7日の東京株式市場で日経平均株価は大幅続伸し、前週末比1378円90銭(2.12%)高の6万6399円84銭で取引を終えました。心理的節目の6万6000円台回復は9月1日以来4営業日ぶりです。ただし東証プライム市場では値下がり銘柄が56.9%と過半を占めており、指数の上昇率ほど市場全体が買われたわけではありません。ソフトバンクグループ・アドバンテスト・東京エレクトロン・キオクシアHDの4銘柄だけで日経平均を約1212円押し上げた、極端に偏りのある一日でした。
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相場サマリー
| 指数 | 終値 | 前営業日比 | 騰落率 |
|---|---|---|---|
| 日経平均株価 | 66,399.84円 | +1,378.90円 | +2.12% |
| TOPIX | 4,125.80pt | +22.57pt | +0.55% |
| JPXプライム150 | 1,727.37pt | +11.22pt | +0.65% |
| 東証グロース市場250指数 | 確認できず | 確認できず | 反落 |
日経平均の始値は6万5600円42銭、高値は前場終盤につけた6万6668円71銭でした。東証プライム市場の売買代金は8兆377億円、売買高は20億2987万株です。
日経平均を動かした主な要因
米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)の逆行高
最大の要因は前週末4日の米国市場です。NYダウは271ドル安、ナスダック総合は77ポイント安と主要指数が下落するなかで、SOX指数だけが3.37%高と逆行して上昇しました。この「半導体だけが買われる」というセクター選別が、そのまま東京市場に持ち込まれています。
マイクロンのHBM増産報道
米マイクロン・テクノロジーが、AI需要の強まりを背景に高帯域幅メモリー(HBM)の製造能力を年内に倍増すると報じられました。メモリ需給の逼迫観測がキオクシアHDやイビデンといった関連銘柄に直結しています。あわせて米S&Pグローバルが4日にサンディスクのS&P100指数採用を発表したことも、共同開発先であるキオクシアの買い材料となりました。
アジアの半導体株高
7日のアジア市場では、半導体株のウエートが高い韓国総合株価指数(KOSPI)が4.61%高、台湾加権指数も堅調に推移しました。この流れを受け、ソフトバンクグループやキオクシアHDは午後に一段高となる場面がありました。
上値を抑えた要因
一方で、前週末に発表された米8月雇用統計の非農業部門雇用者数が16万2000人増と市場予想(5万人台)を大幅に上回り、9月の米利上げ観測が再燃しています。ニッセイ基礎研究所の前山裕亮・上席研究員は、FRBの金融政策の不透明感などから日経平均が積極的に上値を追う動きは限られたとの見方を示しています。後場は6万6300円前後での保ち合いにとどまりました。
寄与度分析
プラス寄与の上位3銘柄で日経平均を約1093円、上位5銘柄で約1328円押し上げています。上昇分1378円90銭のほぼ全てが値がさ半導体・AI関連で説明できる構図です。
| 区分 | 銘柄 | 終値 | 騰落率 | 寄与度 |
|---|---|---|---|---|
| 押し上げ1位 | ソフトバンクG〈9984〉 | 6,217円 | +11.22% | +504.44円 |
| 押し上げ2位 | アドバンテスト〈6857〉 | 34,480円 | +4.20% | +335.49円 |
| 押し上げ3位 | 東京エレクトロン〈8035〉 | 55,840円 | +4.73% | +253.43円 |
| 押し下げ1位 | コナミG〈9766〉 | 20,775円 | ▲3.37% | ▲24.30円 |
| 押し下げ2位 | 中外製薬〈4519〉 | 6,564円 | ▲3.40% | ▲23.23円 |
| 押し下げ3位 | バンダイナムコHD〈7832〉 | 5,344円 | ▲3.97% | ▲22.23円 |
押し下げ側は上位2銘柄合計でも約47円にとどまり、押し上げ側との規模の差が際立ちます。なお押し上げ4位はキオクシアHD(+118.97円)、5位はイビデン(+115.65円)でした。
東証プライム騰落状況
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 値上がり銘柄比率 | 40.7% |
| 値下がり銘柄比率 | 56.9%(850銘柄超) |
| 東証33業種 | 上昇17業種/下落16業種 |
| 日経平均採用225銘柄 | 値上がり105/値下がり120/変わらず0 |
注目したいのは、日経平均の採用銘柄に限っても値下がりが120銘柄と値上がりを上回っている点です。それでも指数が2.12%上昇したのは、株価水準の高い値がさ株が集中的に買われたためです。業種別も17勝16敗とほぼ拮抗しており、相場全体に買いが広がったとは言えません。
業種別・テーマ別動き
上昇:海運・ガラス土石・電気機器・非鉄金属
