8月20日の東京株式市場で、日経平均株価は前日比890円37銭高の6万6216円79銭となり、3営業日ぶりに反発しました。米財務省が国債の買い入れ消却(バイバック)の増額を発表したことで日米の長期金利が急低下し、株式に資金が戻っています。東証プライムの値上がり比率は84.8%と、今週で最も広い上昇でした。

ところが、その中で東京エレクトロン、イビデン、京セラ、村田製作所、レーザーテックといった半導体・電子部品は下落しています。今週ずっと指数を振り回してきた主役が、上昇日には参加していない。この記事では、その入れ替わりが何を意味するのかを整理します。通常版の記事はこちらからご覧いただけます。

相場サマリー

指数終値前日比騰落率
日経平均株価66,216.79円+890.37円+1.36%
TOPIX4,059.73pt+47.42pt+1.18%
グロース250指数先物765pt+31pt確認できず

幅広い銘柄に買いが先行して始まり、前場中盤に本日高値6万6325円32銭をつけました。心理的節目の6万6000円台を回復すると戻り待ちの売りも出て、後場は6万6100円から6万6200円付近を中心にもみ合っています。始値と安値は確認できませんでした。東証グロース市場指数、同250指数はそろって大幅に3日ぶり反発しています(現物終値は確認できず)。

項目数値
東証プライム 売買代金概算8兆6,034億円(前日10兆1,151億円)
東証プライム 売買高22億5,115万株
値上がり/値下がり84.8%/13.1%
日経225構成銘柄の騰落値上がり182/値下がり42/変わらず1
ストップ高/ストップ安7銘柄/0銘柄

日経平均を動かした主な要因

今週の相場を反転させた材料は、米財務省の技術的な一手でした。19日、国債の買い入れ消却の1回あたりの上限額を20億ドルから少なくとも40億ドルに引き上げると発表。対象は10〜20年債と20〜30年債で、期間は11月4日までです。18日に30年物米国債利回りが19年ぶりの5.34%をつけた直後だけに、超長期金利の押し下げを狙った措置とみられています。

これを受けて米長期金利は一時、前日比0.07%低い4.63%まで低下。流れは国内にも波及し、20日の新発10年物国債利回りは一時2.83%と前日比0.065%低下しました。18日の2.945%からは0.115%の低下です。超長期ゾーンの戻りはさらに大きく、新発30年債は9.5ベーシスポイント低い3.985%、新発20年債は8.5ベーシスポイント低い3.69%となりました。

もうひとつは、単純な売られすぎの反動です。日経平均は18日と19日の2営業日で3900円近く下げていました。値ごろ感を意識した買いが幅広い業種に広がり、自動車や建設など売り込まれてきた銘柄にも資金が向かっています。韓国のKOSPIが5.89%高と急反発したことも心理を後押ししました。

寄与度分析——今週で最も「薄く広い」上昇

区分銘柄寄与度株価騰落率
押し上げ1位ソフトバンクG(9984)+128.72円+3.06%
押し上げ2位ファーストリテイリング(9983)+107.81円+1.79%
押し上げ3位アドバンテスト(6857)+82.06円+0.97%
押し下げ1位東京エレクトロン(8035)▲64.36円▲1.17%
押し下げ2位イビデン(4062)▲37.88円▲2.87%
押し下げ3位京セラ(6971)▲19.85円▲2.03%

ソフトバンクGとファーストリテイリングの2銘柄で約236円。指数上昇幅890円37銭の約27%にとどまります。上位5銘柄まで広げても約430円で、上昇幅の約48%です。

この数字が今週で最も重要かもしれません。8月17日は上位5銘柄だけで上昇幅の140%を稼いでいました。本日は48%。値上がりした182銘柄の寄与度合計が+1053.77円、値下がり42銘柄が▲163.40円で、多くの銘柄が薄く広く指数を押し上げています。集中度が低いということは、それだけ相場の足腰が広いということです。

東証プライム騰落状況——4日間で4通りの相場

今週の4営業日を並べると、日経平均という指数の性格がよく見えてきます。

項目8/17(月)8/18(火)8/19(水)8/20(木)
日経平均+0.74%▲2.54%▲3.16%+1.36%
TOPIX▲0.31%▲1.05%▲3.09%+1.18%
プライム値上がり比率約40%46.4%23%84.8%
上位5銘柄の寄与度集中率上昇幅の140%下落幅の66%下落幅の54%上昇幅の48%
NT倍率16.54倍16.29倍16.28倍16.31倍
相場の性格指数だけ上昇指数だけ下落全面安全面高

値がさ半導体株と市場全体の関係が、4日間で4通り現れたことになります。指数だけが動く日、市場全体が動く日、そして本日のように指数が上がったのに主役だった半導体は下がる日。日経平均という指数を読むときに、終値の増減だけでは足りない理由がここにあります。前日までの経緯は19日の深掘りノートもあわせてご覧ください。

業種別・テーマ別の動き

上昇したセクター

輸送用機器が上昇率トップ。トヨタ自動車が+4.25%、ホンダが+4.78%です。注目したいのは、この日ドル円が円高方向に振れていたことです。朝方は1ドル=158円10銭台と、前日15時30分頃と比べて1円ほど円高に振れていました。円高局面で自動車株が買われるのは通常と逆で、それだけ売られすぎの反動が強かったことを示します。

