9月1日の東京株式市場で日経平均株価は96円59銭安の66,215円34銭と続落しました。前日と同じく下げ幅は0.15%と小さく、そしてTOPIXは9日続伸。2営業日連続で「日経安・TOPIX高」という構図になりました。

ただ、中身は前日とまったく違います。8月31日は売られすぎた半導体株の買い戻しでした。今日は国内長期金利が一時3.000%と約30年ぶりの水準に達し、資金が半導体から商社・電力・銀行へ移動したことによるものです。同じ見出しの裏で、相場の主役が入れ替わりました。

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相場サマリー

指数終値前日比騰落率
日経平均株価66,215.34円-96.59円-0.15%
TOPIX4,181.86pt+25.57pt+0.62%
東証グロース市場250指数800.09pt-11.95pt-1.47%

日経平均は426円46銭安の65,885円47銭で始まり、午前には735円32銭安の65,576円61銭まで下落。その後は買い戻しが入り、高値は66,525円70銭とプラス圏に浮上する場面もありました。日中の値幅は949円です。

項目数値
東証プライム 売買代金7兆5,016億円(前日比 減少)
東証プライム 売買高22億7,826万株
値上がり銘柄比率54.3%
値下がり銘柄比率42.5%
33業種 上昇26業種
33業種 下落7業種

日経平均を動かした主な要因

1つ目は、国内長期金利の3%接近です。新発10年物国債の利回りは日中に一時3.000%を付け、1996年9月以来およそ30年ぶりの水準に達しました。午後は2.990%前後で推移しています。木原官房長官は「長期金利3%台、市場動向を極めて高い緊張感を持って注視」と述べました。金利上昇はグロース株のバリュエーションを圧迫する一方、銀行株には利ざや改善期待をもたらします。この日の資金移動の起点はここにありました。

2つ目は、中東情勢の再緊迫と原油高です。週末に米軍がホルムズ海峡のイラン領ララク島にあるミサイル発射装置を攻撃し、イランも報復。約1カ月ぶりの攻撃応酬を受けてWTI原油先物は8月31日に2.8%高の85.76ドル、北海ブレントは2.7%高の90.49ドルで引けました。東京時間も86ドル台で高止まりし、資源・商社株が買われています。

3つ目は、前日の米国株安です。8月31日のダウは374.09ドル安の53,185.90ドルと続落。対イラン紛争激化と原油高、長期金利上昇が嫌気されました。ただしSOX指数は11,535.05と65.39ポイント上昇しています。つまりこの日の東京の半導体売りは、米半導体株安への追随ではありません。

4つ目は、韓国株の反転に連動した先物買いです。続落して始まったKOSPIが一時プラスに転じると、日経平均先物に断続的な買いが入り、下げ幅が急速に縮小しました。

寄与度分析

区分銘柄寄与度終値・前日比
押し上げ1位ソフトバンクG+49.88円5,262円(+62円、+1.19%)
押し上げ2位キオクシアHD+23.70円51,000円(+1,010円)
押し上げ3位豊田通商+23.03円7,707円(+229円)
押し下げ1位東京エレクトロン約-146円確認できず
押し下げ2位ファーストリテイリング確認できず確認できず
押し下げ3位アドバンテスト確認できず確認できず

押し下げ上位2銘柄(東京エレクトロンとファーストリテイリング)で約242円分を占めました。以下、リクルートHD、フジクラ、ファナック、ディスコ、信越化学工業、レーザーテック、ダイキン工業と続きます。

注目したいのは押し上げ側の顔ぶれです。上位10銘柄は次のようになりました。

順位銘柄終値前日比寄与度
4KDDI3,007円+47.5円+19.11円
5三菱商事4,956円+152円+15.29円
6トヨタ自動車3,243円+87円+14.58円
7三井物産5,198円+189円+12.67円
8日東電工3,580円+68円+11.40円
9村田製作所7,290円+99円+7.96円
10住友商事1,849.5円+58円+7.78円

豊田通商・三菱商事・三井物産・住友商事と、商社4社が上位10に入りました。ここに通信のKDDI、自動車のトヨタが加わります。原油高と金利上昇という2つのマクロ要因が、そのまま銘柄選択に反映された形です。

東証プライム騰落状況

日経225構成銘柄の騰落は値上がり170、値下がり55、変わらず0。値上がりが全体の76%を占めながら、指数は下落しました。寄与度の合計で見ると、値上がり170銘柄が+454.67円、値下がり55銘柄が-551.26円です。わずか55銘柄の下げが、170銘柄の上げを上回りました。

東証プライム全体でも値上がりが54.3%、値下がりが42.5%で、値上がり銘柄数は850に迫りました。33業種のうち26業種が上昇しています。市場全体としては明確に買い優勢だったにもかかわらず、日経平均だけが下落したわけです。

これは日経平均が株価加重、TOPIXが時価総額加重という設計思想の差そのものです。株価の高い東京エレクトロンやファーストリテイリングは日経平均への影響が大きく、TOPIXへの影響は相対的に小さい。逆に住友商事のような株価1,800円台の銘柄は、時価総額が大きくてもTOPIXほど日経平均を動かせません。TOPIXが9日続伸となったのは、こうした構造の違いを素直に反映した結果です。

業種別・テーマ別動き

電力・公益——33業種の首位

電気・ガス業が4.28%高と最も強い業種でした。九州電力は8.16%高の2,192円50銭と、東証プライムの値上がり率2位。前日は関西電力が7.6%高となっており、電力セクターへの資金流入は2日連続です。金利上昇局面でのディフェンシブ需要と、電力料金の適正化を評価する動きが重なっているとみられます。

