この記事では、2026年5月28日(木)の日本株相場について、日経平均の動きだけでなく、寄与度上位銘柄、東証プライム市場の騰落状況、業種別動向、為替・米国株・金利の影響まで詳しく振り返ります。

要点を短く確認したい方は、通常版の今日の日経ノートもあわせてご覧ください。

今日の相場サマリー

指数 終値 前日比 騰落率
日経平均 64,693円12銭 ▲306円29銭 ▲0.47%
TOPIX 3,902.01 ▲16.00pt ▲0.41%(3日続落)
JPXプライム150 1,636.86 ▲6.35pt ▲0.39%(3日続落)
東証プライム 売買代金 概算 10兆8,678億円
東証プライム 売買高 26億873万株
値上がり銘柄数 767(約49%)
値下がり銘柄数 747(約48%)

本日の日経平均は前日比306円安の64,693円で大引けを迎えました。朝方に米軍がイランの軍事施設を攻撃したとの報道が伝わると、リスク回避の売りが一気に広がり、前場のうちに下げ幅は一時1,100円超にまで拡大しました。ただし後場以降は先物への押し目買いや売り方の買い戻しが断続的に入り、大引けにかけて急速に下げ幅を縮小。最終的には▲306円と、最大下落幅の3分の1以下まで戻して引けています。前日(5月27日)に一時66,000円台を付けた高値圏から反落した形ですが、売り一巡後の底堅さも確認された一日となりました。

日経平均を動かした主な要因

① 米軍・イラン軍事応酬——「交渉期待」が一夜で逆回転

最大の売り材料は、日本時間28日朝に「米軍がイランの軍事施設を攻撃した」との報道が伝わったことです。午後にはイラン革命防衛隊が米空軍基地への攻撃を発表したと複数の海外メディアが報じ、双方による軍事行動の応酬が一気に表面化しました。

直近数週間、市場は米・イランの戦闘終結に向けた交渉進展を織り込む形で上昇を続けてきました。5月25日(月)には「ホルムズ海峡の開放と高濃縮ウランの処分をめぐり基本合意した」との報道も出ており、停戦期待を前提とした買いがAI・半導体株や日本株全体を押し上げてきた経緯があります。今回の軍事応酬はその期待を根底から覆す内容であり、投資家心理が急速に冷え込みました。

② 前日の米半導体株下落——AI株への利確圧力

5月27日(現地日付)の米国市場では、ゼットスケーラー(ZS)がキャッシュフロー・ガイダンスを下方修正したことを嫌気して▲31.52%の急落となり、メモリー価格を中心としたコスト・インフレへの懸念が半導体関連株全般に波及しました。主要3指数は小幅高で終えたものの、ダウ・S&P500・ナスダックはいずれも僅少な上昇にとどまり、半導体株の地合いは前日比で見劣りする形でした。このため、東京市場ではアドバンテスト・東エレク・SBGなど直近上昇ピッチが急だった値がさAI・半導体株に利益確定売りが重なりました。

③ 翌29日のMSCIリバランス警戒

翌5月29日(金)の大引けで、米MSCI「グローバルスタンダード指数」の定期入れ替えが実施されます。構成銘柄の変更に伴う機械的な売買が発生する可能性があり、一部の参加者がこのイベント前に持ち高を調整する動きに出たことも相場の重荷となりました。

④ 押し目買いによる下げ渋り

後場以降は短期筋による先物への押し目買いが断続的に入り、日経平均は急速に下げ幅を縮小しました。前日の米主要3指数が最高値水準を維持していたこと、また太陽誘電・村田製作所など電子部品株に「AI拡大の恩恵を受ける銘柄」として買いが入ったことも、下値を支えた要因です。中東情勢の悪化は材料となりましたが、AIサイクル自体への疑問は市場に広がっておらず、押し目買いの意欲は維持されています。

寄与度分析——今日の日経平均を動かした銘柄

13時38分時点の株探データをもとに、主要な寄与銘柄を整理します(大引け確定値は要確認)。

押し下げ寄与(値下がり上位)

