2026年8月26日の東京株式市場は、日経平均株価が前日比405円73銭(0.62%)高の6万6262円16銭と続伸しました。朝方は251円安で始まり、前場には6万5390円55銭まで下落。そこから一転して後場に6万6442円34銭まで買われる、この週らしい荒い値動きでした。
ただ、この日の主役はほぼ1銘柄に絞られます。アドバンテストが1銘柄で日経平均を約302円押し上げ、上げ幅405円の74%を作りました。しかもこの銘柄は、8月24日には逆に日経平均を約338円押し下げた張本人です。
3営業日で株価はほぼ元の位置に戻り、指数も往復しました。そして東証プライムの売買代金は6兆7057億円と、4カ月ぶりに7兆円を割り込んでいます。今週の東京市場が何をしていたのかを、この記事で整理します。
前日の記事は8月25日の深掘りノート、月曜の記事は8月24日の深掘りノートからご覧いただけます。通常版はこちらです。
相場サマリー
| 指数 | 終値 | 前日比 | 騰落率 |
|---|---|---|---|
| 日経平均株価 | 66,262.16円 | +405.73円 | +0.62% |
| TOPIX | 4,111.02pt | +17.35pt | +0.42% |
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 始値 | 65,604.49円(▲251.94円) |
| 高値 | 66,442.34円(13時33分) |
| 安値 | 65,390.55円(前場) |
| 東証プライム 売買代金 | 6兆7057億円 |
| 東証プライム 売買高 | 18億5350万株 |
| 値上がり銘柄数 | 978(62%) |
| 値下がり銘柄数 | 518(33%) |
| 変わらず | 60 |
TOPIXは5日続伸となりました。売買代金6兆7057億円は、4月21日の6兆8522億円以来4カ月ぶりの7兆円割れです。
日経平均を動かした主な要因
1. 原油の急落が前提を反転させた
25日のWTI原油先物は82.36ドルと2.65ドル下落しました。8月21日の86.81ドルから、26日の時間外では80ドル台前半まで下げており、5営業日で約8%の下落です。中東情勢を巡る緊張が緩和したことに加え、米週間原油在庫の大幅増加が重なりました。
これが米長期金利の低下を招き、米10年債利回りは4.626%と0.074ポイント下がりました。24日の記事では「原油の高止まり、インフレ懸念、金利上昇、ハイテク株安」という連鎖を紹介しましたが、その前提がわずか2営業日で逆回転したことになります。
2. 米半導体株の反発
25日の米国市場ではフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が3営業日ぶりに反発し、一時2.5%上昇。エヌビディア株も8営業日ぶりに上昇しました。この流れが東京市場のアドバンテスト買いにつながっています。
3. 日銀の利上げ観測による金融株買い
27日に氷見野日銀副総裁の発言が予定されており、9月利上げへの言及があるとの見方が広がりました。33業種の上昇率トップは証券・商品先物取引業で、保険業、銀行業も上位に入っています。三菱UFJが1.42%高、みずほフィナンシャルグループが1.29%高となりました。
4. 朝方の下落はエヌビディア決算前の持ち高調整
寄り付き直後は半導体関連の一角に利益確定売りが出ました。米国時間26日のエヌビディア決算発表後の変動を避ける目的の売りで、日経平均の下げ幅は一時465円まで拡大しています。売り一巡後に買い戻しが広がり、前場中盤にはプラス圏を回復しました。
寄与度分析
押し上げ側です。
| 銘柄 | 終値 | 前日比 | 騰落率 | 寄与度 |
|---|---|---|---|---|
| アドバンテスト | 35,700円 | +1,250円 | +3.63% | +301.70円 |
| ソフトバンクグループ | 5,163円 | +76円 | +1.49% | +61.14円 |
| リクルートHD | 17,155円 | +550円 | +3.31% | +55.31円 |
押し下げ側です。
| 銘柄 | 終値 | 前日比 | 騰落率 | 寄与度 |
|---|---|---|---|---|
| ファーストリテイリング | 72,120円 | ▲410円 | ▲0.57% | ▲32.99円 |
| キオクシアHD | 50,000円 | ▲1,260円 | ▲2.46% | ▲29.57円 |
| TDK | 3,031円 | ▲18円 | ▲0.59% | ▲9.05円 |
日経平均構成225銘柄は値上がり125銘柄で寄与度合計+599.00円、値下がり96銘柄で▲193.27円、変わらずが4銘柄でした。
アドバンテストの3日間の往復
この日の相場を理解する鍵は、1銘柄の3日間の動きに集約されます。
| 日付 | 終値 | 前日比 | 寄与度 | 順位 |
