3連休明けの10月13日の東京市場で、日経平均株価は前営業日比1,253.40円安の67,777.52円となり、大幅に4日続落しました。中国のメモリーメーカーCXMTが新型メモリーを発表したとの報道で米半導体株が売られ、東京エレクトロンやソフトバンクグループ、キオクシアなどAI・半導体関連が総崩れとなりました。一方でTOPIXは小幅に続伸し、東証プライムの値上がり銘柄は7割を超えました。指数と相場の中身が大きく食い違った一日を、寄与度・業種動向・テクニカルの節目から掘り下げます。
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相場サマリー
| 指数 | 終値 | 前日比 | 騰落率 |
|---|---|---|---|
| 日経平均 | 67,777.52円 | −1,253.40円 | −1.82% |
| TOPIX | 4,110.67 | +5.86 | +0.14% |
| 東証グロース250 | 797.04 | −9.58 | −1.19% |
| 項目(東証プライム) | 数値 |
|---|---|
| 売買代金 | 約7兆9,640億円 |
| 売買高 | 約23億5,628万株 |
| 値上がり/値下がり/変わらず | 1,137/378/31銘柄 |
日経平均は始値68,564.85円、高値68,710.99円でした。10時56分には安値67,058.56円まで下げ、下げ幅は一時1,972円に達しました。終値で6万8,000円を下回るのは9月30日以来です。
日経平均を動かした主な要因
①中国CXMTの新型メモリー報道と米半導体株安
12日の米国市場では、中国CXMT(長鑫存儲技術)の新型メモリーの報道を受けてメモリー関連株が全面安となりました。サンディスクが5.97%安、マイクロンが3.88%安となり、SOX指数は2.7%前後下げて3週間ぶりの安値をつけています。価格競争の激化が既存メーカーの収益を直接圧迫しかねないとの警戒が、連休明けの東京市場に一気に波及しました。
②ソフトバンクGのAI投資を巡る懸念
ソフトバンクグループは8.50%安と急落しました。出資先のOpenAIの年換算売上高が従来の見方を下回るとの報道があり、AI投資とそれを支える借入の負担に改めて目が向けられています。同社1銘柄で日経平均を約399円押し下げました。
③中東情勢の緊迫と原油高
イエメンのフーシ派がサウジアラビアの首都リヤドの空港を攻撃したと伝わり、12日のWTI原油先物は1バレル93ドル台に上昇しました。北海ブレントは106ドル台と、9月中旬以来の高値です。地政学リスクは売りを誘う一方、資源・海運株には買いが向かいました。
寄与度分析
押し上げ上位3銘柄
| 銘柄 | 寄与度 | 株価騰落率 |
|---|---|---|
| ファーストリテイリング | +162.62円 | +2.80% |
| リクルートHD | +26.80円 | +1.49% |
| コナミグループ | +21.74円 | +2.79% |
押し下げ上位3銘柄
| 銘柄 | 寄与度 | 株価騰落率 |
|---|---|---|
| 東京エレクトロン | −450.04円 | −7.15% |
| ソフトバンクグループ | −398.86円 | −8.50% |
| アドバンテスト | −261.05円 | −2.91% |
押し下げ上位3銘柄だけで約1,110円になります。キオクシアHD(−164.59円)とイビデン(−120.68円)を加えた上位5銘柄では約1,395円となり、日経平均の下げ幅1,253円を上回りました。押し上げ側はファーストリテイリングが単独で約163円を支えましたが、半導体株の下げを埋めるには力不足でした。
※騰落率は株価と前日比から算出しています。
東証プライム騰落状況
東証プライムでは値上がりが1,137銘柄、値下がりが378銘柄、変わらずが31銘柄でした。値上がりが全体の7割を超え、33業種中26業種が上昇しています。日経平均の採用225銘柄でも値上がり156、値下がり68と、上昇銘柄が多数派でした。
つまり日経平均の大幅安は、ごく一部の値がさ半導体株によるものです。NT倍率(日経平均÷TOPIX)は前営業日の16.82倍から16.49倍へ急低下し、「指数安・中身高」を数字が裏付けています。市場全体が崩れたのではなく、AI・半導体から他の業種へ資金が移った一日と整理できます。
業種別・テーマ別動き
上昇セクター:海運・資源・商社・ディフェンシブ
上昇率の首位は海運業(+3.10%)で、鉱業(+2.53%)、卸売業(+2.44%)、石油・石炭製品(+2.36%)が続きました。原油高を背景に、INPEXや出光興産のほか、三菱商事・伊藤忠商事・豊田通商など商社株が買われています。
医薬品では中外製薬、アステラス製薬、塩野義製薬が上昇し、ディフェンシブ株への資金シフトがうかがえます。トヨタ自動車(+2.53%)など自動車株も底堅く推移しました。
下落セクター:非鉄金属・電気機器・情報通信
下落率の首位は非鉄金属(−3.46%)で、AIデータセンター関連のフジクラ(−6.34%)や三井金属が売られました。電気機器(−2.46%)では、東京エレクトロン、キオクシアHD(−13.28%)、KOKUSAI ELECTRIC(−9.53%)が急落しました。TDKや村田製作所など電子部品にも売りが広がっています。情報・通信(−2.22%)の下げは、ソフトバンクグループの急落が主因です。
