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この記事では、2026年5月8日の日本株相場について、日経平均株価の動きだけでなく、寄与度上位銘柄、東証プライム市場の騰落状況、業種別動向、為替・米国株・金利の影響、個別決算・材料株の動きまで詳しく振り返ります。

要点を短く確認したい方は、通常版の「今日の日本株ノート」もあわせてご覧ください。

今日の相場サマリー

項目 数値・内容 コメント
日経平均株価 62,713.65円 3日ぶり反落
日経平均 前日比 ▲120.19円(▲0.19%) 前日+3,320円急騰の反動にしては小幅な下げにとどまる
TOPIX 3,829.48 3営業日ぶり反落
TOPIX 前日比 ▲11.01ポイント(▲0.29%) 日経平均よりやや下落幅が大きく、全体的な軟調さを示す
東証プライム 値上がり銘柄数 約712銘柄(約45.2%) 前日の75.6%から大幅に低下
東証プライム 値下がり銘柄数 約819銘柄(約52.0%) 過半数が値下がり。前日とは一転して売り優勢
売買代金 10兆9,631億円 連日で過去最大更新。利確売りと拾い買いが交錯
売買高 30億3,685万株 依然として高水準
ドル円(東京市場) 156円台前半 動意薄、様子見ムード
ドル円(NYクローズ) 156円60〜70銭 雇用統計後に円高方向。前日比+30銭の円高
前日の米国株(5月7日) NYダウ・S&P500反落、NASDAQ小幅底堅い イラン和平不透明感・NY連銀インフレ期待上昇が重し
米4月雇用統計(東京市場後) 非農業部門+11.5万人(予想+6.5万人超過)、失業率4.3%、平均時給は予想下回る 雇用者数は強いが賃金は鈍化。米10年債利回り4.35%へ低下
シカゴ・大取夜間先物 シカゴ+1,435円高(63,665円)、大取夜間+920円高(63,760円) 週明けの東京市場が大幅高でスタートする可能性が高まる
トヨタ自動車 決算 2026年3月期:営業利益▲21.5%、2027年3月期見通し:純利益▲22%(3期連続減益) 中東情勢・関税影響を織り込んだ重い見通し

2026年5月8日の東京株式市場は、前日の歴史的急騰(+3,320円・過去最大の上げ幅)の翌日として、利益確定売りが先行する展開となりました。ただし日経平均の下落幅は▲120円にとどまり、62,700円台をしっかりと維持しました。主力のソフトバンクグループ(SBG)が前日ストップ高の反動で急落し指数を大きく押し下げた一方、東京エレクトロンやファナックなど別の銘柄が上昇して下支えしたことが、小幅下落にとどまった主な理由です。

また、東京市場の大引け後に発表された米4月雇用統計が市場予想を上回る内容(非農業部門+11.5万人増)となり、ただし平均時給の鈍化でインフレ懸念が後退。これを受けてシカゴ・大阪の日経先物が急騰し、週明けの東京市場への期待感が高まる形で週末を迎えました。

日経平均を動かした主な要因

前日急騰の反動とSBGの急落が最大の押し下げ要因

前日(5月7日)に日経平均が+3,320円という過去最大の上げ幅を記録した直後だけに、週末を前にした利益確定売りが朝方から幅広い銘柄に出やすい地合いでした。特に前日にストップ高水準(+18.4%)まで買われたソフトバンクグループが一転して急落し、前引け時点で1銘柄だけで日経平均を約173円押し下げました。ファーストリテイリングも下落し、この2銘柄だけで約296円分の押し下げ要因となりました。

前日の米国株反落が朝方の売りを誘発

5月7日(日本時間8日早朝)のニューヨーク市場では、イラン和平への不透明感が再燃しました。米・イランの戦闘終結に向けた提案にイランが依然として回答しておらず、停戦への期待が後退。原油価格が前日の急落から下げ止まり、NY連銀のインフレ期待指数の上昇も相まって米長期金利が上昇し、NYダウが反落しました。この流れを受けて東京市場でも朝方は売りが先行しました。

トヨタ自動車の決算が後場の重荷に

14時前に発表されたトヨタ自動車の2026年3月期決算は、営業利益が前期比21.5%減の3兆7,662億円と大幅減益。さらに2027年3月期見通しは純利益が前期比22%減の3兆円と、3期連続の減益を見込む内容でした。中東情勢の緊迫化による生産押し下げや関税影響が重荷となり、株価は発表後に売りが広がりました。世界最大規模の自動車メーカーの重い見通しは、自動車セクター全体に波及した可能性があります。

米雇用統計待ちの様子見が積極的な買いを抑制

日本時間21時30分に予定されていた米4月雇用統計の発表を前に、結果を確認したいとして積極的な買いを手控える向きが多かったとみられます。これが終日を通じた値動きの重さとして表れ、下げ幅は小さいものの方向感に乏しい展開が続きました。

