2026年8月27日の東京株式市場は、日経平均株価が前日比130円18銭(0.20%)安の6万6131円98銭と3営業日ぶりに反落しました。

ただ、この日の値動きを終値だけで語ると、実際に起きたことの半分も伝わりません。日本時間の早朝に発表された米エヌビディアの決算が予想を上回る好内容だったため、日経平均は513円高で始まり、高値では692円高の6万6954円69銭まで買われています。そこから822円押し戻されて、終値はマイナスでした。

押し下げの中心は、またしてもアドバンテストです。1銘柄で日経平均を約263円押し下げました。この日の下げ幅130円の2倍にあたります。しかも前日26日には、同じ銘柄が約302円押し上げていました。

好決算が出たのに、なぜその恩恵を最も受けるはずの銘柄が売られたのか。今週4日間の値動きと合わせて整理します。前日の記事は8月26日の深掘りノート、月曜の記事は8月24日の深掘りノートからご覧いただけます。通常版はこちらです。

相場サマリー

指数終値前日比騰落率
日経平均株価66,131.98円▲130.18円▲0.20%
TOPIX4,117.22pt+6.20pt+0.15%
JPX日経40037,086pt+10pt6日続伸
項目数値
始値66,775.78円(+513.62円)
高値66,954.69円(+692.53円)
安値65,782.59円(▲479.57円)
日中値幅1,172.10円
高値からの下げ▲822.71円
東証プライム 売買代金7兆8,700億円
東証プライム 売買高19億6,156万株
値上がり銘柄数712(45.7%)
値下がり銘柄数769(49.4%)
横ばい74

TOPIXは6日続伸、JPX日経400も6日続伸、東証グロース市場250指数は3カ月ぶりの高値を付けました。下げたのは日経平均だけです。

日経平均を動かした主な要因

1. エヌビディアの好決算が朝方の買いを呼んだ

日本時間27日早朝に発表されたエヌビディアの2026年5〜7月期決算は、市場予想を上回る増収増益でした。決算説明会では28年1月期通期に約70%の増収になるとの見通しを示し、これも市場予想を大きく超えています。

この内容を受けて、東京市場は寄り付きから半導体関連を中心に買いが先行しました。

2. ただし買いは続かなかった

買いは前場中盤までしか続きませんでした。指数は上げ幅を縮小し、前場中盤にはマイナス圏へ転じています。後場は前日終値近辺でのもみ合いとなりました。

3. ジャクソンホール会議を前にした持ち高調整

27日から米国でジャクソンホール会議が開幕し、28日にはウォーシュFRB議長が講演します。前日発表された7月の米PCE物価指数が市場予想を上回ったこともあり、議長がタカ派に傾くとの警戒がくすぶりました。下げ幅は一時400円を超えています。

4. 75日移動平均線が上値抵抗として意識された

テクニカル面では、75日移動平均線が上値抵抗線として意識される水準にあり、ここを明確に上抜けるまでは戻り待ちの売りが出やすいとの見方が出ていました。

寄与度分析

押し下げ側です。

銘柄終値前日比騰落率寄与度
アドバンテスト34,610円▲1,090円▲3.05%▲263.08円
ファーストリテイリング71,540円▲580円▲0.80%▲46.66円
リクルートHD16,970円▲185円▲1.08%▲18.60円

押し上げ側です。

銘柄終値前日比騰落率寄与度
キオクシアHD52,500円+2,500円+5.00%+58.66円
東京エレクトロン56,000円+500円+0.90%+50.28円
フジクラ5,500円+195円+3.67%+39.22円

日経平均構成225銘柄は値上がり106銘柄で寄与度合計+369.51円、値下がり116銘柄で▲499.69円、変わらずが3銘柄でした。アドバンテストとファーストリテイリングの2銘柄で約309円の押し下げです。