テーマ:サイバーセキュリティ株が急騰
個人情報の漏えい被害が相次ぐなか、セキュアヴェイル(ストップ高)などサイバーセキュリティ関連の中小型株に資金が集まりました。空売り残高の多い銘柄では、買い戻しも上昇に拍車をかけたとみられます。
為替・米国株・金利の影響
| 指標 | 水準 | 前日比・備考 |
|---|---|---|
| ドル円(15時時点) | 158.24円 | 前営業日NY終値比0.37円の円高 |
| NYダウ(10月12日) | 51,850.55ドル | +195.60ドル(+0.38%) |
| ナスダック総合(10月12日) | 27,245.90 | −120.27(−0.44%) |
| S&P500(10月12日) | 7,807.24 | −4.30(−0.06%) |
| 米10年債利回り | 5.24% | 10月9日終値(12日は米債券市場休場) |
米国株は主要3指数がまちまちでした。ダウは大手銀行決算への期待から3日続伸した一方、ハイテク株の比重が大きいナスダックは下落しています。東京時間のドル円は、時間外の原油安と米長期金利の低下を受けて158円台前半へやや円高に振れました。ただ、輸出株全体を崩すほどの動きではありませんでした。
米10年債利回りは5%台と高く、高PERのハイテク株やグロース株には逆風が続いています。国内でも新発10年国債利回りが3.005%と高水準にあり、植田日銀総裁は長期金利の世界的な上昇に言及しました。
個別決算・材料株
| 銘柄 | 材料内容 | 株価反応 |
|---|---|---|
| 竹内製作所 | 通期予想の上方修正、増配、自社株買い(上限150億円) | 急騰、年初来高値を更新 |
| プラズマ | 8月期の営業利益41.7%増、今期は約2.1倍の見通しで増配 | ストップ高(+14.3%) |
| クラスターテクノロジー | セイコーエプソンとの資本・業務提携 | ストップ高(+26.5%) |
| 大阪有機化学工業 | 業績予想の上方修正と増配、ArFレジストが好調 | +6.3% |
| 安川電機 | 通期予想は下方修正したが、上期の利益・受注が市場予想を上回る | +1.2% |
| Sansan | 第1四半期は大幅増益だが想定内で、材料出尽くし | −8.7% |
| PHCホールディングス | 東邦HDが買収の検討を終了し、TOB期待が後退 | −14.1% |
| ユナイテッド・スーパーマーケットHD | 通期予想を大幅に下方修正し、最終赤字へ | −5.2%、年初来安値 |
好決算でも想定内であれば売られる例が目立ち、市場の期待値の高さがうかがえます。上方修正に株主還元を組み合わせた銘柄には、素直に買いが入りました。
テクニカル面
日経平均は陰線で4日続落し、下向きに転じた5日移動平均線を下回りました。パラボリックも陰転しています。9月14日安値から10月6日高値までの上昇幅の3分の1押し(68,107.80円)を終値で割り込み、短期的には調整色が強まっています。
一方で、移動平均線からの乖離率は25日線が+2.13%、75日線が+1.65%で、中期線はまだ割り込んでいません。乖離率から逆算すると、25日線は約66,360円、75日線は約66,680円です。
上値のメドは68,000〜68,100円、次いで69,000円です。下値のメドは当日安値の67,058円で、その下に半値押しの66,762円と、25日線・75日線が集まる66,400〜66,700円近辺が控えます。半値押しを割り込むと調整が長引くリスクがあると指摘されています。RSIは確認できず。
見通し
翌営業日は、日本時間今夜の米大手銀行決算と14日の米9月CPIを前に、方向感が出にくい展開が想定されます。半導体株に自律反発が入るのか、中国メモリーを巡る売りが続くのかが焦点です。
| 期間 | 想定レンジ | 主な前提条件 |
|---|---|---|
| 翌営業日 | 67,000円〜68,700円 | 米大手銀行決算の受け止め、半導体株の自律反発の有無、原油・ドル円の動向 |
| 1ヶ月後 | 64,500円〜71,000円 | 米CPIと米長期金利の行方、国内企業の中間決算、中東情勢と原油価格 |
| 1年後 | 58,000円〜80,000円 | AI投資の持続性と企業業績の拡大、日米の金融政策、為替水準 |
※想定レンジは足元の値動きと材料をもとにした目安で、将来の株価を示すものではありません。
今日の結論
「指数は大幅安、中身は7割が値上がり」――AI・半導体への集中が裏目に出た一日
日経平均の1,253円安は、中国発のメモリー競争への懸念が値がさ半導体株を直撃した結果でした。TOPIXの続伸と値上がり銘柄の多さを見る限り、資金は相場から逃げたのではなく、資源・内需・ディフェンシブへ移ったとみられます。今週は米CPIやASMLなど海外半導体大手の決算が控えており、半導体株の動向が日経平均の方向感を左右しやすい局面です。
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