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日経平均は▲120円の小幅反落、終値は62,713円
5月8日(金)の東京株式市場で日経平均株価は3日ぶりに反落し、終値は前日比120円19銭安の62,713円65銭となりました。前日(5月7日)に過去最大の上げ幅となる+3,320円という歴史的急騰を演じた直後だけに、週末を前にした利益確定売りが先行しました。ただし下げ幅は限定的で、62,700円台をしっかりと維持しています。
東証株価指数(TOPIX)も3営業日ぶりに反落し、終値は前日比11.01ポイント(0.29%)安の3,829.48でした。
相場を動かした主な材料
この日の最大の押し下げ要因は、前日にストップ高水準(+18.4%)まで買われていたソフトバンクグループの急反落です。高値をつかんだ投資家の利益確定売りが殺到し、1銘柄だけで日経平均を大きく押し下げました。
もう一つの重荷となったのが、午後2時前に発表されたトヨタ自動車の決算です。2026年3月期の営業利益は前期比21.5%減の3兆7,662億円と大幅減益で着地し、2027年3月期の純利益見通しも前期比22%減の3兆円と3期連続の減益を見込む内容でした。中東情勢の緊迫化による生産の押し下げや関税の影響が計6,700億円の利益を押し下げるとの試算で、発表後に株価が下落し輸送用機器セクター全体の重しとなりました。
また、前日のニューヨーク市場でイランとの戦闘終結への期待が後退して米国株が反落したことや、日本時間21時30分に予定されていた米4月雇用統計の発表を前に積極的な買いを手控える向きが多かったことも、上値を抑える要因となりました。
指数を支えた銘柄と重荷になった銘柄
前日の主役だったソフトバンクグループとファーストリテイリングが急落し、この2銘柄だけで日経平均を合計約296円分押し下げました。一方で、東京エレクトロン(+730円)がプラス寄与度トップとなり、ファナック(+420円)、アドバンテスト(+170円)、キオクシアHD(+1,080円)なども上昇して指数を下支えしました。
特に注目されるのはファナックの動きです。前日は半導体・AI株が主役でしたが、本日はFA(工場自動化)・機械株への資金流入が目立ち、相場の「主役交代」の気配が感じられます。またキオクシアHDは前日ストップ高の翌日も続伸しており、メモリー株への強気ムードが持続していることを示しました。
市場全体の温度感
東証プライム市場の値下がり銘柄数は約819銘柄(全体の約52%)と過半数を占め、値上がりは約712銘柄(約45%)にとどまりました。前日の「75%超が値上がり」という全面高から一転して地合いが軟化し、相場全体としては調整局面に入ったといえます。
ただし、日経平均の下落幅(▲120円・▲0.19%)は値下がり銘柄の多さと比較するとかなり小さなものです。これはソフトバンクGとファストリという値がさ株2銘柄が指数を大きく引き下げた一方、他の多くの銘柄では個別の下落幅が限定的だったためです。
売買代金は10兆9,631億円と連日でプライム市場移行後の過去最大を更新しました。前日の急騰局面での利確売りと押し目を狙った買いが激しく交錯した、活況な一日でした。
今後の日経平均の見通し
東京市場の大引け後に発表された米4月雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比+11.5万人増と市場予想(+6.5万人程度)を大幅に上回りました。一方で平均時給の伸びは予想を下回り、「景気は底堅いがインフレ圧力は和らいでいる」という解釈が広がりました。米10年債利回りは4.35%へと低下し、ドル円はNY市場で156円60〜70銭と円高方向で推移しています。
この結果を受けてシカゴの日本株先物が+1,435円高(63,665円)、大阪の夜間先物も+920円高(63,760円)と急騰しており、週明けの東京市場は63,000円台を試す展開でスタートする可能性が高まっています。
| 時点 | 予想レンジ | 見方 |
|---|---|---|
| 翌営業日(5月11日) | 62,500円〜64,500円 | 雇用統計後の先物急騰を受けてギャップアップ発進が見込まれる。ただし高値圏での利確売りやベセント財務長官訪日(11日〜)による為替警戒が上値を抑える場面もありうる |
| 1ヶ月後 | 60,000円〜66,000円 | 米中首脳会談(14〜15日)・ベセント訪日の結果、国内決算シーズンの総評価、イラン停戦の行方が焦点。順調なら66,000円方向も、円高急進や決算失望が重なれば60,000円台前半への押し戻しも想定される |
| 1年後 | 56,000円〜76,000円 | AIブームの持続性・日銀の利上げペース・米景気の行方・為替水準など多くの変数が絡む。不確実性が非常に高く、幅を持って見る必要がある |
翌営業日以降は、ベセント米財務長官の訪日(5月11日〜)での為替・通商問題の協議内容、米中首脳会談(14〜15日)の行方、そして来週も続く国内企業の決算発表(ソニーグループ・任天堂・メガバンクなど)を確認していく局面となります。前日の急騰で日経平均は62,000円台を定着させた格好ですが、63,000円台を安定的に維持できるかが次の焦点です。
今日のまとめ
前日の歴史的急騰の反動というよりは、「翌日としては驚くほど底堅い一日」でした。SBG急落とトヨタ3期連続減益見通しという二重の重荷を抱えながらも、日経平均の下落は▲120円にとどまりました。東エレク・ファナック・キオクシアなどが支えとなり、好決算銘柄への選別買いも相場を底上げしました。
大引け後の米4月雇用統計は予想を上回る雇用者数と賃金の鈍化という「良いとこ取り」の内容となり、先物市場は即座に反応して急騰しました。週明けの東京市場は63,000円台への回帰が期待されますが、ベセント財務長官訪日と為替動向には引き続き注目が必要です。
寄与度上位銘柄や業種別の動き、為替・米国株・金利の影響、トヨタ決算の詳細をより詳しく確認したい方は、詳細版の「今日の日本株 深掘りノート」もあわせてご覧ください。