2026年8月24日の東京株式市場は、日経平均株価が前週末比488円27銭(0.74%)安の6万5528円09銭と続落しました。ただし同じ日にTOPIXは6.00ポイント高の4073.29ポイントと小幅ながら上昇し、東証プライムの値上がり銘柄数は841と全体の54.1%を占めています。
「指数は下がったのに、上がった銘柄のほうが多い」という状態です。この乖離を生んだのは、アドバンテストとソフトバンクグループというわずか2銘柄でした。この2銘柄だけで日経平均を約563円押し下げており、実際の下げ幅488円を上回っています。
本記事では、寄与度・騰落銘柄数・業種別動向を突き合わせて、この日の相場の中身を整理します。通常版の記事はこちらからご覧いただけます。
相場サマリー
| 指数 | 終値 | 前日比 | 騰落率 |
|---|---|---|---|
| 日経平均株価 | 65,528.09円 | ▲488.27円 | ▲0.74% |
| TOPIX | 4,073.29pt | +6.00pt | +0.15% |
| 東証グロース市場250指数 | 771.37pt | +2.90pt | +0.38% |
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 東証プライム 売買代金 | 7兆636億円 |
| 東証プライム 売買高 | 18億8234万株 |
| 値上がり銘柄数 | 841(54.1%) |
| 値下がり銘柄数 | 658(42.5%) |
| 変わらず | 51 |
日経平均の始値は6万5978円95銭。朝方はプラス圏を回復する場面もありましたが、後場に入って下げ幅を広げ、安値圏で取引を終えています。下げ幅は一時500円を超えました。
日経平均を動かした主な要因
1. エヌビディア決算とジャクソンホール会議を前にした様子見
8月26日に米エヌビディアの決算発表、28日にはウォーシュFRB議長のジャクソンホール講演が控えています。同じ26日には米7月PCE物価指数と米GDP改定値も予定されており、週半ばに材料が集中する構図です。
この日の商いは7兆円台と極端に薄いわけではありませんが、AI・半導体関連については積極的に買い上がる材料に乏しく、イベント前のポジション調整が優勢となりました。
2. 韓国株安がメモリ関連に波及
24日の韓国株式市場でサムスン電子が急落したことが伝わり、東京市場でもキオクシアHDが6%超の下落となりました。韓国KOSPIが下げ幅を広げたことは、指数全体の重荷にもなっています。
3. 日米の長期金利の高止まり
中東情勢の先行き不透明感から原油価格が高い水準にとどまり、インフレ懸念の再燃を通じて日米の長期金利に上昇圧力がかかりやすい地合いが続いています。金利水準の高さは、将来の利益を織り込んで買われてきた値がさグロース株のバリュエーションを圧迫する要因となります。
寄与度分析
この日の相場を理解する鍵は寄与度にあります。まず押し下げ側です。
| 銘柄 | 終値 | 騰落率 | 寄与度 |
|---|---|---|---|
| アドバンテスト | 34,500円 | ▲3.90% | ▲337.90円 |
| ソフトバンクグループ | 4,975円 | ▲5.33% | ▲225.27円 |
| キオクシアHD | 50,930円 | ▲6.24% | ▲79.55円 |
続いて押し上げ側です。
| 銘柄 | 終値 | 前日比 | 寄与度 |
|---|---|---|---|
| 東京エレクトロン | 55,150円 | +860円 | +86.49円 |
| リクルートHD | 16,515円 | +615円 | +61.85円 |
| 豊田通商 | 7,363円 | +137円 | +13.78円 |
押し上げ上位3銘柄の寄与度を合計しても約162円にとどまります。一方、押し下げ上位3銘柄は約643円。この4倍近い差が、TOPIXがプラスでも日経平均が大きく下げた理由です。
