10月29日の東京株式市場で、日経平均株価は前日比705円28銭高の64,659円47銭と3日続伸しました。終値で64,000円台を回復するのは21日以来、約1週間ぶりです。前日の米株高とFOMC通過の安心感に加え、通期計画を再び上方修正したアドバンテストが6%高となり、1銘柄で指数を453円押し上げました。

一方で、東証プライムでは値下がり銘柄が値上がり銘柄を上回り、日立製作所やコマツなど「上方修正でも期待未達」とされた銘柄が急落しました。指数の強さと中身の弱さが同居する、典型的な選別相場の一日です。

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相場サマリー

指標終値前日比騰落率
日経平均株価64,659.47円+705.28円+1.10%
TOPIX4,003.28+11.57+0.29%
東証グロース市場250指数791.04-6.94-0.87%

日経平均は始値64,126円25銭、高値64,831円29銭、安値63,749円20銭でした。東証プライムの売買代金は13兆8,657億円、売買高は41億4,801万株と、TOPIXの定期銘柄入れ替えと浮動株比率見直しに伴うリバランス売買で大きく膨らみました。騰落銘柄数は値上がり734、値下がり779、変わらず38です。

日経平均を動かした主な要因

米株高とFOMC通過の安心感

28日の米国市場は主要3指数がそろって続伸しました。FOMCは市場予想通り政策金利を据え置き、連続利上げが見送られたことで安心感が広がりました。SKハイニックスの好決算を受けてフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は1.75%上昇し、東京市場でも半導体関連に買いが先行する下地ができていました。

アドバンテストの再上方修正

アドバンテストは前日に7-9月期の営業利益が2,668億円(前年同期比2.5倍)と市場予想の2,200億円程度を大きく上回ったと発表し、通期計画を8,460億円から9,670億円に引き上げました。第1四半期に続く2回目の上方修正で、1,100万株・2,800億円を上限とする自社株買いも公表しています。寄り付きから特別買い気配で始まり、終日AI関連の買いを刺激しました。

サムスン電子決算とKOSPIの急変

日経平均は前場中盤に800円超高まで上げ幅を広げましたが、サムスン電子の7-9月期決算がアナリスト予想を下回り、同社株が6%超急落してKOSPIがマイナスに転じると、東京市場も急速に失速しました。後場の寄り付き直後には63,749円まで沈み、一時はマイナス圏に沈む場面もありました。

TOPIXリバランスの需給

その後はKOSPIが落ち着きを取り戻したことに加え、大引けにかけてTOPIX連動ファンドのリバランス買いが入るとの思惑が支えとなり、14時過ぎには再び64,800円台まで戻して高値圏で引けました。前引けで続落していたTOPIXも、大引けではプラスを確保しています。

寄与度分析

区分銘柄株価前日比寄与度
押し上げ1位アドバンテスト37,030円+2,100円(+6.0%)+453.07円
押し上げ2位東京エレクトロン10,035円+230円(+2.3%)+116.30円
押し上げ3位ソフトバンクグループ4,765円+83円(+1.8%)+67.15円
押し下げ1位ファナック5,795円-113円(-1.9%)-19.05円
押し下げ2位日立製作所5,071円-549円(-9.8%)-18.51円
押し下げ3位コマツ6,300円-515円(-7.6%)-17.36円

値上がり132銘柄の寄与度合計は+921.95円、値下がり92銘柄は-216.67円でした。アドバンテストと東京エレクトロンの2銘柄だけで約569円分、上昇幅の8割を占めています。イビデン、ファーストリテイリング、フジクラ、村田製作所、キオクシアホールディングスも上位に並びました。

東証プライム騰落状況

値上がり734銘柄、値下がり779銘柄、変わらず38銘柄と、値下がりが上回りました。前日は値上がり434に対し値下がり1,096と極端に偏っていたので、広がりはやや改善したものの、指数の上昇に見合う買いの裾野はまだ戻っていません。

業種別では33業種中25業種が上昇、8業種が下落しました。業種数では上昇が優勢で、半導体以外にも金融や資源へ資金が向かった一方、決算失望を受けた機械・電気機器の値下がり銘柄数が全体の騰落数を押し下げた格好です。

業種別・テーマ別の動き

上昇セクター:銀行・証券・鉱業・非鉄金属

上昇率1位は銀行業の+2.54%、2位は証券業の+2.10%で、金融が上位を独占しました。三菱UFJ、みずほ、大和証券グループ、野村ホールディングスなどが高く、国内長期金利が2.8%台で高止まりするなか翌日の日銀会合を控えた思惑買いも入ったようです。原油高を背景にINPEX、石油資源開発などの鉱業は+1.98%、古河電気工業、フジクラなどの非鉄金属は+1.65%上昇しました。電力・ガスも+1.55%と堅調でした。