好決算なのに売られた理由

アドバンテストはエヌビディアに最先端の半導体検査装置を供給する企業です。エヌビディアの決算が良ければ恩恵を受ける立場にあります。それなのに3.05%下落しました。

日経は理由を明確に説明しています。前日26日、アドバンテストは決算発表を先回りする形ですでに大きく上昇していました。つまり好決算はすでに株価に織り込まれていたため、実際に決算が出た時点では利益確定売りの材料になったということです。

「良い決算だから株が上がる」とは限りません。決算前にどれだけ買われていたかで、同じ内容への反応は正反対になります。今週のアドバンテストは、この構造を4日間かけて実演しました。

アドバンテストの4日間

今週の日経平均は、この1銘柄の動きを追うだけでかなりの部分が説明できてしまいます。

日付終値前日比寄与度寄与度順位日経平均
8月24日(月)34,500円▲1,400円▲337.90円押し下げ1位▲488.27円
8月25日(火)34,450円▲50円▲12.07円押し下げ2位+328.34円
8月26日(水)35,700円+1,250円+301.70円押し上げ1位+405.73円
8月27日(木)34,610円▲1,090円▲263.08円押し下げ1位▲130.18円

4営業日のうち3日で寄与度ランキングの首位に立ちました。株価そのものは8月21日の3万5900円から3万4610円へ、4日間で約3.6%下落しただけです。それでも日経平均を毎日数百円単位で振り回しました。

この間、日経平均は6万6016円から6万6131円へ、4営業日で+115円62銭しか変わっていません。日々の値幅は1,000円を超えているのに、週で見ればほとんど動いていないことになります。

東証プライムの騰落状況

値上がり712銘柄、値下がり769銘柄、横ばい74銘柄。値下がりがやや優勢でした。前日26日の「値上がり62%」から大きく反転しています。

それでもTOPIXは6日続伸、JPX日経400も6日続伸、グロース250は3カ月ぶり高値です。日経平均だけが下げました。8月24日とまったく同じ構図で、値がさのAI・半導体株が売られる一方、それ以外の広範な銘柄には買いが入っています。

今週を振り返ると、日経平均とTOPIXが逆方向に動いた日が2日(24日と27日)、同方向に動いた日が2日(25日と26日)。指数と中身の関係が日替わりで変わっています。

商いは3日ぶりに膨らんだ

売買代金は7兆8,700億円で、前日から1兆1,643億円(17.4%)増えました。24日から26日にかけて7兆636億円、7兆99億円、6兆7057億円と細り続けていた商いが、一転して膨らんだことになります。

前日の記事では「板が薄い状態でイベントを迎えると振れ幅が大きくなりやすい」と書きましたが、実際にはイベント通過とともに参加者が戻り、値幅1,172円に対して商いも増える形になりました。

業種別・テーマ別の動き

半導体セクター内の選別は4日連続

この日は上昇と下落が前日とほぼ入れ替わりました。

銘柄8月26日8月27日
アドバンテスト+1,250円(押し上げ1位)▲1,090円(押し下げ1位)
キオクシアHD▲1,260円(押し下げ2位)+2,500円(押し上げ1位)
太陽誘電▲210円▲160円
フジクラほぼ横ばい+195円(押し上げ3位)

アドバンテストとキオクシアの立場が完全に入れ替わっています。この4日間、「半導体株」という括りが一度も機能していません。買われる銘柄と売られる銘柄の組み合わせが毎日変わっており、セクター単位で相場を語ることに意味がない状態が続いています。

上昇した業種

非鉄金属、石油・石炭製品、繊維製品が上昇率の上位に入りました。非鉄はフジクラの3.67%高が牽引しています。フジクラは25日に上昇率トップ、26日に失速、27日に再び上位と、週内で乱高下しました。

