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相場サマリー

指数 終値 前日比 騰落率
日経平均株価 59,804円41銭 ▲746円18銭 ▲1.23%
TOPIX 3,791.65 ▲59.02pt ▲1.53%
JPXプライム150 1,590.50 ▲27.78pt ▲1.72%
ドル円(15時56分時点) 158.99円 ▲0.09円
NYダウ(前日終値) 49,363ドル88セント ▲322ドル24セント ▲0.65%
ナスダック総合(前日終値) 25,870.71 ▲220.02 ▲0.84%
市場データ 数値
東証プライム売買代金 9兆5,429億円
東証プライム売買高 27億8,314万株
値上がり銘柄数 263銘柄(約16%)
値下がり銘柄数 1,283銘柄(約81%)
変わらず 22銘柄

日経平均を動かした主な要因

20日の東京市場は、一言で言えば「金利高がAI相場を逆回転させた一日」だった。世界的な長期金利の急騰が、これまで相場をけん引してきたAI・半導体・電線株に容赦ない売りをぶつけ、日経平均は5日続落。終値は59,804円41銭と、節目の6万円を3週間ぶりに割り込んだ。5日続落は今年1月以来のことだ。

前日19日に米30年物国債の利回りが5.198%と2007年7月以来の高水準を記録し、米10年物も4.687%と2025年1月以来の高値をつけた。金利の急騰は株式の相対的な割高感を意識させ、特にPERが高水準に達していたAI関連・電線株からの資金流出を加速させた。

国内でも長期金利は上昇圧力が続いた。20日の寄り付き時点では新発10年物国債の利回りが一時2.800%に達し、29年半ぶりの高水準を記録。午前中は財務省が実施した20年債入札への先回り買いが入り2.775%前後に落ち着く場面もあったが、上昇基調そのものは変わらなかった。

さらに追い打ちをかけたのが、韓国半導体大手サムスン電子を巡るニュースだ。同社の労働組合は20日、報酬交渉の決裂を受けて21日からストライキに突入する方針を決定。報道が伝わると韓国市場でサムスン電子株に売りが強まり、韓国総合株価指数(KOSPI)も下落した。日本と韓国の株高をけん引してきたモメンタム重視の海外投資家からの買いが鈍るとの警戒感が、東京市場にもじわりと広がった。

下げ幅は一時1,200円を超えたが、大引けにかけては下げ渋りも見られた。日本時間の翌21日早朝に米エヌビディアの2〜4月期決算発表が予定されており、その結果を見極めたいとする向きが一定数存在したことが、下値を59,200円台に限定させる一因になったとみられる。

寄与度分析

日経平均の下落746円の大部分を、ソフトバンクグループ(SBG)と東京エレクトロン(東エレク)の2銘柄が占めた。この2銘柄だけで約365円分を押し下げており、全体の下落幅のおよそ半分を説明できる。

■ マイナス寄与上位(押し下げ銘柄)

銘柄 コード 終値(円) 前日比(円) 寄与度(円)
ソフトバンクグループ 9984 5,039 ▲322 ▲259.06
東京エレクトロン 8035 46,100 ▲1,060 ▲106.60
フジクラ 5803 4,295 ▲400 ▲80.45
ファナック 6954 7,322 ▲340 ▲56.99
信越化学工業 4063 6,845 ▲187 ▲31.34
豊田通商 8015 6,763 ▲293 ▲29.47
TDK 6762 2,943 ▲42.5 ▲21.37
リクルートホールディングス 6098 9,653 ▲193 ▲19.41
ソニーグループ 6758 3,606 ▲114 ▲19.11
住友不動産 8830 3,748 ▲207 ▲13.88

SBGは322円安と前日に続き大幅下落。金利上昇局面では、資産価値に対してプレミアムが乗りやすい投資持ち株会社型のビジネスモデルが嫌われる傾向にある。東エレクも1,060円安。半導体製造装置大手として相場を引っ張ってきた存在だが、金利上昇と翌日のエヌビディア決算を前にした利益確定売りが重なった。

フジクラは19日の大幅安に続いて400円安と2日連続の下落。5月14日の年初来高値(7,855円)からわずか数営業日で4,295円まで急落しており、AI光ファイバー関連銘柄として急騰した反動が出ている。住友不動産など不動産株も金利上昇の逆風を受けて軒並み売られた。

東証プライム騰落状況

この日の相場の広がりは、数字が雄弁に物語っている。値下がり銘柄数が1,283銘柄と全体の約81%を占め、値上がりはわずか16%(263銘柄)にとどまった。日経平均の下落率(▲1.23%)よりTOPIX(▲1.53%)やJPXプライム150(▲1.72%)の方が大きく下落していることからも、値がさの特定銘柄よりも、市場全体が広く売られた「全面安」の様相を帯びていたことがわかる。