上昇率上位には海運業、ガラス・土石製品、電気機器、非鉄金属が並びました。海運と非鉄は、WTI原油が1バレル91ドル台で高止まりしていることを受けた市況関連への資金流入が背景とみられます。商社にも波及し、伊藤忠商事が2.75%高、三菱商事が1.80%高となりました。
下落:水産農林・医薬品・銀行・サービス業
下落側は水産・農林業、医薬品、銀行業、サービス業でした。医薬品は中外製薬、大塚HD、アステラス製薬、第一三共と主力が軒並み安。ディフェンシブ株から成長株へ資金が移った形です。
SaaS・ITサービス株の集中売り
プライム市場の値下がり率上位はSansan(▲8.44%)、ラクス(▲7.45%)、マネーフォワード(▲7.29%)、SHIFT(▲5.91%)と、SaaS・ITサービス銘柄が占めました。前週末の米市場でソフトウエア・サービスセクターが下落しており、「半導体は買い、ソフトウエアは売り」という米国のセクター選別が忠実に再現されています。
為替・米国株・金利の影響
| 項目 | 水準 | 時点 |
|---|---|---|
| ドル円 | 155.80円 | 9月7日 東京15時 |
| NYダウ | 53,414.25ドル(▲271.86) | 9月4日終値 |
| NASDAQ総合 | 26,506.99(▲77.07) | 9月4日終値 |
| 米10年債利回り | 4.785%(+0.015) | 9月4日 |
| WTI原油 | 91.48ドル(+0.18) | 9月4日終値 |
ドル円は12時時点の156円19銭から15時には155円80銭へと円高方向に振れました。日銀が9月17〜18日の金融政策決定会合で追加利上げに動くとの観測が根強く、円買い圧力が続いています。円高は本来、輸出関連の重荷であり、トヨタ自動車は0.49%高と小幅にとどまりました。半導体関連の買いが円高の影響を上回った一日と整理できます。
米長期金利は雇用統計の強さを受けて4.785%まで上昇しました。通常であればグロース株の逆風ですが、メモリ需給というファンダメンタルズ材料が金利要因を上回りました。なお7日の米国市場はレーバーデーで休場です。
個別決算・材料株
| 銘柄 | 材料 | 株価反応 |
|---|---|---|
| ソフトバンクG〈9984〉 | 半導体・AI関連への連想買い、売買高8363万株 | +11.22% |
| キオクシアHD〈285A〉 | マイクロンHBM増産報道、サンディスクのS&P100採用 | +9.31% |
| イビデン〈4062〉 | AIサーバー向けパッケージ基板への需要期待 | +8.42% |
| カナモト〈9678〉 | 第3四半期の営業利益が31.6%増の154億円 | 確認できず |
| 大和ハウス工業〈1925〉 | 新築戸建てを23道県から撤退、都市圏へ集中 | 確認できず |
| Sansan〈4443〉 | 米ソフトウエア株安の流れを受けた売り | ▲8.44% |
決算シーズンのピークを外れており、指数を動かすような大型決算の発表はありませんでした。東証全体でストップ高は7銘柄、ストップ安は0銘柄です。
テクニカル面
上値抵抗線として意識されてきた25日移動平均(4日時点で6万6067円)を明確に上抜けました。T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジストは、この水準を上回ったことに意外感があるとしつつ、4〜6月期の良好な決算を受けた日本株の先高観の高さを示したとの見方を示しています。
次の焦点は6万6000円台に位置する75日移動平均線です。ここを明確に上抜けられるかどうかが当面の分かれ目になります。上値メドとしては6月22日につけた年初来高値7万2831円73銭が、下値メドとしては直近安値圏の6万5000円割れが意識されやすい水準です。
今後の見通し
| 期間 | 想定レンジ | 主な前提条件 |
|---|---|---|
| 翌営業日 | 65,700円〜67,000円 | 米国市場の再開後の反応。半導体物色が続けば75日線上抜けを試す一方、SBGの急騰の反動売りが出れば上値は重い |
| 1ヶ月後 | 63,000円〜70,000円 | 9月のFOMCと日銀会合の結果。日米の金融政策が同時に引き締め方向へ傾けば調整、日銀が慎重姿勢なら上振れ余地 |
| 1年後 | 58,000円〜80,000円 | AI・半導体投資サイクルの持続性、中東情勢と原油価格、円相場の水準 |
いずれも断定的な予測ではなく、前提条件が変われば大きく振れうる想定レンジです。特に今週は米消費者物価指数(CPI)の発表が控えており、結果次第でどちらにも動きやすい局面が続きそうです。
今日の結論
今日の相場を一言で表すなら、「値下がり銘柄が過半でも、半導体4銘柄が指数を1200円押し上げた偏りの一日」です。
日経平均の2.12%高という数字だけを見ると全面高に見えますが、TOPIXは0.55%高にとどまり、東証プライムの半数以上の銘柄は下落しています。この乖離こそが、指数と実感のズレを生む「寄与度」という仕組みそのものです。保有銘柄が上がらなかったとしても、それは決して珍しいことではありません。
より簡潔にその日の相場をつかみたい方は、通常版の記事もあわせてご覧ください。
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