日経平均構成225銘柄の内訳を見ると、値上がり123銘柄の寄与度合計が+398.18円、値下がり97銘柄の寄与度合計が▲886.45円、変わらずが5銘柄でした。銘柄数では上昇組が多いのに、1銘柄あたりの平均寄与度は上昇組が約+3.2円、下落組が約▲9.1円と3倍近い開きがあります。
東証プライムの騰落状況
東証プライムでは値上がり841、値下がり658、変わらず51。値上がり比率は54.1%で、数の上では買いが優勢でした。東証33業種でも20業種が上昇し、下落は13業種にとどまっています。
上昇率上位はサービス業、建設業、その他製品、卸売業。下落率上位は鉱業、情報・通信業、保険業、水産・農林業でした。東証グロース市場250指数も反発し、値上がり281に対し値下がり256と、新興市場のほうがむしろ相対的に堅調な一日となっています。
つまりこの日は「相場全体が売られた日」ではなく、「一部の値がさAI関連が集中的に売られ、その他の広い範囲には買いが入った日」と整理するのが正確です。
業種別・テーマ別の動き
買われたセクター
建設機械と機械が目立ちました。日立建機が6.40%高、コマツも上昇。東洋エンジニアリングは7.22%高となっています。商品市況の上昇を背景に非鉄金属も堅調で、住友金属鉱山が6.64%高、JX金属も買われました。
サービス業が上昇率トップとなった背景には、コンテンツ関連の物色があります。東映アニメーションが大幅反発したほか、コナミグループ、任天堂、バンダイナムコHDなども上昇しました。AI・半導体が休む局面で、内需・コンテンツに資金が向かう構図です。
売られたセクター
情報・通信業が下落上位に入り、KDDIやメルカリが下げました。鉱業は原油先物の下落を受けて33業種の下落率上位となり、出光興産も軟調です。金利上昇局面では追い風になりやすい保険業が下落上位に入った点は、単純な金利連動では説明しにくい動きとして留意しておきたいところです。
半導体セクター内部の二極化
この日もっとも注目したいのは、半導体が一括で売られたわけではないという点です。アドバンテストが3.90%安、キオクシアHDが6.24%安、フジクラが5.00%安と下げた一方で、東京エレクトロンは860円高で押し上げ寄与トップ、SCREENホールディングスも上昇しています。
売られたのはメモリ・テスタ・データセンター向けケーブルといった、直接的にAI投資サイクルと連動する銘柄群でした。前工程装置の一角には資金が残っており、「半導体株安」という一言では説明できない選別が働いています。
為替・米国株・金利の影響
ドル円は24日午後3時時点で1ドル=158円90銭前後。前週末午後5時の158円82銭からわずか8銭のドル高・円安にとどまり、東京時間はほぼ膠着でした。早朝に158円50銭程度まで下落する場面があったものの、正午前後には158円90銭前後へ戻し、午後は方向感を欠いています。為替はこの日、株式市場に対して中立的な材料でした。
| 指数(8月21日終値) | 終値 | 前日比 |
|---|---|---|
| NYダウ | 53,277.01ドル | +517.80ドル(+0.98%) |
| S&P500 | 7,674.37 | +33.21(+0.43%) |
| NASDAQ総合 | 26,180.46 | +113.29(+0.43%) |
前週末の米国市場は3指数そろって上昇しましたが、中身を見ると買われたのは金融株と景気敏感株で、半導体はむしろ売られていました。ダウの上昇率がS&P500を上回ったのはその表れです。
この物色構造が、そのまま24日の東京市場に持ち込まれた形になります。「米国株高だから日本株高」という単純な連動ではなく、「米国で起きたセクターローテーションが東京でも再現された」と読むほうが、この日の値動きを説明できます。
金利については、米10年債利回りが21日のNY時間に4.74%台まで上昇した後、24日の東京時間は4.70%近辺と小幅低下。国内の新発10年物国債利回りも2.86%前後で推移しました。日中の変化そのものは小さく、市場が意識していたのは「水準の高さ」のほうだったと言えます。