銘柄 コード 株価(13:38時点) 前日比 騰落率
SBG 9984 6,966円 ▲306円 ▲4.21%
アドバンテスト 6857 26,165円 ▲965円 ▲3.56%
古河電気工業 5801 51,200円 ▲4,910円 ▲8.75%
住友金属鉱山 5713 8,772円 ▲836円 ▲8.70%
レーザーテック 6920 39,210円 ▲2,320円 ▲5.59%
フジクラ 5803 4,860円 ▲280円 ▲5.45%
キオクシア 285A 58,180円 ▲2,370円 ▲3.91%
ディスコ 6146 65,130円 ▲2,500円 ▲3.70%
イビデン 4062 19,705円 ▲720円 ▲3.53%
東エレク 8035 51,840円 ▲660円 ▲1.26%

SBGは前日27日に上場来高値を更新する場面があったものの、大引けにかけ失速していた流れが本日さらに加速。中東ショックに加え、直近の急騰ピッチへの警戒感から利益確定売りが一段と強まりました。SBGは日経平均への寄与度が大きい銘柄のため、1銘柄だけで指数を200〜300円以上押し下げた計算になります。非鉄金属セクターでは古河電気工業・住友金属鉱山がともに8%超の大幅安となりました。

押し上げ寄与(値上がり銘柄)

太陽誘電・村田製作所など電子部品株が「AI需要拡大の恩恵」として買われ、下値を支えました。日経記事によれば、これらの銘柄への買いが日経平均の下げ渋りに貢献しています。

東証プライム騰落状況

値上がり767銘柄(約49%)・値下がり747銘柄(約48%)と、拮抗した結果となりました。中東ショックで朝方は全面安に近い状況でしたが、後場の買い戻しで最終的には値上がり・値下がりがほぼ五分五分に落ち着いています。売買代金は10兆8,678億円と高水準を維持しており、乱高下の中でも売買参加者は多く、市場としての厚みは保たれています。

前日(5月27日)は値上がり720・値下がり790と若干売りが優勢でしたが、TOPIXは3日続落となっており、内需・大型株には引き続き調整圧力がかかっています。日経平均の下落率(▲0.47%)とTOPIXの下落率(▲0.41%)が近似していることは、今日に関しては値がさAI株の下落だけでなく、幅広い銘柄への売りが出た面もあることを示しています。

業種別・テーマ別動向

大幅安セクター

非鉄金属が特に目立った下落となりました。古河電気工業が約▲8.75%、住友金属鉱山が約▲8.70%と揃って大幅安。中東緊張再燃による景気減速懸念や銅・貴金属の先行き不透明感が背景とみられます。

半導体・半導体製造装置は前日の米半導体株軟化に加え、今日の中東リスク再燃で二重の売り圧力を受けました。アドバンテスト・レーザーテック・ディスコ・フジクラ・イビデン・東エレクが軒並み3〜6%の下落となっています。

情報・通信(SBG関連)はSBGの急落が重石となりました。SBGはOpenAI IPO期待を背景に急騰していた反動もあり、一日で4%超の下落となっています。

相対的に底堅かったセクター

電子部品(太陽誘電・村田製作所など)は押し目買いが入り、相対的な強さを見せました。AI・データセンター需要を背景にMLCC(積層セラミックコンデンサ)の値上げ期待が続いており、「AI拡大の恩恵を受ける銘柄群」として物色が継続しています。

為替・米国株・金利の影響

為替(ドル円)

本日の東京市場でドル円は、米軍のイラン攻撃報道を受けてドル高が優勢となり、一時159.65円まで上昇する場面がありました。ただしイラン側の報復攻撃が報じられると、中東リスク全般への警戒からクロス円で円買いも見られ、ドル円の上昇は限定的にとどまりました。15時30分時点の確定値は要確認ですが、159円台前半〜半ば程度で推移したとみられます。

米国株(5月27日)

指数 終値 前日比 騰落率
NYダウ 50,644.28ドル +182.60ドル +0.36%
S&P500 7,520.36 +1.24pt +0.02%
ナスダック 26,674.73 +18.55pt +0.07%

