トップ

住友金属鉱山が11.55%安の10,035円、日鉄鉱業が15.47%安の3,360円、三菱マテリアルが9.80%安。前日のNY金先物12月物が1.9%安と3日続落し、米長期金利が2025年1月以来の水準に上昇したことが売り材料となりました。銀・銅・ニッケルなど他の非鉄市況も軟化しています。

ここに今日の相場の性格が凝縮されています。中東緊迫で原油は上がっているのに、同じ資源でも金は下がりました。地政学リスクによる「有事の金買い」より、実質金利の上昇という重力のほうが強く働いたということです。

半導体・ハイテク——値がさ株が指数を直撃

ソフトバンクグループ、東京エレクトロン、アドバンテスト、TDK、フジクラ、京セラ、村田製作所、太陽誘電、イビデン、信越化学が押し下げ寄与に並びました。前日の米SOX指数が約2.1%安だったことに加え、国内金利3%突破が重なっています。

資源・商社——前日からの反転

前日に押し上げ寄与上位10のうち4社を占めた商社が下落に転じました。原油高が続いているにもかかわらず売られており、地政学リスクの高まりが「原油高メリット」ではなく「リスク回避」として意識されたことを示しています。

医薬品・食品——唯一の逃避先

第一三共、塩野義製薬、住友ファーマ、武田薬品、キッコーマン、ニッスイ、ニチレイ。値上がり14銘柄のほとんどがこの2業種でした。景気・金利・地政学のいずれからも距離のある業種だけが残ったかたちです。

為替・米国株・金利の影響

項目水準備考
ドル円(東京15時)159円81銭12時時点160円26銭から45銭のドル安
ドル円 東京レンジ159円43銭〜160円39銭—
国内10年債利回り3.015%1996年9月以来の高水準
米10年債利回り4.7981%前後9月1日NY市場
NYダウ(9/1終値)52,766.88ドル-419.02ドル、3日続落
NASDAQ(9/1終値)26,099.77-271.12(-1.03%)
SOX指数(9/1終値)11,288.61-246.44
WTI原油一時92ドル台東京午後に90ドル台へ縮小

ドル円は朝方に160円39銭まで上昇した後、午後は下落。原油の上げ幅縮小と高田日銀審議委員のタカ派発言を受け、15時過ぎには一時159円44銭まで弱含みました。

円安は本来輸出株の追い風ですが、この日はトヨタもスズキも下落しています。地政学リスクと金利上昇が円安メリットを完全に打ち消したうえ、午後の円高進行が株安を加速させました。

個別決算・材料株

銘柄終値前日比材料
伊藤園3,273円+262円(+8.70%)第1四半期時点で通期計画の50%超という好決算。年初来高値を更新し、値上がり率1位
インフォマート660円+24円(+3.77%)確認できず
北海道ガス919円+31円(+3.49%)確認できず
日鉄鉱業3,360円-615円(-15.47%)金・非鉄市況の下落
住友金属鉱山10,035円-1,310円(-11.55%)NY金先物の続落と非鉄市況の軟化
協和キリン2,390円-297円(-11.05%)確認できず

このほか三菱マテリアルが9.80%安、松屋が9.58%安となりました。今晩は米ブロードコムが5-7月期決算を発表する予定で、半導体セクターの地合いを左右する可能性があります。

テクニカル面

日経平均はこのところ25日移動平均線(8月31日時点で65,700円)を下値、75日移動平均線(同66,505円)を上値とするレンジで推移していました。今日はその下限を1,300円以上も割り込んでいます。8月31日の安値64,832円、7月24日の安値64,611円も下抜けました。

グロース250先物では日足パラボリックが陰転しています。

水準位置づけ
65,700円25日移動平均線(8/31時点)。上値抵抗に転じる可能性
64,832円8月31日の安値。下抜け済み
64,215円本日の安値。直近の下値
60,448円7月29日の安値。大きな下値メド

9月2日時点の移動平均線の具体的数値、乖離率、RSIは確認できずでした。

見通し

期間想定レンジ主な前提条件
翌営業日63,500円〜65,300円今晩の米ADP雇用リポートとブロードコム決算。国内長期金利の上昇ペースが緩むかが焦点
1ヶ月後59,000円〜68,000円9月4日の米雇用統計、9月15〜16日のFOMC、日銀の9月会合。中東情勢の推移も大きな変数
1年後58,000円〜80,000円金利水準の切り上がりが定着するか、企業業績が金利上昇を吸収できるか

市場では長期金利の上値メドとして3.25%を視野に入れる見方も出ています。金利の上昇ペースが緩めば、株式にとって最初の安心材料になりそうです。一方で、米ISM製造業とJOLTSがいずれも予想を下回った直後だけに、9月4日の米雇用統計が弱ければ利上げ観測が後退し、株式にはプラスに働く可能性もあります。景気減速とインフレのどちらを市場が重く見るかで、振れやすい局面が続きそうです。

今日の結論

ローテーションが撤退に変わった日でした。逃げ場そのものが消えています。

8月31日は半導体株の買い戻し、9月1日は金利上昇によるバリューへの資金移動。どちらも市場の内側で資金が動いており、TOPIXは上昇していました。今日は33業種すべてが下落し、日経225の値上がりはわずか14銘柄。金利3.015%と原油92ドルという2つの重石が、業種選択では避けられない水準まで大きくなったということです。

市場の一部からはブラックマンデー再来を懸念する声も出始めたと報じられています。今晩の米ADP雇用リポートとブロードコム決算、そして9月4日の米雇用統計が、当面の方向を左右しそうです。

当日の要点を短くまとめた通常版は今日の日本株ノートでご覧いただけます。

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【2026年9月2日】今日の日本株ノート|長期金利3%超えと原油高で全面安、日経平均1,889円安
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