好決算銘柄への選別買いが指数を下支え

下落要因が重なるなか、IHIをはじめとする好決算銘柄には逆行高となる動きが見られました。東京エレクトロンやファナックなど機械・半導体装置株の一角にも買いが続き、下値を支えました。国内証券のストラテジストからも「AI・半導体関連株がけん引する形で日経平均はしばらく高値圏で推移する可能性が高い」との声が聞かれるなど、強気ムードは継続していました。

日経平均寄与度から見る相場の中身

区分 銘柄 主な材料 日経平均への影響
押し上げ① 東京エレクトロン(8035) 半導体株続伸、52,450円(+730円) 約+73円押し上げ(寄与度1位)
押し上げ② ファナック(6954) FA・機械株への見直し買い、7,515円(+420円) 約+70円押し上げ(寄与度2位)
押し上げ③ アドバンテスト(6857) 半導体関連続伸、29,885円(+170円) 約+41円押し上げ
押し上げ④ リクルートHD(6098) 個別物色、7,822円(+347円) 約+35円押し上げ
押し上げ⑤ キオクシアHD(285A) メモリー株続伸、44,490円(+1,080円) 約+25円押し上げ
押し下げ① ソフトバンクグループ(9984) 前日ストップ高の急反落(利益確定売り殺到) 約▲173円押し下げ(前引け時点・寄与度最大)
押し下げ② ファーストリテイリング(9983) 利益確定売り SBGとの2銘柄合計で約▲296円押し下げ
押し下げ③ イビデン(4062)・信越化学(4063)・ダイキン(6367) 前日の急騰銘柄への反動売り 追加の押し下げ

この日の寄与度構造は非常に興味深いものです。SBGとファストリの2銘柄だけで約296円分を押し下げる一方、東エレク・ファナック・アドテスト・リクルート・キオクシアの上昇がこれを相殺し、最終的な下落幅を▲120円程度に抑えました。前日は「SBGが1銘柄で804円を押し上げた」という状況の真逆です。前日の主役が最大の重しに転じた一方で、前日に存在感が薄かったファナックや機械株が今日の支え役となっており、主役の交代が起きつつあることを示唆しています。

値上がり・値下がり銘柄数で見る市場の広がり

東証プライム市場では、値上がり銘柄数が約712銘柄(全体の約45.2%)、値下がり銘柄数が約819銘柄(約52.0%)と、過半数が値下がりとなりました。前日の「75.6%が値上がり」という全体高から一転し、「52%が値下がり」という調整局面に変わったことは注目に値します。

ただし重要なのは、日経平均の下落幅が▲120円(▲0.19%)にとどまったという事実です。TOPIXの下落幅(▲0.29%)も値下がり銘柄比率(52%)と比較すれば非常に小さく、日経平均への寄与度が大きいSBGとファストリという2銘柄が大きく下落したことが「見た目の下落」を作り出したとも言えます。逆に言えば、SBGとファストリ以外の相場全体は、値下がり銘柄数の多さから見ると軟調だったものの、個々の下落幅は限定的だったと評価できます。

売買代金が10兆9,631億円と連日で過去最大を更新したことは、前日の急騰で高値圏に入った銘柄を手放す利確売りと、下落場面を押し目と見た買いが拮抗していたことを示しています。市場参加者の関与度は依然として異例の高水準でした。

業種別・テーマ別の動き

機械・FA関連株:前日の主役から今日の支え役へ

前日は半導体・AI関連が主役だったのに対し、本日はファナックを筆頭に機械・FA(ファクトリーオートメーション)関連への資金流入が目立ちました。ファナックが+420円高(+5.9%)でプラス寄与度2位となったほか、SMC、安川電機、オムロンなども上昇しました。3月期決算シーズンで設備投資関連の好業績が確認されつつあることが、機械株の見直し買いにつながったとみられます。

半導体・メモリー:まちまちも底堅さを維持

東京エレクトロンは+730円高で今日の押し上げ役トップとなり、アドバンテスト・キオクシアも続伸しました。一方でイビデン・信越化学・レーザーテクなど前日の急騰銘柄の一角には売りが広がり、まちまちの展開となりました。前日のような「全員参加の半導体祭り」ではなく、銘柄選別が進んでいることを示しています。

銀行・証券・海運:景気敏感株に売り

銀行業・証券・商品先物・海運業が下落率上位業種となりました。前日の米市場でも銀行などの景気敏感株に売りが出ており、その流れを引き継いだ形です。イラン和平の不透明感が再燃し、原油価格が下げ止まったことで、前日に恩恵を受けた海運・空運株の一部にも利確売りが出やすくなりました。

