8月31日の東京株式市場で日経平均株価は93円63銭安の66,311円93銭と反落しました。ただし「93円安」という数字は、この日の実態をほとんど表していません。朝方は前週末比1,500円を超える下落となり、心理的節目の6万5,000円を割り込む場面がありました。そこから約1,480円戻し、終値は当日の高値というかたちで引けています。さらに日経平均が下落する一方でTOPIXは8日続伸しており、指数間の乖離が際立つ一日となりました。

通常版の記事はこちらからご覧いただけます。

相場サマリー

指数終値前営業日比騰落率
日経平均株価66,311.93円-93.63円-0.14%
TOPIX4,156.29pt+9.58pt+0.23%
東証グロース市場250指数812.04pt-11.12pt約-1.35%

日経平均の1日の値幅は、始値65,668円91銭に対して安値64,832円10銭、高値66,311円93銭。安値をつけたのは寄り付き直後の9時6分で、前営業日比1,573円46銭安の水準でした。

項目数値
東証プライム 売買代金9兆3,583億円
東証プライム 売買高26億7,487万株
値上がり銘柄比率56.6%
値下がり銘柄比率40.7%
年初来高値更新113銘柄
年初来安値更新1銘柄

日経平均を動かした主な要因

1つ目は、ジャクソンホール会合でのウォーシュFRB議長の講演です。議長はインフレ指標が必ずしも勇気づけられる内容ではないとしたうえで、インフレが目標に向けて十分なスピードで改善すると確信する必要があり、そうでなければやるべきことがあると述べました。FRBの主眼は物価にあるべきという趣旨で、市場はこれを追加利上げの示唆と受け止めています。9月15〜16日のFOMCでの利上げ織り込みは50%を超える水準まで高まったとみられています。

2つ目は、その結果として起きた米ハイテク株安の直撃です。前週末28日のSOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)は11,469.66と412.51ポイント安、率にして3.47%の大幅下落。エヌビディアも4.57%安となりました。東京市場では指数寄与度の大きい半導体関連株がこれをそのまま被る展開となっています。

3つ目は、月末特有の需給要因です。売り一巡後も戻りが鈍かった背景には、月末を迎えた機関投資家のリバランスに伴う売りがあったとみられ、前引けにかけては下げ幅が1,000円を超えました。

4つ目が、後場の買い戻しです。短期的な売られすぎ感から押し目買いが入り、下げ幅は急速に縮小しました。ここで買われたのが売られた銘柄そのものだった点が、この日の値動きの本質です。

寄与度分析

区分銘柄寄与度株価・騰落率
押し上げ1位ファーストリテイリング+95.74円72,450円(+1.67%)
押し上げ2位キオクシアHD確認できず49,990円(+4.36%)
押し上げ3位リクルートHD確認できず確認できず
押し下げ1位アドバンテスト約-381円33,690円(-4.48%)
押し下げ2位TDK確認できず確認できず
押し下げ3位村田製作所確認できず確認できず

大引け時点の寄与度合計は、値上がり131銘柄で+490.73円、値下がり91銘柄で-584.36円。差し引きが93円63銭の下落です。押し下げ上位2銘柄(アドバンテストとTDK)だけで約398円分を占めており、うち約381円はアドバンテスト1銘柄によるものでした。

注目したいのは前引けからの変化です。前引け時点ではアドバンテストの押し下げが約535円、値下がり寄与合計は-1,182.70円、値下がり銘柄数は127でした。それが大引けにはアドバンテストが約381円へ、値下がり寄与合計は-584.36円へと半減し、値下がり銘柄数も91に減っています。東京エレクトロンに至っては前引けの押し下げ2位から、大引けでは押し上げ寄与の上位へ転じました。後場の買い戻しが、午前中に売られた銘柄へ集中的に向かったことが数字で確認できます。