売買代金は9兆5,429億円。前日(10兆3,864億円)や先週の高水準(10兆円超が連日続いていた)に比べると若干縮小しているが、それでも依然として高水準といえる。相場が下がりながらも商いが薄くなりきらない状況は、積極的な売り手が市場に存在していることを示している。

業種別・テーマ別動き

セクター面では、上昇した業種が「その他金融業」「小売業」「鉱業」など内需・ディフェンシブ寄りにとどまった一方、下落した業種には「非鉄金属」「建設業」「石油・石炭製品」「不動産業」「情報・通信業」が並んだ。

■ 電線・非鉄金属:AI相場の主役が調整局面入り

フジクラ(5803)・住友電気工業(5802)など電線・非鉄金属は連日の大幅安となった。フジクラは今年初めから約40倍近くまで上昇したAIデータセンター向け光ファイバー関連の代表株だが、5月14日の高値から急速に値を崩している。住友電工も前日比670円安の12,105円で引けた。

これらの銘柄に共通しているのは「期待先行での急騰」だ。業績が実際に積み上がる前に株価が先を見越して上昇してきたため、金利上昇によって「将来の利益の現在価値」が低下する局面では、特に大きな調整圧力にさらされやすい。

■ 半導体関連:エヌビディア決算前の様子見

東京エレクトロン(8035)、レーザーテック(6920)、ディスコ(6146)など半導体製造装置・関連株も軒並み下落した。ただし、アドバンテスト(6857)やキオクシアホールディングス(285A)には一部買いが入るなど、銘柄によって温度差が見られた。翌日早朝のエヌビディア決算発表を前に積極的な売り買いを手控える向きも多く、様子見ムードが漂っていた。

■ 不動産:金利上昇の直撃

住友不動産(8830)が前日比452円安の3,748円、三井不動産(8801)も169.5円安と不動産セクターが大きく売られた。国内長期金利が一時2.800%に達したことで、借り入れコストの上昇や資産評価の低下を嫌気する売りが出た。金利上昇局面で不動産株が売られるのは典型的なパターンだ。

■ 商社・景気敏感株:後場にかけて下げ足が速まる

豊田通商(8015)、三菱商事(8058)、伊藤忠商事(8001)など大手商社も後場にかけて下げ足を速めた。米・イラン交渉の難航報道が伝わると、エネルギー価格の高止まりへの懸念と景気への悪影響が重なって売りを呼んだ格好だ。

為替・米国株・金利の影響

■ 米国株(5月19日終値):金利急騰が3日続落の主因に

前日19日の米国市場でNYダウは322ドル24セント(▲0.65%)安の49,363ドル88銭と反落し、ナスダック総合も220ポイント(▲0.84%)安の25,870.71と3日続落した。S&P500も▲0.67%の下落となった。

米30年物国債利回りが5.198%と2007年7月以来の水準に達し、米10年物も4.687%と2025年1月以来の高さに上昇したことが株式市場の重荷となった。米国とイランの戦闘を発端としたインフレが長引くとの見方から、各国中央銀行が引き締め的な政策を強いられるとの懸念が債券売り(金利上昇)を促した。

フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は前日比わずか+0.03%と小幅ながら3日ぶりに上昇したが、翌日のエヌビディア決算発表を控えた様子見が色濃く、反発力は乏しかった。

■ ドル円:159円台でもみ合い

為替は東京時間の15時56分時点で1ドル=158.99円。前日のニューヨーク市場では158円67銭まで下落した後に159円25銭まで反発。20日も159円前後のもみ合いが続き、財政懸念と介入警戒感が交錯するなかで方向感の出にくい展開となった。ドル円が158〜159円台で推移したことは、輸出企業の業績への中立的な影響にとどまり、為替自体が相場の大きな材料になることはなかった。

■ 国内長期金利:一時2.800%と29年半ぶりの高水準

国内債券市場では新発10年物国債の利回りが寄り付き時点で2.800%に上昇。財務省が同日実施した20年債入札を前に先回りの買いが入り午前中には2.775%前後に落ち着く場面もあったが、日経ニュースには「債券12時50分:長期金利、2.720%に上昇、29年ぶり高水準。20年金利は30年ぶり高さ」との報道も見られるなど、日中を通じて高い水準が続いた。金利が資産価値の割り引き率として機能することを考えると、高PERの成長株・AI関連株への売り圧力は今後も続く可能性がある。

個別決算・材料株

銘柄 材料 株価の動き
東京海上ホールディングス(8766) 今期最終利益8,300億円見込み・前期配当7円増額・今期27円増配 決算発表日(詳細な値動きは確認中)
MS&ADインシュアランスグループ(8725) 今期最終利益4,250億円見込み・前期配当5円増額・今期10円増配 決算発表日(詳細な値動きは確認中)
フジクラ(5803) 前日の中期経営計画発表後の失望売り継続・連日大幅安 4,295円(▲400円)
UBE(4208) 今期増配予想・還元姿勢を評価した買いが入る マド開け急伸(詳細値確認中)
ソフトバンクグループ(9984) 金利上昇局面でのバリュエーション圧縮・連日大幅安 5,039円(▲322円)

