10月28日の東京株式市場は、日経平均が前日比685円82銭高の6万3954円19銭と大幅に続伸しました。韓国SKハイニックスの過去最高決算と米半導体株指数(SOX)の3.6%高を追い風に、アドバンテストやキオクシアなどAI・半導体関連に買いが集中し、取引時間中には一時6万4300円台まで上昇しました。

一方で、TOPIXは5.66ポイント安と3日ぶりに反落し、東証プライムの7割にあたる1096銘柄が値下がりしました。指数の上昇は一部の値がさ株に偏っており、商いは8兆円を超えたものの、相場全体に買いが広がったとは言いにくい一日でした。引け後にはアドバンテストが通期予想の上方修正と2800億円の自社株買いを発表しています。

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相場サマリー

指標終値前日比騰落率
日経平均株価63,954.19円+685.82円+1.08%
TOPIX3,991.71-5.66pt-0.14%
東証グロース市場250指数797.98+13.76pt+1.75%
東証プライム売買代金8兆742億円(売買高23億8210万株)
東証プライム騰落銘柄数値上がり432/値下がり1,096/変わらず25

日経平均は始値6万3738円、高値6万4308円、安値6万3660円で、ザラ場の高値と安値をともに3日連続で切り上げました。TOPIXは寄り付きの4015ポイントを高値圏に、安値引けとなっています。

日経平均を動かした主な要因

SKハイニックスの最高益決算

SKハイニックスが28日朝に発表した7〜9月期決算は、売上高が前年同期比4.3倍の104兆ウォン、営業利益が7.3倍の83兆ウォンと、ともに過去最高を更新しました。あわせて最大100兆ウォン規模の株主還元策を発表し、メモリー不足が2030年まで続くとの経営陣の見方も伝わっています。韓国KOSPIは3%超の急騰で5800台に乗せ、東京市場ではメモリー関連のキオクシアに買いが集中しました。

米半導体株の大幅高

前日27日の米国市場では、アンソロピックのIPOを巡る期待と半導体株への買い戻しでナスダック総合が1.18%高となり、SOX指数は399ポイント高の1万1482ポイント(+3.60%)と3日続伸しました。数週間にわたって売られてきた半導体株に資金が戻り、シカゴの日経平均先物も大阪日中比1570円高の6万4410円で清算されたことが、東京の寄り付きから買いを先行させました。

FOMCと米IT決算を控えた様子見

後場に入ると一時1000円を超える上昇となりましたが、日本時間29日未明のFOMC結果とアルファベット・マイクロソフトの決算を前に積極的な買いは続かず、引けにかけて伸び悩みました。クロージングオークションで水準を切り下げ、終値は6万4000円をわずかに下回っています。

決算失望売りの広がり

カプコン、キヤノン、日東電工など前日に決算を発表した銘柄に失望売りが出て、ゲーム株や食料品、保険といった半導体以外の業種に売りが広がりました。この点が、日経平均の上昇とTOPIXの反落を分けた背景です。

寄与度分析

区分銘柄寄与度株価騰落率
押し上げ1位アドバンテスト(6857)+230.85円+3.16%
押し上げ2位東京エレクトロン(8035)+209.85円+4.42%
押し上げ3位ソフトバンクグループ(9984)+168.28円+4.65%
押し下げ1位コナミグループ(9766)-52.59円-6.37%
押し下げ2位日東電工(6988)-35.73円212円安
押し下げ3位バンダイナムコHD(7832)-31.05円307円安

押し上げ上位にはキオクシアHD(+122.82円、+13.76%)とイビデン(+95.87円、+7.94%)が続き、上位5銘柄で約828円分を押し上げました。アドバンテストと東京エレクトロンの2銘柄だけで約440円分に達します。一方、押し下げ上位5銘柄の合計は約159円で、値下がり銘柄数は多いものの指数への影響は限られました。日経平均構成銘柄の騰落は値上がり85、値下がり139、変わらず1です。

東証プライム騰落状況

東証プライムの値上がりは432銘柄、値下がりは1096銘柄、変わらずは25銘柄で、値下がりが全体の70.5%を占めました。日経平均が1%超上昇した日としては異例の広がりの乏しさで、東証33業種のうち上昇したのは10業種にとどまり、23業種が下落しています。

売買代金は8兆742億円と前週末以来3日ぶりに8兆円台を回復しましたが、その多くはキオクシアや半導体製造装置株に向かったものとみられます。「指数高・個別安」という構図が、本日の東京市場の実像です。

業種別・テーマ別動き

上昇セクター:半導体の製造に連なる4業種

上昇率首位はガラス・土石製品(+2.42%)で、セラミック部品のMARUWAが通期営業利益予想を337億円から383億円へ引き上げ、ストップ高の5万4000円で引けました。非鉄金属(+1.88%)、電気機器(+1.80%)、機械(+1.33%)が続き、上位4業種はいずれも半導体の製造工程に関わる業種です。電子部品ではTDKが5.0%高、村田製作所が5.25%高、太陽誘電が613円高となり、物色の裾野は装置株から部品株へ広がりました。

下落セクター:保険・食料品・石油

下落率首位は保険業(-2.83%)で、東京海上HDが23.6円安の555円と売られました。食料品(-2.67%)ではキッコーマン、アサヒグループHD、山崎製パンが大きく下げ、石油・石炭製品(-2.26%)はWTI原油の100ドル割れが重荷となりました。輸送用機器は1.12%安、不動産業は1.87%安で、トヨタ自動車は51円安の3051円です。