|---|---|---|---|---|
| 8月24日(月) | 34,500円 | ▲1,400円 | ▲337.90円 | 押し下げ1位 |
| 8月25日(火) | 34,450円 | ▲50円 | ▲12.07円 | 押し下げ2位 |
| 8月26日(水) | 35,700円 | +1,250円 | +301.70円 | 押し上げ1位 |
株価は3営業日でほぼ元の水準に戻り、寄与度は▲338円から+302円へ反転しました。月曜の下げ幅488円と水曜の上げ幅405円の大半が、この1銘柄で説明できてしまいます。
アドバンテストとソフトバンクグループの2銘柄を合わせると、この日の押し上げは約362円。上げ幅405円の約89%にあたります。日経平均が株価の高い銘柄ほど影響が大きくなる株価平均型の指数であることの帰結が、今週はこれ以上ないほど明快に表れています。
東証プライムの騰落状況
値上がり978銘柄、値下がり518銘柄、変わらず60銘柄。値上がり比率は62%で、前日の54%からさらに広がりました。東証33業種でも24業種が上昇しています(前場時点)。
上げの中身が広いという点では、この日は健全な上昇でした。押し上げ寄与+599円に対し押し下げが▲193円と、3倍を超える非対称性があります。
問題は商いです。売買代金は8月24日の7兆636億円、25日の7兆99億円に続き、26日は6兆7057億円まで細りました。3営業日連続の縮小で、4月21日以来の7兆円割れです。
そして8月21日の終値6万6016円と比べると、26日の終値は+245円80銭。週初からほぼ横ばいです。日々1,000円を超える値幅が出ているにもかかわらず、週を通してみれば動いていない。参加者が減るなかで先物が振り回している、という見方が自然な数字です。
業種別・テーマ別の動き
金融3業種が2日連続で上位
証券・商品先物取引業が33業種の上昇率トップ、保険業と銀行業も上位に入りました。前日25日も保険が1.85%高、証券が1.63%高、銀行が1.30%高で上位3業種を占めており、日銀の利上げ観測を軸とした物色が続いています。
東京海上ホールディングスは前日比221円高の7,629円と2.98%上昇し、押し上げ寄与4位に入りました。25日引け後に株式15分割、長期株主向け優待制度の導入、今期配当の実質増額修正を同時に発表しており、個別材料と業種要因が重なった形です。
半導体セクター内の選別は3日連続
この日はアドバンテストが3.63%高、東京エレクトロンが小幅高、イビデンが上昇した一方で、キオクシアHDが2.46%安、太陽誘電が2.27%安、TDKとレーザーテックも下落しました。
この3日間の組み合わせを並べると、選別の中身が毎日変わっていることがわかります。
| 日付 | 買われた側 | 売られた側 |
|---|---|---|
| 8月24日 | 東京エレクトロン | アドバンテスト、キオクシア、フジクラ |
| 8月25日 | イビデン、フジクラ、古河電工 | ディスコ、アドバンテスト |
| 8月26日 | アドバンテスト、東京エレクトロン | キオクシア、太陽誘電、TDK |
「AI関連株」「半導体株」という括りでは、この3日間の値動きは追えません。
前日の主役が1日で反落
25日に10.34%高で値上がり率上位に入った古河電気工業は、26日には95円安の3,905円と2.38%下落し、押し下げ寄与の上位に入りました。テーマ物色の回転が24時間単位で起きています。
海運・石油・資源が下落
原油安を受けて海運業が33業種の下落率トップとなり、川崎汽船が3.36%安。石油・石炭製品、金属製品も下落上位でした。三菱商事、三井物産といった商社も軟調です。原油安は株式市場全体には追い風でしたが、資源セクターには逆風という二面性が出ています。
医薬品・ディフェンシブ
中外製薬が101円高、第一三共が70円50銭高、大塚ホールディングスが135円高。ハイテク株の変動が大きい局面での受け皿として買われました。
為替・米国株・金利の影響
ドル円は26日午後3時時点で1ドル=159円00銭。東京時間のレンジは158円88銭から159円26銭で、前日15時の159円33銭からは33銭の円高です。3営業日連続で158円台後半から159円台前半に収まっており、株式市場への方向性のある影響はほぼありませんでした。
| 指標(8月25日終値) | 終値 | 前日比 |
|---|---|---|
| NYダウ | 53,577.40ドル | +160.24ドル(3日続伸) |
| S&P500 | 7,677.28 | +24.42 |
| NASDAQ総合 | 26,151.30 | +171.11 |
| 米10年債利回り | 4.626% | ▲0.074 |
| WTI原油 | 82.36ドル | ▲2.65 |
| VIX指数 | 15.45 | ▲0.40 |