前日の米国市場(5月27日現地日付)は、ダウが+182ドルと小幅ながら主要3指数は最高値水準を維持して終えました。ただし上昇の中身はまちまちで、一般消費財(+1.89%)や生活必需品(+0.97%)が牽引した一方、エネルギー(▲1.52%)・金融(▲0.82%)が重荷となっています。また、ゼットスケーラー(ZS)が業績ガイダンス下方修正で▲31.52%と急落しており、ハイテク・クラウドセクターには慎重な見方も出始めています。ホワイトハウスがイランとの合意内容を否定したことで、米国株市場内でも午前中には一時反落する場面がありました。

日本長期金利

前日5月27日の10年国債利回りは2.685%と、前日比▲0.035%の低下でした。米原油先物の上昇一服と米金利低下が波及した形です。本日28日は中東再緊迫により原油・インフレ懸念が再浮上しており、金利には上昇方向の圧力がかかりやすい状況にあります。当日の確定値は要確認です。

日銀については、5月27日に植田和男総裁が「6月の利上げを強く示唆する内容ではなかった」との受け止めから、銀行株に売りが入る場面がありました(前日の動き)。氷見野良三副総裁は利上げ継続に前向きな姿勢を示しており、6月会合(18〜19日)に向けた思惑が引き続き金利・株式市場の変動要因となっています。

個別銘柄・注目の動き

銘柄 動向 材料・コメント
SBG(9984) 急反落 ▲4%超 前日に上場来高値を連日更新後に失速、今日は中東ショック+利確が重なり急落。OpenAI IPO期待は依然根強いが、短期的な調整局面入りの可能性
キオクシア(285A) ▲3.91% 前日も売り優勢。モメンタム主導の買いが剥落し調整。好業績・決算は変わらないが、需給面での重荷が続く
古河電気工業(5801) ▲8.75% 非鉄金属セクター全般安。中東情勢による景気減速懸念と銅価格への影響が売り材料
住友金属鉱山(5713) ▲8.70% 同上。貴金属・非鉄金属の需要見通し悪化を警戒した売りが集中
太陽誘電(6976) 相対的に堅調 MLCC値上げ期待・AI需要取り込みで電子部品株として底堅く推移。下げ渋りに貢献
村田製作所(6981) 相対的に堅調 同上。電子部品の需要底堅さが評価され、押し目買いが入る

テクニカル面の確認

日経平均は5月25日(月)に初めて65,000円台に乗せ、連日で最高値を更新してきました。直近の動きを振り返ると、5月22日の高値圏から調整と上昇を繰り返しながら水準を切り上げてきており、25日移動平均線との乖離も拡大していました。

本日の終値64,693円は、5月27日の前日終値64,999円を下回りましたが、5月26日の64,996円とほぼ同水準での引けとなっています。65,000円付近のレジスタンスを突破した後の「節目固め」の局面とも解釈できます。一時▲1,100円超という急落が▲306円で収まったことは、押し目買いの厚さを示しており、上昇トレンド自体が崩れたとは言えない状況です。

一方で、高値から短期間に1,000円以上の振れ幅が生じていることは、過熱感の存在を物語っています。次の注目水準は、終値で65,000円を明確に維持できるかどうかです。

今後の見通しと注目ポイント

シナリオ 翌営業日(5/29)の想定レンジ 1ヶ月後(6月末)の想定レンジ 1年後(2027年5月)の想定レンジ
強気 65,000〜66,000円 65,000〜68,000円 70,000〜75,000円
基本 64,000〜65,500円 62,000〜66,000円 65,000〜70,000円
弱気 62,500〜64,500円 58,000〜63,000円 58,000〜64,000円

翌5月29日(金)の最大注目:MSCIリバランス

大引けでMSCI「グローバルスタンダード指数」の定期入れ替えが実施されます。構成銘柄の変更に伴う機械的な売買が大引けにかけて集中する可能性があり、関連銘柄では通常より大きな値動きが生じることがあります。前日からリバランスを見越した動きが出ており、翌日の需給動向に注意が必要です。