個別材料株
8月下旬は4-6月期決算発表が一巡した端境期にあたり、この日は主要な決算発表はほぼありませんでした。代わりに個別材料とアナリストの目標株価引き上げが物色の中心となっています。
| 銘柄 | 材料 | 株価反応 |
|---|---|---|
| 東映アニメーション | 『ONE PIECE』新作映画2本の制作決定を発表 | 3,010円(+175円) |
| マルマエ | 中期事業計画の数値目標を上方修正(28年8月期営業利益56億円→82億円) | 2,090円(+45円) |
| 弁護士ドットコム | 弁護士保険の取扱開始を発表 | 4,735円(+260円) |
| ソースネクスト | ポケトーク新型機の開発が報道 | 119円(+5円) |
| 横浜ゴム | 野村が目標株価を8,400円→9,300円へ増額 | 7,727円(+233円) |
値上がり率上位は松屋の10.29%高、東洋エンジの7.22%高、住友鉱の6.64%高。値下がり率上位はFIGの12.10%安、キオクシアの6.24%安、メルカリの5.71%安でした。なお、ストップ高は4銘柄、ストップ安は1銘柄です。
テクニカル面
8月21日時点の25日移動平均線は6万5615円、75日移動平均線は6万6241円でした。21日の終値はこの2本の間に位置していましたが、24日の終値6万5528円は25日線をわずかに下回る水準で引けています。
ザラ場では6万5500円台に位置する25日線が下値支持線として意識されていたとされ、終値もほぼその水準です。上抜けと下抜けの分岐点にちょうど乗った形と言えます。
上値メドは8月20日の高値6万6325円、次いで75日線の6万6241円近辺、6万7000円台前半の節目。下値メドは8月19日の安値6万5133円、心理的節目の6万4000円です。RSI(9日)は21日時点で52.4%と中立圏にあり、過熱感・売られすぎのいずれも示していません。
参考までに、年初来高値は6月22日の7万2831円73銭、年初来安値は3月31日の5万558円91銭です。
今後の見通し
| 期間 | 想定レンジ | 主な前提条件 |
|---|---|---|
| 翌営業日 | 65,000円〜66,200円 | 26日のエヌビディア決算とPCE物価指数を控え、25日線を挟んだ小動きが続く想定。ベッセント米財務長官の対イラン追加制裁の内容が原油価格を通じて波及する可能性 |
| 1ヶ月後 | 62,500円〜68,500円 | エヌビディア決算とジャクソンホール講演の結果次第でAI関連の方向感が定まる。日銀9月会合に向けた利上げ観測と国内財政拡張懸念が長期金利に与える影響も焦点 |
| 1年後 | 58,000円〜78,000円 | AI投資サイクルの持続性、米国の金融政策の方向、中東情勢と原油価格、日銀の正常化ペースが主な変動要因 |
短期的には、25日移動平均線を終値ベースで維持できるかどうかが目先の焦点になります。仮に割り込む展開が続けば、8月19日の安値6万5133円が次の下値メドとして意識されやすい局面です。逆に26日のイベントを無難に通過すれば、75日線の6万6241円を試す展開も想定されます。
今日の結論
「上がった銘柄のほうが多いのに、指数は488円安。値がさAI株2銘柄が指数を独りで押し下げた一日」
東証プライムの過半が上昇し、TOPIXもプラス、グロース市場も反発しました。それでも日経平均が大きく下げたのは、アドバンテストとソフトバンクグループの2銘柄で約563円を押し下げたためです。
日経平均は株価の高い銘柄ほど影響が大きくなる株価平均型の指数であるため、こうした乖離が起こります。指数の数字だけを見て「相場全体が悪かった」と判断すると、実際に起きていた資金の移動を見落とすことになります。
より簡潔にこの日の相場をつかみたい方は、通常版の日経ノートもあわせてご覧ください。
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