東証プライム騰落状況

東証プライム市場では値上がり銘柄が約57%、値下がりが約41%。日経225構成銘柄でも値上がり131、値下がり91、変わらず3と、値上がりが優勢でした。前引け時点では値上がり94、値下がり127と逆転していたことを踏まえると、後場にかけて買いが広範に広がったことがわかります。

つまりこの日の相場は「全体が売られた日」ではありません。指数寄与度の大きい一部の値がさ半導体株が突出して売られ、それ以外の多くの銘柄は底堅かった、という二層構造でした。時価総額加重で算出されるTOPIXが8日続伸となったのは、この構造を素直に反映した結果です。日経平均だけを見ていると、この日の市場が実際にどう動いたかを見誤ることになります。

業種別・テーマ別動き

半導体・AI関連——同じテーマ内で明暗

アドバンテストが4.48%安、KOKUSAI ELECTRICが1.39%安、太陽誘電が0.65%安と下落した一方、キオクシアHDは4.36%高、フジクラは3.07%高、ソフトバンクグループも0.76%高で引けました。同じAI・半導体という括りの中でも、売られる銘柄と買い戻される銘柄が明確に分かれています。

エネルギー・電力——本日の上昇セクター

上昇業種の上位は鉱業、電気・ガス業、石油・石炭製品。米国とイランの緊張を背景にWTI原油先物が2%程度上昇し85ドル台を維持したことが資源関連の追い風となり、INPEXは2.1%高の3,957円と3日続伸しました。関西電力は、28日に国内証券が投資判断を「中立」から「買い」へ、目標株価を2,500円から3,100円へ引き上げたことが材料視され、7.6%高の2,810円50銭と大幅続伸しています。

銀行——30年ぶりの金利水準を追い風に

国内の新発10年物国債利回りは前週末比0.020%高い2.940%で取引され、一時2.950%と1996年9月以来およそ30年ぶりの高水準をつけました。利ざや改善期待から三菱UFJFGは0.60%高、みずほFGは1.61%高。ただし証券・商品先物取引業は下落業種の上位に入っており、金融セクター内でも方向は分かれています。

海運・空運——原油高がコスト増要因に

下落業種の上位は海運業、空運業、機械など。原油価格の上昇が燃料コスト増につながるとの見方が重荷となりました。

為替・米国株・金利の影響

項目水準備考
ドル円(東京15時台)159円80銭付近レンジ159円73銭〜160円20銭
NYダウ(8/28終値)53,559.99ドル-9.45ドル(-0.02%)
S&P500(8/28終値)7,711.76-19.23(-0.25%)
NASDAQ(8/28終値)26,402.43-138.92(-0.52%)
SOX指数(8/28終値)11,469.66-412.51(-3.47%)
米10年債利回り8/28に一時4.72%台8/31時点は確認できず

米主要3指数の下げ幅自体は限定的でしたが、半導体に絞ると3.47%安と落差があります。東京市場が受けたのは「米株安」ではなく「半導体株安」でした。

ドル円は前週末に約1カ月ぶりとなる160円台を回復したものの、週明けは為替介入への警戒感から朝方の160円20銭を高値に下落基調へ。東京15時台は159円80銭付近で推移しました。円安水準は輸出企業には追い風で、トヨタは1.28%高。ただ160円台では介入警戒が働くため、円安を素直に買い材料にしにくい局面が続いています。

個別決算・材料株

銘柄材料株価反応
壱番屋ハウス食品Gが売却・非公開化を検討と報道ストップ高比例配分 1,091円(+15.94%)
日本一ソフトウェア通期営業利益を3.0億円→7.2億円へ上方修正1,440円(+16.88%)
イーソルMBOによる非公開化報道、2日連続ストップ高 935円
ガンホーソニー・ミュージックとの資本業務提携2,670円(+197円)
ストライクグループ26年9月期営業利益を83億円へ上方修正1,458円(+8.00%)
アイダエンジニアリング1Q営業利益が前年同期比63.9%減1,180円(-10.47%)
キタック3Q累計営業利益が減益転換、5-7月期は営業赤字333円(-8.77%)
中央自動車工業354万8,600株の売出し発表2,205円(-81円)