自動車・輸送用機器:トヨタ決算が重荷

トヨタ自動車が14時の決算発表後に売りが広がり、輸送用機器セクター全体に波及しました。ホンダも2026年3月期の初の営業赤字(約4,000億円)が報じられており、自動車株全体に逆風が続いています。円高方向への為替動向も引き続き輸出関連株の重しとなっています。

為替・米国株・金利の影響

米国株:前日に急騰の反動でNYダウ反落

5月7日(日本時間8日早朝)のNY市場では、イラン和平に向けた提案にイランが依然回答しておらず、戦争終結への期待感が後退しました。これを受けて原油価格が前日の急落から下げ止まり、NY連銀のインフレ期待指数も上昇したことで米長期金利が上昇し、NYダウが反落しました。一方でNASDAQはハイテク株が支えとなって小幅ながら底堅く推移しており、ハイテク・AI株への強気ムードは継続していたことが確認できます。

米4月雇用統計:強い雇用者数と鈍い賃金の「二面性」

東京市場の大引け後、日本時間21時30分に発表された米4月雇用統計は注目の結果となりました。非農業部門雇用者数は前月比+11.5万人増と、市場予想の+5.5〜6.5万人増を大幅に上回りました。一方で平均時給の伸びは予想を下回り、この「賃金鈍化」が市場に利下げ期待の再浮上をもたらしました。米10年債利回りは4.35%へと低下し、ドル円はNY市場で156円60〜70銭(前日比+30銭の円高)へ。結果的に「景気は底堅いがインフレ圧力は和らいでいる」という解釈が市場に広がり、リスクオン的な受け止めとなりました。

これを受けてシカゴの日本株先物は+1,435円高(63,665円)、大阪の夜間先物も+920円高(63,760円)と急騰しました。週明け(5月11日・月曜)の東京市場は、63,000円台超えを試す可能性が高まっています。

ドル円:円高方向の継続が自動車株に重し

東京市場のクローズ時点ではドル円は156円台前半で動意薄でしたが、雇用統計後のNY市場では156円60〜70銭(円高方向)で引けました。GW中に日本政府・日銀が4〜5兆円規模(市場推計)の円買い介入を実施したとされる背景があり、為替は引き続き介入警戒感を伴いながら推移しています。来週はベセント米財務長官の訪日(11日〜)があり、為替問題が再び大きな焦点となる見通しです。

決算・個別材料で動いた銘柄

銘柄 材料 株価反応 コメント
トヨタ自動車(7203) 2026年3月期:営業利益▲21.5%(3兆7,662億円)。2027年3月期見通し:純利益▲22%(3兆円)・3期連続減益。中東情勢・関税で計6,700億円の利益押し下げ 14時発表後に下落 純利益の実績(3兆8,480億円)はアナリスト予想平均(3兆7,409億円)を上回ったが、来期見通しの重さが嫌気された
ホンダ(7267) 2026年3月期で初の営業赤字(約4,000億円)。EV関連損失が響く 軟調 自動車セクターへの逆風を象徴する決算。トヨタとともに重荷
IHI(7013) 好決算発表 上昇(逆行高) 相場全体が軟調な中で好決算が評価される典型例。重工・防衛・機械への物色継続
ソフトバンクグループ(9984) 前日ストップ高(+18.4%)の翌日。材料なし 大幅下落(急反落) 前引け時点で1銘柄で約▲173円押し下げ。高値を買った短期投資家の利確売りと見られる
キオクシアHD(285A) 前日ストップ高後も引き続きメモリー市況への期待継続 続伸(+1,080円、+2.5%) 前日ストップ高でも売り切れず、翌日も上昇継続。メモリー相場の強さを示す
NTT(9432) 今期最終5%減益、0.1円増配の見通しを発表 軟調 通信インフラ株の減益見通しが嫌気。ただし増配で下支え
ファナック(6954) FA・産業機械への見直し買い。好決算期待 +420円高(+5.9%) 今日の日経平均押し上げ役2位。機械株への物色転換の象徴

テクニカル面ではどの水準が意識されるか

日経平均は終値62,713円と、前日の最高値更新(62,833円)からわずか約120円の小幅下落にとどまりました。前日の高値(62,931円)は依然として射程圏内であり、62,700円台の水準を終値で維持できたことは、テクニカル的に見てもポジティブです。

上値メドとしては、まず前日の高値水準(62,931円)の突破と、心理的節目の63,000円超えが次の焦点として意識されます。週明け(5月11日)の東京市場は、シカゴ・大阪夜間先物がそれぞれ63,665円・63,760円まで急騰して週を終えており、63,000円台での取引再開が見込まれます。

