2026年6月の東京株式市場は、「史上最高値の更新」と「歴代級の暴落」が同じ1カ月の中に同居するという、記録ずくめの月となった。日経平均株価は5月末終値の66,329円50銭から、6月末(30日)終値の70,062円32銭まで、月間ではおよそ3,733円(+5.6%)の上昇で着地した。ただし、この「月間+5.6%」という数字だけを見ても、6月に起きたことはほとんど何も伝わらない。月の途中で日経平均は史上初めて終値で7万円台に乗せ、6月22日には史上最高値72,353円を記録する一方、歴代3位・5位級の暴落が立て続けに起きた。値幅の大きさこそが、この月の本質だった。

6月の全体像を数字で振り返る

節目水準・出来事
5月末終値(前月末)66,329円50銭
6月3日年初来高値68,786円49銭を一時更新後、スピード調整へ
6月8日−2,563円の急落(当時の歴代5位の下げ幅)で64,024円まで下落
6月18〜19日史上初めて終値で7万円台に到達(19日終値71,250円)
6月22日8営業日続伸で史上最高値72,353円を記録
6月26日−3,005円の暴落(歴代3位の下げ幅)で69,360円へ
6月末終値(30日)70,062円32銭
月間騰落約+3,733円(+5.6%)

ひと月の中で「史上最高値の更新」と「歴代3位の暴落」が両方起きたことが、6月相場のすべてを物語っている。上げも下げも記録級で、日々の値幅は2,000〜3,000円が当たり前という、極めて荒い1カ月だった。

6月の4大テーマ

① 史上初の7万円台と最高値72,353円

6月の最大の話題は、日経平均が史上初めて終値で7万円台に到達したことだ。月半ばの急騰局面で6月18〜19日にかけて7万円の大台を突破し、6月22日には8営業日続伸の勢いのまま史上最高値72,353円を記録した。年初来高値を更新した6月3日の68,786円から見ても、わずか3週間足らずで約3,500円上に水準を切り上げた計算になる。牽引役はAI・半導体関連の値がさ株で、「日経平均という指数を一部の巨大ハイテク株が動かす」構造が、上昇局面で鮮明に表れた。

② 歴代級の暴落が連続——AI相場の揺り戻し

一方で6月は、記録的な暴落が繰り返された月でもあった。6月8日には当時歴代5位となる−2,563円の急落を記録し、月末に近い6月26日には歴代3位の−3,005円の大暴落が発生した。背景にあったのは、急ピッチで上昇したAI・半導体株への過熱警戒感だ。ブロードコムの決算失望、韓国KOSPIの急落、AIバブル懸念、一部で報じられたOpenAIのIPO延期観測などが、そのつど利益確定売りの引き金となった。上昇のエンジンだったAI・半導体株が、下落局面では最大の重荷にもなるという、値がさ株相場の表と裏がはっきり出た。

③ 日銀の31年ぶり利上げと米イラン停戦

相場の急騰を後押ししたマクロ材料が、6月中旬に集中した。日銀が31年ぶりとなる利上げに踏み切り、同時期に米イランの戦闘終結合意、米FOMCといった重要イベントが立て続けに通過した。利上げは通常なら株価の重荷になりやすいが、地政学リスクの後退と重なったことで、市場はむしろ不透明感の解消を好感する形となった。国内長期金利は約30年ぶりの高水準まで上昇し、三菱UFJフィナンシャル・グループなどの銀行株が上場来高値を更新するなど、金利上昇の恩恵を受けるセクターも物色された。

④ キオクシアがトヨタ超え——時価総額の象徴的な交代

6月の熱狂を象徴する出来事として、半導体メモリー大手キオクシアホールディングスの時価総額が、一時トヨタ自動車を抜いて国内首位に浮上した場面があった。日本を代表する企業が長らく自動車メーカーだった時代から、AI・半導体が主役になりつつある——相場の物色テーマの移り変わりを、時価総額ランキングという分かりやすい形で示す象徴的な瞬間だった。もっとも、こうした熱狂は月末にかけての暴落で急速に冷やされることにもなった。

週ごとの流れで振り返る(週次ノートへ)

6月は週単位で相場の表情が大きく変わった。各週の詳しい値動きと材料は、以下の週次振り返りノートにまとめている。

  • 6月1〜5日:年初来高値更新後にスピード調整。ブロードコム失望売り
  • 6月8〜12日:今年最大の乱高下週。歴代5位の急落と大幅反発が交錯
  • 6月15〜19日:週間7,000円超の歴史的急騰、史上初の7万円台へ
  • 6月22〜26日:最高値72,353円の直後に歴代3位の暴落
  • 6月29〜7月3日:上半期の終わりと下半期の入り口。日銀短観35年ぶり高水準

7月以降に向けて

6月に日経平均が到達した7万円台は、AI・半導体という一部の値がさ株が牽引して実現した水準だ。だからこそ、そのセクターに過熱警戒が出れば指数全体が大きく揺れる、というもろさも併せ持っている。7月以降は、(1)AI・半導体株の需給が落ち着くか、(2)日銀の追加利上げ観測と国内金利の動向、(3)米国の金融政策と地政学リスク、という3点が引き続き相場の方向を左右しそうだ。日々の値動きは「今日の日本株ノート」で、大きな流れはこの月次まとめで、それぞれ追いかけていきたい。

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本記事の数値は各週の市場データにもとづく2026年6月時点の振り返りです。相場に関する記述は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任においてお願いいたします。