15日の東京株式市場で日経平均株価は続伸した。前日比1008円01銭(1.49%)高の6万8751円51銭で取引を終えた。前日の米ハイテク株高に加え、オランダのASMLホールディングの好決算と韓国株の急伸が追い風となり、AI・半導体関連株が相場をけん引した。一方で米IBMの決算を受けてソフトウェア関連には売りが波及し、AI関連のなかでも明暗が分かれた一日だった。通常版の記事はこちらからご覧いただけます。
相場サマリー
| 指数 | 終値 | 前日比 | 騰落率 |
|---|---|---|---|
| 日経平均株価 | 68,751.51円 | +1,008.01円 | +1.49% |
| TOPIX | 4,088.12 | +49.14 | +1.22% |
| グロース250 | 確認できず | 確認できず | 確認できず |
東証プライムの売買代金は概算9兆5675億円、売買高は21億1839万株だった。値上がり銘柄数は1152(全体の7割強)、値下がりは371、変わらずは35だった。
日経平均を動かした主な要因
ASMLの好決算と通期見通しの上方修正
オランダの半導体製造装置大手ASMLホールディングは日本時間15日午後、2026年12月期通期の売上高見通しの上限を400億ユーロから450億ユーロへ引き上げたと明らかにした。あわせて公表した26年4〜6月期決算では売上高などが市場予想を上回り、7〜9月期の売上高見通しも市場予想を超えた。同社のクリストフ・フーケCEOは声明で、AIの急速な進化に伴って先端半導体の需要が高まるなか受注は好調だと説明した。半導体製造装置の需要が旺盛だとしてレーザーテクや東エレクが午後に一段高となり、日経平均も上げ幅を広げた。
アジアのハイテク株高
15日は台湾加権指数が堅調に推移したほか、半導体株の比重が大きい韓国総合株価指数(KOSPI)の上昇率は8%を超える場面もあった。前日の米市場でフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が2%あまり上昇した流れも重なり、過剰投資への懸念から売り込まれていたAI・半導体関連株には見直し買いが入った。
米CPIを受けた利上げ観測の後退
14日発表の6月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.5%上昇と、市場予想の3.8%上昇を下回った。「米国の利上げ観測が後退し、投資家心理が持ち直した」(大和アセットマネジメントの建部和礼チーフ・ストラテジスト)との指摘がある。米長期金利の低下がグロース株の追い風となった。
寄与度分析
以下は前引け時点の集計値。大引けの確定値とは差異が生じている可能性がある点にご留意いただきたい。
| 押し上げ銘柄 | 株価 | 前日比 | 寄与度(円) |
|---|---|---|---|
| アドバンテスト | 31,070円 | +1,295円 | +312.56 |
| 東エレク | 73,050円 | +1,920円 | +193.09 |
| キオクシアHD | 73,350円 | +4,250円 | +99.73 |
押し下げ側は、ソフトバンクG、ファーストリテ、リクルートHDが上位を占めた(円建て確定寄与度は確認できず)。
東証プライム騰落状況
値上がり1152銘柄に対し値下がりは371銘柄と、値上がりが全体の7割強を占めた。14日に好決算を発表した米金融大手ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースの株価が上昇したことを受け、東京市場では三菱UFJや野村が買われるなど、銀行や証券株の上げも目立った。半導体一辺倒ではなく、幅広い銘柄に資金が流入した一日といえる。
業種別・テーマ別動き
上昇した業種
非鉄金属、証券・商品先物取引業、ガラス・土石製品などが上昇率上位。ASML決算を材料とした半導体関連の物色に加え、米金融大手の好決算を受けた証券株への買いが目立った。
下落した業種
鉱業、情報・通信業、小売業などが下落。情報・通信業の軟調はIBMショックの波及によるものとみられる。
AI関連の「優勝劣敗」
米IBMは顧客企業がIT関連予算をAIインフラに絡むハードウエアへ優先して振り向けている傾向があると明かし、株価は前日比25%超安となった。東京市場でも富士通やNEC、野村総研などソフトウエア関連銘柄が軒並み下げ、日経平均は上げ幅を90円ほどに縮める場面もあった。東海東京インテリジェンス・ラボの長田清英チーフストラテジストは、日本でもソフトウエア投資が鈍るとの連想が働きやすかった点が投資家心理の重荷になったと話している。AI投資の恩恵がハードウエアに集中し、ソフトウエアが割を食うという構図が意識された格好だ。
為替・米国株・金利の影響
円相場は3営業日ぶりに反発した。米CPIを受けた早期利上げ観測の後退で米金利が低下し、円買い・ドル売りが優勢だった。14日のNY市場では一時161円60銭まで円高が進んだ。もっとも円の上値は重く、トランプ米大統領がイランのインフラ施設に再攻撃する可能性を示唆したことで米原油先物相場は1バレル80ドル台まで上昇。日本の貿易収支悪化を懸念した円売り・ドル買いも出た。なお、東京15時台の確定値は取得できておらず、参考として12時時点は1ドル=162円09〜10銭、17時時点は162円27〜28銭だった。
前営業日(7月14日、米国時間)のNYダウは前日比9.63ドル高の52,508.27ドル、ナスダック総合は233.83ポイント高の26,107.01で取引を終えた。ダウはIBMの急落が上値を抑えたものの、CPIを受けた利上げ観測の後退と金融株の好決算が支えとなった。
個別決算・材料株
| 銘柄・企業 | 材料内容 | 株価反応 |
|---|---|---|
| ASML(オランダ) | 通期売上高見通しの上限を450億ユーロへ引き上げ | 東エレク、レーザーテクなど日本の装置株が午後に一段高 |
| IBM(米国) | 暫定売上高が市場予想を下回り、CEOがインフラ事業の弱さを指摘 | 25%超安。日本のソフトウエア関連にも波及 |
| 三菱UFJ・野村 | 米金融大手の好決算を受けた連想買い | 銀行・証券株が上昇 |
テクニカル面
株探によれば、15日16時30分時点の25日移動平均線は6万9101円。日経平均の終値6万8751円はこの水準をやや下回っており、戻りを試す局面では同線が上値抵抗として意識される可能性がある。前日までの荒い値動きから一転して方向感が出た形だが、7月8日の安値6万6819円から約2000円戻した水準にあり、短期的な過熱感には留意が必要だ。
見通し
| 期間 | 想定レンジ | 主な前提条件 |
|---|---|---|
| 翌営業日 | 68,000円〜69,800円 | 米PPI・ベージュブックの内容、TSMC決算への期待、中東情勢 |
| 1ヶ月後 | 65,000円〜72,000円 | AI・半導体関連決算の内容、日銀の利上げ観測、原油価格の水準 |
| 1年後 | 60,000円〜78,000円 | 日米金利差の動向、AI投資サイクルの持続性、為替水準 |
今日の結論
「ASML好決算と韓国株急伸でAI・半導体が主導、IBMショックで進む優勝劣敗」。AI投資というテーマは健在ながら、その恩恵がハードウエアに偏り、ソフトウエアには逆風が吹くという色分けが鮮明になった一日だった。同じ「AI関連」でも銘柄によって明暗が分かれる局面が続く可能性があり、TSMC決算をはじめとする今後の決算内容が次の焦点となる。通常版の記事はこちらからご覧いただけます。
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