壱番屋については、引け後にハウス食品グループ本社が「非公開化を含むあらゆる選択肢の検討を行っているが、現時点で具体的に決定した事実はない」とのリリースを出しています。値下がり率1位は松屋の-18.10%(2,262円)でしたが、下落理由は確認できずでした。

テクニカル面

ローソク足は上ヒゲのない「陽の大引け坊主」となりました。安値から一貫して切り返し、そのまま高値で引けた形です。6万5,000円前後で明確な買い需要が確認されたことを示す足型といえます。

移動平均線については、株価下方の25日移動平均線が上向きに転じたほか、一目均衡表では遅行線の強気シグナルが増大しており、短期的な地合い改善を示唆する見方があります。一方で75日移動平均線は再び下回っており、同水準が上値抵抗として意識されるとの指摘もあります。短期の改善と中期の重さが同居している状態です。なお25日線・75日線の具体的な水準、乖離率、RSIは確認できずでした。

水準位置づけ
66,954円8月27日の高値。直近の上値メド
66,000円心理的節目
64,832円本日の安値。直近の下値サポート
64,609円8月25日の安値。次の下値メド

見通し

期間想定レンジ主な前提条件
翌営業日65,500円〜67,000円米ISM製造業景況指数とJOLTS求人件数の内容次第。半導体株の戻りが続くかが鍵
1ヶ月後62,000円〜69,500円9月4日の米雇用統計と9月15〜16日のFOMCが最大の変数。日銀の追加利上げ判断も影響
1年後60,000円〜80,000円企業業績の拡大基調が続くか、金利上昇がバリュエーションをどこまで圧迫するかによる

市場では今週の予想レンジとして上限68,000円・下限64,000円という見方も出ています。米国の利上げ観測が続けば値がさハイテク株には逆風となりやすい一方、内需・資源・金融には追い風が働きやすく、指数と個別で評価が分かれる展開が想定されます。

今日の結論

「93円安」ではなく「1,573円安からの1,480円戻し」。日経平均の数字が相場の中身を隠した一日でした。

米利上げ観測という強い逆風が朝方に一気に織り込まれ、6万5,000円割れまで売られました。しかしそこから戻したうえに、TOPIXは8日続伸。売られたのは指数寄与度の大きい一部の値がさ半導体株であり、市場全体では57%の銘柄が値上がりしています。指数の見出しだけでは、この日に何が起きたのかは読み取れません。今週は9月4日の米雇用統計、そして9月15〜16日のFOMCを控えており、金利をめぐる思惑が相場を揺らす局面が続きそうです。

当日の要点を短くまとめた通常版は今日の日本株ノートでご覧いただけます。

3
短く確認する(約3分)
【2026年8月31日】今日の日本株ノート|1,500円超安から高値引け、TOPIXは8日続伸
PR

ネット証券で口座を開くなら

毎日の相場チェックや実際の売買には、使いやすいネット証券口座があると便利です。日本株の取引に定評のある2社を紹介します。

ネット証券
松井証券
老舗として知られるネット証券
  • 日本株・投資信託・米国株など幅広く対応
  • 少額から積み立てられる
  • サポート体制に定評
松井証券の詳細を見る
ネット証券
DMM株
日本株も米国株もアプリひとつで
  • 取引に応じてポイントが貯まる
  • 米国株の取扱いにも対応
  • NISA口座にも対応
DMM株の詳細を見る
2社のくわしい比較と選び方を読む →

※このセクションはアフィリエイト広告(PR)を含みます。手数料やサービスの最新情報は各社の公式サイトでご確認ください。

← 前の記事 【2026年8月28日】今日の日本株 深掘りノート|今週の締めもアドバンテスト、5日で4回の寄与度首位。日経平均+0.59%に対しTOPIXは+1.95% 次の記事 → 【2026年9月1日】今日の日本株 深掘りノート|長期金利3%接近でバリューへ資金移動、日経安・TOPIX9連騰