米・イラン情勢の行方

今日の相場急落の直接原因となった米軍・イランの軍事応酬が、外交交渉に向かうのか、さらなるエスカレーションに至るのかが最大の焦点です。仮に双方が交渉再開に動き、ホルムズ海峡の再開方向が見えてきた場合は、原油価格の下落・リスクオン回帰として日本株の強い支援材料となります。反対に軍事応酬が続く場合は、原油高・インフレ懸念の再燃から金利上昇・株安のシナリオが意識されます。

日銀の金融政策(6月18〜19日会合)

植田総裁は27日の発言で6月利上げを強く示唆しませんでしたが、氷見野副総裁は利上げに前向きな姿勢を維持しています。原油価格動向がインフレ見通しを左右するため、中東情勢と日銀政策が連動して意識される局面が続きます。

米国PCEデフレーター(5月30日発表)

FRBの利下げ観測を左右するインフレ指標の発表が翌々日に控えています。予想を上回る場合は米金利上昇・ドル高・日本株への下押し圧力となり、下回る場合は利下げ観測強化による株価支援材料となります。

OpenAI IPO申請の動向

SBGの株価を動かす最大の材料として引き続き注視が必要です。OpenAIがIPOを正式申請した場合、SBGの株価は再び大きく反応する可能性があります。

今日の結論

本日の日本株は、米軍によるイランの軍事施設攻撃という予期せぬニュースによって、一時1,100円超の急落に見舞われました。中東情勢が再燃し、直近数週間の株高を支えてきた「停戦期待」シナリオが揺らいだ形です。

ただし、下げ幅が最終的に▲306円まで急速に縮小したことは注目に値します。AI・半導体サイクルへの期待は維持されており、押し目では買いが入る構造は変わっていません。電子部品株が底堅かったことも、AI需要への信頼感の継続を示しています。

今後の相場の行方を占うのは、何よりも中東情勢の進展です。軍事的緊張が早期に緩和され、ホルムズ海峡問題が解決に向かえば、再び65,000円超えを目指す展開も想定できます。一方、応酬が長引くようであれば、原油高・インフレ・金利上昇の三重苦が意識され、さらなる調整を余儀なくされる可能性もあります。翌29日のMSCIリバランスによる需給の変化も含め、週末にかけての値動きを慎重に見ていきたいところです。

本日の相場についての詳細は、通常版の今日の日経ノートもご参照ください。

■ 抜粋 2026年5月28日の日本株は、米軍とイランの軍事応酬が伝わり一時▲1,100円超の急落。終値は▲306円の64,693円と急速に下げ渋りました。AI・半導体株が全面安の一方、電子部品株が底堅く、中東リスク再燃と押し目買いが交錯した乱高下の1日でした。

■ タグ 日経平均, 日本株, 中東情勢, イラン, AI株, 半導体株, 東京市場, 相場振り返り

■ カテゴリー deep

■ 編集者メモ ・寄与度数値は株探13:38時点のデータを使用。大引け後の確定値への更新が必要。 ・ドル円15:30時点の確定値は未取得(159円台前半〜半ばと推定)。公開前に要確認。 ・日本長期金利(10年国債)の当日終値は未確認。前日2.685%から変化あり次第更新。 ・WTI原油当日価格は未確認。中東再緊迫により高止まりとみられる。 ・MSCIリバランス翌29日の影響については、28日大引け段階では不明なため翌日更新の可能性あり。 ・米国株(5月27日終値):ダウ50,644ドル・S&P500 7,520・ナスダック26,674は確認済み。 ・通常版URLは https://nikkei-note.com/blog/20260528-nikkei/ で設定済み。

3
短く確認する(約3分)
【2026年5月28日】今日の日本株ノート|中東再燃で一時1100円超急落、押し目買いで306円安に下げ渋る

日経平均を毎日チェックするなら、見やすい証券アプリを選ぶことも大切です。相場確認に使いやすいアプリの選び方をまとめた記事も、参考にしてみてください。