なお、原油価格が下落を続けるなかで石油・石炭製品が上昇率上位に入っています。前日までの下落からの反発とみられますが、具体的な要因は確認できていません。

下落した業種

その他製品、精密機器、医薬品が下落率の上位でした。任天堂が168円安、バンダイナムコHDが46円安と、前日に買われたゲーム・コンテンツ株が反落。医薬品も中外製薬が104円安、アステラス製薬が29円50銭安と、前日の上昇率上位から一転しました。

前日の主役が翌日売られるパターンが4日連続

26日に押し上げ寄与3位だったリクルートHDは、27日には押し下げ寄与3位に転落しました。同じく押し上げ5位だった中外製薬も、押し下げ5位です。25日に10.34%高だった古河電工が26日に2.38%安となったのと同じ動きが、セクター単位でも銘柄単位でも繰り返されています。

新興市場は好調

東証グロース市場250指数が反発し、3カ月ぶりの高値を付けました。テラドローンは上場来高値を更新しています。大型株が伸び悩むなか、中小型株に資金が向かいました。

為替・米国株・金利の影響

ドル円は27日の東京時間、朝方に159円11銭まで下落した後、氷見野日銀副総裁の発言を受けて159円39銭まで上昇しました。15時前後は159円30銭台で推移しています。5営業日連続で158円台後半から159円台前半のレンジ内で、株式市場への方向性のある影響はありませんでした。

氷見野日銀副総裁の発言

氷見野副総裁はこの日、金融経済懇談会で挨拶と記者会見を行いました。利上げ判断の基準は展望リポートに記載した考え方であるとしたうえで、特定の会合で何をするかを話すのは適当ではないとの姿勢を示しています。また、金融引き締めではなく緩和の度合いの調整であるという点を強調しました。

物価については、年度後半には消費者物価の前年比が2%を上回る水準が続くと見込まれるとし、これまで以上に物価の上振れリスクを意識する必要があると述べています。原油高は下押し要因としつつ、中東情勢が経済の大幅な下振れにつながるリスクは低下したとの認識も示しました。

市場はこれを想定内と受け止め、円売りで反応しました。ジャクソンホール会議に植田日銀総裁が欠席するため注目度は高かったものの、9月利上げの確率はすでに約90%織り込まれていたとされ、影響は限定的でした。

指標(8月26日終値)終値前日比
NYダウ53,463.88ドル▲113.52ドル
S&P5007,675.70▲1.58
NASDAQ総合26,130.20▲21.10
米10年債利回り4.64%上昇

26日の米国市場は反落しました。PCE物価指数で根強いインフレが示され、金利高を嫌気した売りが終日続いています。ただし原油価格の下落が下値を支えました。

米7月PCE物価指数

項目実績市場予想との比較
総合PCE 前月比+0.2%0.1ポイント上回る
総合PCE 前年同月比+3.7%0.1ポイント上回る
コアPCE 前年同月比+3.3%—
個人所得 前月比+0.4%予想(+0.2%)を上回る

インフレの根強さが確認された形で、これが翌28日のウォーシュ議長講演への警戒につながっています。

個別材料株

国内の主要な決算発表はありませんでした。この日の相場を動かしたのは、あくまで米エヌビディアの決算です。ストップ高は10銘柄、ストップ安は3銘柄でした。

銘柄材料株価反応
キオクシアHDエヌビディア好決算を受けたメモリ需要期待52,500円(+2,500円、+5.00%)
Terra Drone防衛装備庁の迎撃ドローン早期取得プログラム採択が継続材料上場来高値を更新
フジクラAI・データセンター向け需要期待5,500円(+195円)
イビデン基板需要期待20,545円(+465円)
DyDo今期経常を12%上方修正、最高益予想を上乗せ確認できず

テクニカル面

8月21日時点の75日移動平均線は6万6241円でした。この日の終値6万6131円はこれを下回っています。25日移動平均線の6万5615円は上回りました。

注目すべきは高値の扱いです。この日のザラ場高値6万6954円69銭は、8月20日の高値6万6325円を明確に上抜けました。しかし終値は6万6131円まで822円押し戻されています。