20日は東京海上ホールディングスやMS&ADインシュアランスグループなど大手保険会社の決算発表が予定されていた。東京海上は今期最終利益8,300億円・27円増配という強い内容を発表したが、全体相場の下落圧力の前には株価を支える力は限定的だった。

一方、UBEは未定だった今期配当を50円増配する方針を発表し、還元姿勢が評価されてギャップアップ(マド開け)での急伸を見せた。内需・ディフェンシブ寄りの材料株が注目を集めた珍しい一日だったといえる。

テクニカル面の確認

節目・指標 水準 現値との位置関係
年初来高値(5月14日) 63,799円32銭 現値より約4,000円(▲6.2%)上
5月20日終値 59,804円41銭
直近安値(4月下旬目安) 58,621円前後 現値より約1,200円(▲2.0%)下
テクニカル下値目安①(伊藤氏) 55,025円 現値より約4,800円(▲8.0%)下
年初来安値(3月31日) 50,558円91銭 現値より約9,200円(▲15.4%)下

5月14日に年初来高値63,799円をつけた後、わずか数営業日で約4,000円の下落となっている。テクニカルアナリストの伊藤智洋氏は「5月14日高値が上昇の終点で修正局面に入った」と指摘。今後の下値目安として、2月〜3月の下げ幅(8,774円幅)に相当する55,025円、または3月31日の安値50,558円を想定している。

大引けにかけて下げ渋り59,800円台を維持したことは、短期的な下値の目安として意識されていることを示している。ただし相場の方向性を決めるのはエヌビディア決算の内容であり、テクニカルよりもファンダメンタルズが先行する局面と考えておくべきだろう。

今後の日経平均の見通し

期間 想定レンジ 前提・注意点
翌営業日(5月21日) 58,600円〜61,000円 エヌビディア決算次第で大きく振れる。好決算なら反発、失望なら一段安の可能性
1ヶ月後(6月下旬) 56,000円〜63,000円 金利動向・中東情勢・日銀の政策スタンスが焦点。金利上昇が続けば下値リスクが増す
1年後(2027年5月) 50,000円〜72,000円 不確実性が高く幅を持って見る必要がある。AI相場の持続性と地政学リスクの行方に依存

翌21日はエヌビディアの2〜4月期決算発表(日本時間早朝)が最大の焦点だ。市場では大方の期待が高く、結果がコンセンサスを上回れば半導体関連を中心に買い戻しが入り、61,000円前後への反発もあり得る。一方、期待に届かない内容であれば、すでに崩れているチャートに追い打ちをかけ、58,000円台を割り込む展開もあり得る。

1ヶ月のスパンでは、米長期金利の動向が最重要変数となる。金利上昇が続けばAI・成長株中心に売り圧力が持続し、56,000〜58,000円台での攻防となる可能性がある。中東情勢が進展して原油価格が落ち着けば、インフレ懸念が後退して金利が低下し、相場の押し上げ要因となり得る。

1年後については不確実性が特に高く、幅を持って見る必要がある。AI技術の商業化加速シナリオでは70,000円超の可能性も排除できない一方、地政学リスクの長期化や世界景気の後退局面入りとなれば、50,000円を下回るリスクシナリオも存在する。

今日の結論

5月20日の東京市場は、AI相場が積み上げてきた「期待のバブル」に金利上昇という針が刺さった一日だった。SBG(▲259円寄与)・東エレク(▲107円寄与)・フジクラ(▲80円寄与)の3銘柄だけで日経平均を446円以上押し下げ、それに不動産・商社・精密機器が続いた。値下がり銘柄が8割を超える全面安は、単なる利益確定ではなくリスクオフへのモードチェンジを示している。

問題の本質は、米国とイランの戦闘を発端としたインフレ長期化懸念が、世界中の中央銀行に「引き締め継続」を迫っている点にある。米30年債が2007年以来の5.2%台、日本の長期金利も29年半ぶりの2.8%台に達した今、これまで金利の低さを前提に高い評価を受けてきたAI・成長株の再評価は避けられない。

ただし、相場の方向性を決定する「分岐点」は目前に迫っている。日本時間21日早朝に発表されるエヌビディアの2〜4月期決算がそれだ。AI投資の旗手として位置づけられる同社が市場予想を上回る決算を出せれば、「AI需要は本物だ」との確信が戻り、相場は反発に転じる可能性がある。逆に期待に届かなければ、AI相場そのものの持続性への疑念が広がりかねない。

当面の焦点は「エヌビディア決算→金利の行方→中東情勢の進展」の三連鎖。この流れを慎重に見極めながら、相場全体の方向性を確認していく局面が続きそうだ。

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