電気・ガス業、医薬品が続きました。医薬品は今週4日間すべてで上昇上位に入った唯一のセクターです。金利上昇の日も、全面安の日も、全面高の日も買われ続けました。ほかに住友金属鉱山が+10.76%と急反発し、19日に下落率トップだった非鉄金属が戻しています。

下落したセクター

鉄鋼、銀行業、保険業が下落。金利低下が逆風となりました。三菱UFJは▲0.89%、MS&ADは▲1.79%です。銀行株の解釈は、18日は「金利上昇=利ざや改善」で買われ、19日は「金利低下とリスクオフ」で売られ、本日は「金利低下」で売られました。3日連続で読み方が変わっています。

そして半導体・電子部品です。マイナス寄与上位10銘柄のうち8銘柄がこのセクターでした。前日の米国市場でも、セクター別では医薬品・バイオが上昇した一方、銀行や半導体・同製造装置が下落しています。米紙が18日夜、米オープンAIの4〜6月期売上高が67億ドルで、アンソロピックの同四半期(116億ドル)に届かなかったと報じたことが尾を引いた形です。

為替・米国株・金利

ドル円は東京時間15時時点で1ドル=158円63銭。前日の159円29銭から円高が進みました。前日のドル円は終値ベースで約0.9%下落しており、本日早朝には8月10日以来の158円03銭前後まで円高に振れる場面もあっています。東京時間は前日の反動で買い戻しが優勢となり、一時158円73銭まで戻しました。160円の節目に対する介入警戒感は後退しています。

指標水準基準日
NYダウ53,463.05ドル(+119.65ドル、+0.22%)2026-08-19
NASDAQ総合26,331.09pt(+41.38pt、+0.16%)2026-08-19
米10年債利回り一時4.63%(前日比▲0.07%)2026-08-19
日本10年債利回り一時2.83%(前日比▲0.065%)2026-08-20
日本30年債利回り3.985%(▲9.5bp)2026-08-20
WTI原油85ドル台2026-08-20

ただし米国株の上値は重いままでした。19日はダウが一時366ドル高まで上げたものの、終値では119ドル高。7月28〜29日開催分のFOMC議事要旨で「多くの参加者が、インフレ率が低下しなければ、政策の引き締めが必要になる可能性が高いと評価した」と記されたことが響いています。金利低下は株高につながりましたが、その金利低下自体が財務省の技術的な措置によるものだという点は、押さえておきたいところです。

個別決算・材料株

銘柄材料株価反応
ティアフォー(355A)自動運転関連として物色+16.99%(1,033円)
メタプラネット(3350)ビットコインが7万ドル近くに反発+16.06%(253円)
住友金属鉱山(5713)非鉄・資源関連の買い戻し+10.76%(10,630円)
キオクシアHD(285A)前日▲12.60%からの反発+6.01%(52,950円)
さくらインターネット(3778)—▲8.81%(プライム値下がり率首位)
7月貿易統計貿易赤字6,345億円で1年前の4倍。円安で原油輸入単価は78%高い水準市場の反応は限定的

企業の決算発表は一巡し、ストップ高7銘柄・ストップ安ゼロと、材料株を中心とした物色が続いています。同じ半導体関連でもキオクシアHDが+6.01%と反発する一方、東京エレクトロンやイビデンは下げており、メモリーと製造装置で明暗が分かれました。

テクニカル面

本日高値6万6325円32銭、終値6万6216円79銭。19日安値6万5133円98銭から1000円あまり戻したものの、8月14日の高値6万9608円からはなお3400円近い距離があります。上値のメドは本日高値と6万7000円、下値は19日安値と6万5000円です。

バリュエーション面では、8月13日時点の日経平均EPS予想が3892円、PERは17.55倍。最高値をつけた6月22日の18.85倍とは距離があるとの指摘が出ています。25日移動平均線からの乖離率、日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は確認できませんでした。

今後の見通し

期間想定レンジ主な前提条件
翌営業日65,500円〜67,500円朝の7月全国CPI次第。上振れすれば長期金利の再上昇と半導体株への逆風が意識される一方、落ち着けば買い戻しが続きやすい
1ヶ月後62,000円〜70,000円8月26日のエヌビディア決算、8月27〜29日のジャクソンホール会合でのウォーシュFRB議長講演、9月の日銀会合
1年後57,000円〜79,000円AI関連投資の資金調達環境と企業業績、日米の金利水準、中東情勢と原油価格の動向

今日の結論

「戻したのは相場全体、戻らなかったのは主役」——上位5銘柄の寄与度が今週最も低い日。

890円高という数字より、値上がり比率84.8%と寄与度集中率48%という2つの数字のほうが、本日の性質をよく表しています。上げを作ったのは特定の値がさ株ではなく、売られすぎていた自動車・医薬品・内需・非鉄という広い層でした。一方で、今週ずっと指数を動かしてきた半導体・電子部品は下げています。ただし金利低下の源が米財務省の技術的な措置である以上、これが対症療法にとどまるのかどうかは、明日の全国CPIと来週のジャクソンホールを見てからの判断になりそうです。

1日の値動きを手早く押さえたい方は、通常版の日経ノートもあわせてご覧ください。

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【2026年8月20日】今日の日本株ノート|890円高で3日ぶり反発、プライムの8割超が上昇
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