前日26日も、ザラ場高値6万6442円で8月20日高値を一時上抜けながら、終値6万6262円では届きませんでした。2日連続で「ザラ場で上抜け、終値で失速」が起きています。上値の重さがはっきりと数字に出ている状態です。

下値メドは、この日の安値6万5782円と、8月25日の安値6万4609円。上値メドは8月20日高値の6万6325円を終値ベースで上抜けられるかどうかが依然として焦点です。

今後の見通し

期間想定レンジ主な前提条件
翌営業日65,500円〜67,000円28日夜のウォーシュFRB議長講演を控え、週末を挟むため持ち高を落とす動きが出やすい。米雇用者数の年次ベンチマーク改定も同時刻に公表される
1ヶ月後62,500円〜69,000円ジャクソンホール通過後の米金融政策の方向性と、日銀9月会合での利上げ判断が焦点。9月は季節的に株価が軟調になりやすい点も意識される
1年後58,000円〜78,000円AI投資サイクルの持続性、米国の金融政策、中東情勢と原油価格、日銀の正常化ペースが主な変動要因

今週最大の山場は28日金曜のウォーシュFRB議長の講演です。7月PCEが予想を上回ったことで、タカ派的な内容になるとの警戒が残っています。同じ時刻に米雇用者数の年次ベンチマーク改定の速報値も公表されるため、雇用とインフレの両面から材料が出る形になります。

日本市場はこの結果を週明けに織り込むことになります。金曜日中は方向感が出にくい一方、講演内容によっては週明けの寄り付きで大きく動く可能性があります。

今日の結論

「良い決算だから売られた日。1銘柄が指数の下げ幅の2倍を押し下げた」

エヌビディアの決算は予想を上回る増収増益で、通期は約70%の増収見通しという好内容でした。それでも、その恩恵を最も受けるはずのアドバンテストは3.05%下落し、日経平均を263円押し下げました。前日に先回りして買われていたためです。

決算の中身がどれだけ良くても、株価がそれをすでに織り込んでいれば、発表は売り材料になります。今週のアドバンテストは、月曜に338円押し下げ、水曜に302円押し上げ、木曜に263円押し下げるという形で、この構造を4日間かけて実演しました。

そして日経平均は、8月21日から4営業日で115円しか動いていません。毎日1,000円を超える値幅が出ているにもかかわらずです。今週の東京市場が何をしていたのかは、この2つの数字が端的に示しています。

より簡潔にこの日の相場をつかみたい方は、通常版の日経ノートもあわせてご覧ください。

3
短く確認する(約3分)
【2026年8月27日】今日の日本株ノート|エヌビディア好決算で692円高まで買われて終値は130円安、アドバンテストが263円押し下げ
PR

ネット証券で口座を開くなら

毎日の相場チェックや実際の売買には、使いやすいネット証券口座があると便利です。日本株の取引に定評のある2社を紹介します。

ネット証券
松井証券
老舗として知られるネット証券
  • 日本株・投資信託・米国株など幅広く対応
  • 少額から積み立てられる
  • サポート体制に定評
松井証券の詳細を見る
ネット証券
DMM株
日本株も米国株もアプリひとつで
  • 取引に応じてポイントが貯まる
  • 米国株の取扱いにも対応
  • NISA口座にも対応
DMM株の詳細を見る
2社のくわしい比較と選び方を読む →

※このセクションはアフィリエイト広告(PR)を含みます。手数料やサービスの最新情報は各社の公式サイトでご確認ください。

← 前の記事 【2026年8月26日】今日の日本株 深掘りノート|アドバンテストが3日で往復し、上げ幅の74%を1銘柄が作った日。売買代金は4カ月ぶりの7兆円割れ 次の記事 → 【2026年8月28日】今日の日本株 深掘りノート|今週の締めもアドバンテスト、5日で4回の寄与度首位。日経平均+0.59%に対しTOPIXは+1.95%