資源・商社——原油高が直撃

鉱業が3.81%高、石油・石炭製品が3.67%高、鉄鋼が3.61%高。中東情勢の緊迫による原油高が追い風となりました。商社は寄与度上位に4社が並んでいます。

半導体——米株とは無関係に売られた

東京エレクトロン、アドバンテスト、ディスコ、レーザーテック、信越化学工業が押し下げ寄与に並びました。ここが今日の重要な観察点です。前週末の米SOX指数は上昇していました。つまり売りの理由は米国発ではなく、国内金利の上昇によるバリュエーション調整です。同じ「半導体安」でも、8月31日(米SOX3.47%安への追随)とは原因がまったく違います。

一方でキオクシアHDと村田製作所は押し上げ側に回りました。AI・半導体という括りの中でも銘柄選別が続いています。

グロース市場——金利上昇の直撃

東証グロース市場250指数は1.47%安と、主力市場より大きく下げました。将来利益の割引率上昇に敏感な小型グロースが、金利上昇の影響を最も受けやすい構造です。

為替・米国株・金利の影響

項目水準備考
ドル円(東京15時台)159円90銭レンジ159円59銭〜159円90銭
国内10年債利回り一時3.000%1996年9月以来 約30年ぶり
米10年債利回り8/31に一時4.76%台9/1時点は確認できず
NYダウ(8/31終値)53,185.90ドル-374.09ドル(-0.70%)
S&P500(8/31終値)7,686.14-25.62(-0.33%)
NASDAQ(8/31終値)26,370.89-31.53(-0.12%)
SOX指数(8/31終値)11,535.05+65.39
WTI原油(8/31終値)85.76ドル+2.8%

ドル円は朝方の159円59銭から上昇し、夕方には160円02銭まで値を戻しました。FRBの早期利上げ観測によるドル買いと、日銀の追加利上げ観測・160円手前での介入警戒による円買いが綱引きする構図です。

この日は日米財務相会談も開かれました。片山財務相は会談後、日米協調介入は国際合意に基づくものと説明したこと、秩序だった円相場が国際金融市場の安定に不可欠だと確認したこと、金融政策の具体的な手法は日銀に委ねられることなどを述べています。

個別決算・材料株

銘柄終値前日比材料
住友化学620.1円+47.9円(+8.37%)AIデータセンターとフィジカルAI向け次世代技術の発表が材料視された模様(詳細は確認できず)
九州電力2,192.5円+165.5円(+8.16%)確認できず
六甲バター1,161円+86円(+8.00%)確認できず
ネットプロテクションズHD410円-38円(-8.48%)確認できず
ベクトル2,017円-171円(-7.82%)確認できず
メイコー18,550円-1,300円(-6.55%)確認できず

この日は市場の反応を伴う主要な決算発表は確認できませんでした。値動きは決算よりも、金利と原油というマクロ要因が支配的だったといえます。

テクニカル面

日経平均はこのところ、25日移動平均線(8月31日時点で65,700円)を下値、75日移動平均線(同66,505円)を上値としたレンジ内の動きが続いています。

この日の値動きは、そのレンジをきれいになぞる形になりました。安値65,576円61銭は25日線をわずかに割り込み、高値66,525円70銭は75日線をわずかに上抜け、終値66,215円34銭はレンジのほぼ中央です。上下どちらにも決め手を欠く、典型的な保ち合いの一日でした。

水準位置づけ
66,954円8月27日の高値。直近の上値メド
66,505円75日移動平均線(8/31時点)。上値抵抗
65,700円25日移動平均線(8/31時点)。下値支持
64,832円8月31日の安値。次の下値メド

なおRSI、乖離率、9月1日時点の移動平均線の具体的数値は確認できずでした。

見通し

期間想定レンジ主な前提条件
翌営業日65,700円〜66,800円今晩の米ISM製造業景況指数とJOLTSの結果次第。25日線と75日線のレンジ内推移が続くかが焦点
1ヶ月後62,000円〜69,500円9月4日の米雇用統計と9月15〜16日のFOMC。日銀の9月会合と国内長期金利3%超えの定着も変数
1年後60,000円〜80,000円企業業績の拡大が続くか、金利水準の切り上がりがバリュエーションをどこまで圧迫するか

国内長期金利が3%を明確に上抜けるかどうかは、当面のセクター選好を左右しそうです。金利上昇が続けば銀行・保険には追い風、値がさグロース株には逆風という今日の構図が継続しやすくなります。一方で原油高がインフレ懸念を強めれば、市場全体のバリュエーションが圧迫される展開も想定されます。

今日の結論

2日続けて「日経安・TOPIX高」。ただし主役は半導体の買い戻しから、金利がもたらしたバリューへの資金移動に入れ替わりました。

国内長期金利が一時3.000%と約30年ぶりの水準に達し、官房長官が「極めて高い緊張感を持って注視」と述べる局面です。この金利上昇が、値がさ半導体株から商社・電力・通信・自動車へと資金を押し流しました。日経225構成銘柄の76%が値上がりしながら指数が下げたという事実は、日経平均という指数の性質を改めて示しています。

今晩は米ISM製造業景況指数とJOLTS、9月4日には米雇用統計が控えます。金利をめぐる思惑が相場を動かす日が続きそうです。

当日の要点を短くまとめた通常版は今日の日本株ノートでご覧いただけます。

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【2026年9月1日】今日の日本株ノート|長期金利3%接近でバリュー株へ資金移動、TOPIXは9日続伸
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