下値メドとしては、62,000円前後が短期的な支持水準として意識されやすいと考えられます。前日に急騰して最高値を更新した流れを踏まえると、短期的な過熱感からの調整が続いたとしても、62,000円近辺では押し目買いが入りやすい水準といえます。ただしこれらはあくまで目安であり、為替・外部環境の急変があれば大きく異なる動きとなることがあります。

売買代金が前日・本日と連続して10兆円超を記録しているという点は、極めて特異な状況です。異例の商いが続く中では値動きの振れ幅も大きくなりやすく、引き続き過熱感への注意は必要です。

今後の日経平均見通し

時点 予想レンジ(目安) 主な前提 注目材料
翌営業日(5月11日・月曜) 62,500円〜64,500円 米4月雇用統計後の先物急騰(シカゴ63,665円・大取63,760円)を受けてギャップアップでの寄り付きが想定される。ただし高値圏での利確売りが出やすく、寄り天に警戒も必要 ベセント財務長官訪日(11日〜)、米国株の週明け動向、為替介入警戒、週明けの決算発表
1ヶ月後(6月初旬) 60,000円〜66,000円 AI・半導体相場の継続性と国内3月期決算シーズンの総評価が焦点。ベセント訪日・米中首脳会談の結果が為替・外交面での方向性を左右する。イラン停戦が実現すれば原油安継続でリスクオン強化 米中首脳会談(14〜15日)、ベセント訪日の日米協議結果、ソニー・任天堂など主要企業の決算、日銀金融政策
1年後(2027年5月) 56,000円〜76,000円 AIブームの持続・日銀の利上げペース・米景気軟着陸の可否・為替水準が中長期の株価水準を左右する。不確実性が非常に高く幅を持った見方が必要 日銀利上げペース、FRBの利下げ時期と回数、米中関係、イラン情勢の長期的帰結、日本企業の業績改善トレンド

翌営業日(5月11日・月曜):東京市場の大引け後に発表された米4月雇用統計は、雇用者数が予想を大幅に上回る+11.5万人増、かつ平均時給の鈍化という「景気底堅い・インフレ圧力は和らぐ」という理想的な組み合わせとなりました。これを受けてシカゴ先物(63,665円)・大阪夜間先物(63,760円)が急騰し、週明けはギャップアップでのスタートが見込まれます。上値目標として63,000円台の定着・63,500円超えも視野に入ります。ただし高値圏での利確売りや、ベセント財務長官訪日を受けた円高警戒が上値を抑える可能性があり、想定レンジは62,500〜64,500円とやや広めに設定します。

1ヶ月後(6月初旬):5月14〜15日の米中首脳会談、ベセント訪日(5月11日〜)の日米協議結果、国内3月期決算の総評価、イラン停戦の行方など複数の重要イベントが集中します。これらが順調に進展すれば66,000円方向への上値余地がありますが、為替の急激な円高進行や決算ガイダンスへの失望が重なれば60,000円台前半への押し戻しも想定されます。想定レンジは60,000〜66,000円とします。

1年後(2027年5月):1年後については不確実性が非常に高く、幅を持った見方が必要です。AIブームの持続性・日銀利上げのペース・米景気の軟着陸・イラン情勢の長期的帰結など多くの変数が絡みます。56,000〜76,000円という広いレンジを目安として示しますが、これは参考目安にとどまります。実際の相場は大きく異なる可能性があります。

今日の結論

2026年5月8日の日本株市場は、「歴史的急騰の翌日としては驚くほど底堅い一日」でした。前日に+3,320円という過去最大の上げ幅を記録した直後、ソフトバンクグループの急反落(▲173円分の押し下げ)とトヨタ自動車の3期連続減益見通しという二重の重荷がありながら、日経平均の下落幅はわずか▲120円(▲0.19%)にとどまりました。売買代金は10兆9,631億円と連日で過去最大を更新し、市場参加者の熱量は衰えていません。

相場の中身を見ると、値下がり銘柄が52%と過半数を占め、全体的には地合いが弱い一日でした。ただし東京エレクトロン・ファナック・アドバンテスト・キオクシアといった銘柄が逆行高となり、主役の交代が起きつつあることを示しています。AI・半導体一本足ではなく、機械・FA関連や好決算銘柄への分散が進んでいることは、相場の厚みが増しているとも解釈できます。

最大の注目は、大引け後の米4月雇用統計の結果です。雇用者数が予想を大幅に上回りつつ平均時給が鈍化するという「良いとこ取り」の結果となり、シカゴ・大阪の日経先物が1,000円超の急騰を演じました。週明けの東京市場は63,000円台を再び試す展開が予想されます。ベセント米財務長官の訪日(5月11日〜)と米中首脳会談(14〜15日)という外交イベントの連続が、来週の為替・株式市場の方向性を左右する重要な局面となります。

要点を短くまとめた通常版の「今日の日本株ノート」もあわせてご覧ください。