下落セクター:機械・電気機器

下落率1位は機械の-1.70%で、コマツ、日立建機、ファナック、ダイキン工業が売られました。電気機器は-1.16%で、日立製作所、NEC、TDK、キーエンス、ルネサスエレクトロニクス、ソニーグループなどが下落しています。AI向けの検査装置や基板には資金が集中する一方、汎用の電子部品や産業機械は決算を手掛かりに売られる二極化が鮮明でした。

新興市場

東証グロース市場250指数は5日ぶりに反落しました。値下がり356銘柄に対し値上がり175銘柄で、日銀会合を前にした利益確定売りが優勢でした。

為替・米国株・金利の影響

ドル円は15時時点で157円83銭と、ほぼ前日並みの水準でした。本日のレンジは157円60銭から158円06銭で、後場に日経平均が高値を更新した局面でも157円91銭前後までの戻りにとどまり、日銀会合を前に方向感の乏しい動きです。

28日の米国市場はNYダウが52,475.10ドル(+97.53ドル)、ナスダック総合が26,549.85(+72.04)、S&P500が7,743.98(+21.38)でした。米10年債利回りは5.02%と高水準を維持し、WTI原油先物は102.78ドル(+2.88ドル)まで上昇しています。原油高と金利先高観はハイテク株には重荷ですが、本日の東京では資源株と金融株の追い風として働きました。

個別決算・材料株

銘柄材料株価反応
アドバンテスト通期営業利益を9,670億円に再上方修正、2,800億円の自社株買い37,030円(+6.0%)
日立製作所通期を上方修正も純利益予想が市場予想平均の9,452億円に届かず5,071円(-9.8%)
コマツ14時30分に通期税引き前利益を5,480億円へ上方修正も期待未達6,300円(-7.6%)
NEC通期4,600億円へ上方修正も米CSG連結効果が主因で織り込み済み4,954円(-6.4%)
東京エレクトロンデバイス通期経常160億円へ再上方修正も7-9月期の収益水準が鈍化4,360円(-7.2%)
積水化成品工業通期営業利益を53億円へ上方修正、年間配当を17円から25円へ増配688円(ストップ高)
日清製粉グループ本社発行済株式の5.0%・200億円上限の自社株買い2,153円(+7.0%)
フタバ産業通期営業利益を190億円から180億円へ下方修正914円(-7.9%)

上方修正を出しても株価が急落する例が相次ぎ、市場が「修正幅がコンセンサスを上回るか」を厳しく見ていることがうかがえます。アドバンテストと日立の反応の差は、その基準をはっきり示しました。

テクニカル面

日足は3本連続の陽線で高値・安値を切り上げる「赤三兵」の形となり、5日移動平均線も上向きに転じました。10月6日の高値70,798円から23日の安値61,462円までの下げ幅に対する3分の1戻しを達成しており、次の目安は半値戻しの66,130円前後と25日移動平均線の66,180円です。現在の終値はなお25日線を下回っています。

上値のメドとしては、パラボリックの陽転値65,044円と、節目の65,000円、10月16日の高値65,712円が意識されます。下値のメドは本日安値の63,749円、その下は23日の安値61,462円です。RSIは確認できず、75日移動平均線の水準も本稿では確認できていません。

今後の日経平均の見通し

期間想定レンジ主な前提条件
翌営業日63,500円〜65,500円日銀会合は据え置きが市場予想、展望レポートと総裁会見の内容次第で金利・為替が動きやすい。アマゾン決算とキオクシア決算の反応
1ヶ月後61,000円〜68,000円決算シーズンの進展とAI投資への警戒感の行方。25日線回復なら66,000円台定着を試す余地、23日安値割れなら下値模索のリスク
1年後58,000円〜75,000円AI・半導体投資サイクルの持続性、日米金利差と円相場、企業の株主還元の継続

翌営業日は日銀会合の結果公表が昼ごろ、植田総裁の会見が15時30分と、取引時間中と引け後の両方にイベントがあります。市場が織り込む12月利上げの確率が上下すれば、銀行株と円相場を通じて指数にも影響しやすい局面です。あす朝のアマゾン決算で設備投資やAI事業の収益化が確認できれば半導体株には追い風となり、逆に慎重な内容なら上値を抑える要因になりえます。

今日の結論

一言でいえば「1銘柄が指数を引っ張り、決算が明暗を分けた選別相場」です。日経平均は3日続伸で64,000円台を取り戻しましたが、上昇の8割をアドバンテストと東京エレクトロンの2銘柄が担い、値下がり銘柄数は値上がりを上回りました。上方修正でも期待に届かなければ容赦なく売られる反応は、好決算銘柄への物色が続く一方で、指数全体の上値を重くする要因にもなりえます。あすは日銀会合とキオクシア決算を控え、どちらにも振れやすい一日です。通常版の記事はこちらからご覧ください。

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