ゲーム株の連鎖安

カプコンが545円安の3835円と1割を超える下落となり、コナミグループ(1560円安)、バンダイナムコHD(307円安)にも連想売りが及びました。家庭用ゲーム大手3社がそろって日経平均の押し下げ上位に入っています。

AIインフラ関連

さくらインターネットはGPUクラウドの好調で通期最終利益予想を15億円から25.5億円へ引き上げ、503円高の3470円(+16.95%)とストップ高で引けました。半導体の川下にあたるデータセンター関連にも資金が向かっています。

為替・米国株・金利の影響

ドル円は東京時間15時時点で157円82銭でした。朝方に158円04銭まで上昇した後は節目の158円で上値を抑えられ、14時ごろには157円75銭まで押し戻されています。前日同時刻比では小幅な円安ですが、158円台では介入への警戒も意識され、輸出株の支援材料にはなりませんでした。

米国市場は27日、NYダウが15.99ドル高の5万2377.57ドル、S&P500が45.83ポイント高の7722.60、ナスダック総合が308.43ポイント高の2万6477.81と3指数そろって続伸しました。SOX指数は3.60%高です。

米10年債利回りは5.00%前後で横ばい圏にあり、イールドカーブのフラット化が進んでいます。国内では10年国債利回りが2.825%へ約0.04ポイント上昇し、20年債は3.640%となりました。30日の日銀金融政策決定会合を前に金利は上向きで、不動産株には逆風となる一方、銀行業は0.09%高にとどまっています。

個別決算・材料株

銘柄材料株価反応
キオクシアHD(285A)SKハイニックスの最高益決算でメモリー市況期待1,735円高の14,340円(+13.76%)
さくらインターネット(3778)2Qで黒字転換、通期最終益を15→25.5億円に上方修正、増配ストップ高3,470円(+16.95%)
MARUWA(5344)通期営業益を337→383億円に上方修正ストップ高54,000円(+7,000円)
信越化学工業(4063)7-9月期営業益2,121億円(+26.9%)、市場予想を上回る154円高の6,004円
カプコン(9697)7-9月期営業益197億円は想定線、通期予想830億円を据え置き545円安の3,835円
キヤノン(7751)7-9月期は予想超も通期営業益を4,650→4,560億円に下方修正294円安の4,610円
日東電工(6988)中間期営業益12%増も主力事業の減益を嫌気212円安の3,388円

引け後にはアドバンテストが4〜9月期決算を発表し、売上高8452億円(+60.5%)、営業利益4568億円(+96.5%)、純利益3681億円(+116.8%)と中間期として過去最高を更新しました。通期の売上高予想を1兆8630億円、純利益予想を7415億円へ引き上げ、発行済株式の1.5%にあたる1100万株・2800億円を上限とする自社株買いも決議しています。日立製作所とNECも通期予想を引き上げました。夜間取引の日経225先物12月限は前日清算値比1030円高の6万4530円で、これらの決算を評価した買いが先行しています。

テクニカル面

日経平均は5日移動平均線(6万3002円)を上放れ、一目均衡表では10月9日以来およそ半月ぶりに終値が転換線の上に戻りました。下降中の25日移動平均線(6万6196円)との下方乖離率は3.39%まで縮小しており、短期的には25日線へ向けた値戻しが続きやすい局面です。75日移動平均線は先物ベースの参考値で6万5900円台にあり、25日線とともに上値の目安となります。

RSI(9日)は27日時点で26.5%と売られ過ぎ圏から回復途上にあり、上値メドは10日移動平均線(6万4200円前後)、心理的節目の6万5000円、25日線、10月14日安値の6万7533円の順に並びます。下値は本日割り込んだ6万4000円、5日線の6万3000円前後、前日終値の6万3268円が目安です。

見通し(予想レンジ)

期間想定レンジ主な前提条件
翌営業日63,000円〜65,200円FOMCが据え置きで無難に通過し、アルファベット・マイクロソフトがAI設備投資の積み増しを示せば、アドバンテスト決算と合わせて上振れ余地。設備投資に慎重な姿勢が出れば半導体への集中が崩れ、下振れリスク
1ヶ月後61,000円〜67,500円30日の日銀会合と11月の国内決算が焦点。25日線(6万6196円)を回復できるかで方向感が変わりうる。中東情勢と原油、ドル円158円台での介入警戒が変数
1年後56,000円〜76,000円AI投資サイクルの持続とメモリー市況の改善が続けば上振れ余地。米金利5%台の長期化や設備投資の減速が重荷となれば下振れリスク

今日の結論

「半導体の一人勝ち、相場の体温は上がっていない」

SKハイニックスの最高益と米SOX指数の急伸を受け、日経平均は685円高と2日続伸しましたが、押し上げたのは値がさ半導体株5銘柄で約828円分です。プライムの7割が下落しTOPIXが安値引けとなった事実は、指数の数字ほど相場が強くないことを示しています。今晩のFOMCと米IT大手の決算、そして引け後のアドバンテスト決算への反応次第で、半導体への集中が広がりに変わるのか、偏りのまま反落するのかが分かれやすい局面です。

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