25日の米国市場は主要3指数がそろって上昇しました。エヌビディア決算を控えてハイテク株が反発したほか、原油価格と債券利回りの低下が投資家に安心感を与えた形です。24日が「ダウ高・ナスダック安」だったのに対し、25日は3指数そろっての上昇となり、東京市場の朝安からの切り返しにつながりました。
国内では、日銀の利上げ観測が金融株の支えとなりました。なお長期国債先物は前日の126円59銭から126円48銭へ下落しています。
個別材料株
決算は一巡しており、この日もコーポレートアクションと個別テーマが物色の中心でした。ストップ高は10銘柄、ストップ安は1銘柄です。
| 銘柄 | 材料 | 株価反応 |
|---|---|---|
| Terra Drone | 防衛装備庁の迎撃ドローン早期取得プログラムに国産機が採択 | 17,050円(+3,000円、ストップ高) |
| 東京海上HD | 株式15分割、長期株主向け優待導入、今期配当の実質増額修正 | 7,629円(+221円) |
| 第一稀元素化学工業 | レアメタル「ハフニウム」の国内製造技術を確立、28年に量産化へ | +23.91% |
| ミロク | 25日引け後に好決算を発表 | +21.46% |
| インテージHD | 新たな自社株購入枠の設定を発表 | 1,992円(+76円) |
| トーヨーアサノ | 27年2月期業績予想の下方修正 | 2,251円(▲51円) |
東証グロース市場では、Terra Droneとアーキテクツ・スタジオ・ジャパンがストップ高。ドリコムやシェアリングテクノロジーなど15銘柄が年初来高値を更新しました。ただしグロース市場250指数自体は大引けにかけて軟調となり、小反落で引けています。
テクニカル面
8月21日時点の25日移動平均線は6万5615円、75日移動平均線は6万6241円でした。26日の終値6万6262円は、この75日線をわずかに上回った水準です。
より注目したいのは高値です。この日のザラ場高値6万6442円34銭は、8月20日の高値6万6325円を一時上抜けました。しかし終値は6万6262円と、8月20日高値には届いていません。
テクニカルアナリストの伊藤智洋氏は26日朝の時点で「現在が下降途中の保ち合いの動きなら、本日の価格が上昇しても8月20日高値の6万6325円前後で上値を抑えられる公算」と指摘していました。実際の値動きはこのシナリオをほぼ正確になぞった形です。
8月20日高値を終値ベースで明確に上抜けられるかどうかが、「下降途中の保ち合い」から「新たな上昇」への転換を判定する分岐点になります。その判定材料が今晩のエヌビディア決算です。下値メドは25日の安値6万4609円と、心理的節目の6万4000円です。
今後の見通し
| 期間 | 想定レンジ | 主な前提条件 |
|---|---|---|
| 翌営業日 | 65,300円〜67,300円 | 27日早朝のエヌビディア決算と同日の氷見野日銀副総裁の発言が重なる。薄商いのなかでイベントを迎えるため、上下いずれの方向にも振れ幅が大きくなりやすい |
| 1ヶ月後 | 62,500円〜69,000円 | エヌビディア決算とジャクソンホール講演を通過してAI関連の方向感が定まる。日銀9月会合での利上げ判断と、9月は季節的に株価が軟調になりやすい点も焦点 |
| 1年後 | 58,000円〜78,000円 | AI投資サイクルの持続性、米国の金融政策、中東情勢と原油価格、日銀の正常化ペースが主な変動要因 |
今週の日程は、26日夜に米4-6月期GDP改定値と米7月PCE物価指数、27日早朝にエヌビディアの5-7月期決算、同27日に氷見野日銀副総裁の発言、28日にウォーシュFRB議長のジャクソンホール講演と続きます。日本市場が最も強く反応しうるのは27日です。
売買代金が4カ月ぶりの低水準にあることは、翌営業日の値動きを考えるうえで無視できません。板が薄い状態でイベントを迎えると、想定外の内容が出た場合の振れ幅は普段より大きくなりやすくなります。
今日の結論
「アドバンテストが3日で往復し、指数も往復した。答え合わせは今晩」
8月24日に日経平均を338円押し下げたアドバンテストが、26日には302円押し上げました。株価はほぼ元の水準です。この間、日経平均も6万6016円から6万5528円へ下げ、6万6262円へ戻しました。週初からの変化はわずか246円です。
売買代金は3営業日連続で細り、4カ月ぶりに7兆円を割り込みました。日々1,000円を超える値幅が出ているのに、週を通せば動いていない。少ない参加者のなかで、値がさ株が指数を振り回している状態と言えます。
物色の中身も日替わりです。24日は東京エレクトロン買い・アドバンテスト売り、25日は電線と基板買い・前工程売り、26日はテスタ買い・メモリ売り。「半導体株」という一括りでは3日間の値動きを追えません。
今晩のエヌビディア決算が、この宙ぶらりんな状態に一つの答えを出すことになります。
より簡潔にこの日の相場をつかみたい方は、通常版の日経ノートもあわせてご覧ください。
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